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元気

    こちらは元気
    空襲 切り抜けて
    劫火 轟音 夢のよう

    一つの歴史 多くの涙と礎石
    "顧みなくて ―――" 防人の父母

     花とう花の咲き出来ずけむ

    月の丘に雑談
    皆 庶民の中堅層
    まだ生まれぬ子に名前

    爆撃下 皆さま ご無事のご様子
    疎開 とりあえず早急に

    橋が焼けて 河を泳ぐ
    貧弱極まる隣組防空組織
    着の身着のまま 戦争生活

    最後の時には 愛と誇りとの中に

    時期 いよいよ迫りつつ
    不惜身命に戦わん
    祖国に屍の砦を築き
    いつかは あなた達の上に 栄光の平和の日を
    愛する日本
    愛する人々のために

    運命が それを命ずるならば
    手段をつくして 最善の道を進む
    あなたの夫は
    最後まで あなたの幸福を祈っていた事を

    沖縄の 冬も半ば 夏支度
    戦局も いよいよ

     かの時は かくすべかりし 悔い残し
      母と別るる 今日の門出

    いつまでも  いつまでも

    小乗を捨てて
    血と肉で 戦い 守る
    日本にいつか 幸福の日を

    ドラム缶風呂の浪花節
    暑くもなく 寒くもなく
    毎日の雨以外は満点
    煙草も細々ならが
    アルコールも間に合ってます
    父上 ますます お元気のよし

    この便りの半信半疑
    私は ますます元気
    嵐の前の静けさの気配

    厳しき ますらを
    あなたの一生の 良き伴侶たりえず
    幸福の門出を躓かせし 一抹の心残り
    あなたの愛情の祝福を感じつつ
    一命の御奉公が 身の幸福


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    雪男

     
     
    詩やSFをものしてゐます。古典、現文、英仏現代アメリカ問はず。好きな作家は、C.ブコウスキー、幸田文、ル・クレジヲ、紫式部より清少納言派 ― 長いものも、ぼちぼちに

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