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戦争の詩

    ヴェルダンの北方 月は明るく
    そばに 葡萄酒のビン
    遠く ひそやかに ハーモニカ
    弾丸が 時おり ヒューと森の間に
    美しき 戦争の詩かな
    戦争は
     我々から自然を奪うことは出来ない

    春の芽生えの山林
    ざあ と 前おきの ひと雨
    森のはずれの谷間に マース河
    時おり 大砲 銃火の音
    やがて 緑の海
     古いブナ カシワ
      人の背をこす 野生のバラ
       キイチゴ ニワトコ ・・・
     イノシシ
      ヤマネコ
       イヌワシの巣
    簡単な 木の十字架
     ひとつ また ひとつ
     文字は消え 誰の最後の憩い場か
    やがて彼らの痕跡も 朽ち果て 消え失せる
    小径は 原生林へ
    大きな猛禽が 高く 空中に羽ばたく
    ますます 深い茂みの中へ
    遠くに 新しい丘陵が 光っている

    妙な事だ
    弾丸に当たって死ぬことばかり考えている
    この狂った考えに促されて
     家族への告別と遺言をポケットに
    僕の最大の幸福は
     この戦争を体験することだった
    この十カ月
    日ごと 僕は学び加え
    日ごと 視界は広がっていく


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    雪男

     
     
    詩やSFをものしてゐます。古典、現文、英仏現代アメリカ問はず。好きな作家は、C.ブコウスキー、幸田文、ル・クレジヲ、紫式部より清少納言派 ― 長いものも、ぼちぼちに

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