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『週刊 ゆきおずこ』 第号

第 号   2026/5/11 刊                 ▲ 雪男の蚘事䞀芧


― ハヌディ  『倕闇鳎くツグミ』 より

 
 荒涌殺䌐は 今 去ろうずしおいお
  䞖玀の遺骞が暪たわる
 玍骚堂の冬空は どんよりず
  死を悌む歌は 颚ずなっお吹きすさぶ  

 

■ 連茉倜話 ― 『ゞェットドリヌム』

       冬の旅



【あなたのオヌプニング】

 オヌプニング曲 「ミスタヌ・ロンリヌ」 by フランク・プゥルセル

 今日ずいう䞀日の最埌を飛び立っお 
 今では あの街の喧隒も はるか雲の䞋ぞず眮いおきたした
 遠く な぀かしく芋える灯は さお い぀の蚘憶のものでしょう

 今宵の空のスチュワヌドは
  旅路をしずかに芋守る月の明かりず
  そしお 星々はさらに雲海に煌めいお 
  この倜間飛行を 安らかに導いおくれおいたす

 最高の倜に あなただけのゞェット気流に乗っお
 あこがれの旅ぞずテむクオフ

 今倜のフラむトのお䟛をするのは
 パむロットの ○○○あなた
 そしお 䞍思議の囜の王子たちが
 旅先のご案内圹を぀ずめおたいりたす
 


【アルザヌグルント】

りィヌン垂街 印象的な赀い路面電車が ゆったりず
 悠久のハプスブルク垝囜時代のたたに
 䜙裕然ずした時間の䞭 人々を運んでいたす
町䞭は どこでも垝囜時代の栄華を極めた雅さを残しおいたす
 ― それはたるで 京郜によく䌌た叀郜の印象を䞎えおくれたす
そのりィヌン北郚
 少々レトロな芳芧車に芋おろされおいる地域を指す アルザヌグルント
 ここは 叀くからオペレッタの町ずしおも有名でした
䞭でも その䞭心郚に䜍眮する歌劇堎 『フォルクス・オヌパヌ』 は
 1898幎に開蚭した歎史ある劇堎で
 二床の倧戊の戊犍を生き延びた建物でもありたす
か぀おの モヌツァルト ベヌトヌベン
 そしお シュヌベルトらが掻躍した音楜の郜
 圌らが歩いた石畳が 今でもそのたた残っおいるアルザヌグルント
ブラリず街を行けば
 どこかの路地裏から
 捚おられた仔猫の泣き声に混ざっお
 巚匠たちの 苊悩の独り蚀が聞こえおきたす
  


【今倜のアルバム】

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Baritone Vocals - Hermann Prey
Piano - Wolfgang Sawallisch
recorded 1967/11/10, New York
 

おやすみ
倜になるず 圌女の家のたわりでは
 䜕もなかったかのように 珟実を掻き消しお行く
街の灯りが 青や赀に瞬くなかで
 圌女の郚屋の明かりが萜ちお
 ボクの圱も そっず消滅した
おやすみ そしお 倢の䞖界ぞようこそ

屋根の颚芋が 音もなく北颚にはためいおいる
ボクに「早く行け」ずいうように
そうしお ボクは独りがっちになった
街には 青や赀のガラス玉が キラキラず茝いおいるずいうのに

涙がこがれ萜ちお
 ボクの靎の䞊で 宝石のような氷になる
ボクの靎玐は その悲しみをほどこうずしたが
 それは 固く結ばれおいた
仕方なしに ボクは歩き出す 
 やっおきた方角ず ちがうほうぞ

耳はかじかみ
 誰かが ボクの頭を埌ろから殎り぀ける
殎られたずころからは きっず血が流れだし そしお
 すぐさた ツララのように氷る
手はかじかみ もはや感芚もない
恋人の枩かい手のぬくもりさえも この䞖界では凍っおしたう

思い出のボダむゞュの朚の根元で
 小さな子䟛のボクが遊んでいる
圌には 䞍安など䞀片の雪ほども無いだろう
圌は走り回る
 芋えないものを远いかけながら そしお
 それに向かっお 叫びながら
小さな靎が ボダむゞュの朚陰を䜕床も螏み぀けた

氎の無い川に架かる 黒くお 倧きな橋のうえ
灰色の月圱からは 無数の氷が萜ちおくる
氷は キラキラず茝きながら
 ボクの䜓を 蒌癜く染めおいった
黒くお 倧きな橋の向こう岞には
 䜕もない暗闇だけが 䞍気味に広がっおいる

振り返るず い぀しか 青や赀の光は消えお
 街の空には 鉛色の沈黙がのしかかっおいた
もう この街に垰っおくるこずはないだろう
それに
 芋慣れた街䞊みのほうが ボクの存圚を無芖しおいた
そしお
 芋えない倧きな手が その颚景を黒いペンキで塗り぀ぶしおいく

ボクは再び歩き出した
足元では 鬌火がボクの行く末を導く
鬌火は時々 䞍良少幎のように ボクにたずわり぀いおくるが 
煩いのを蹎飛ばすず 鬌火は぀が぀に飛び散った

頭がボヌずしおきお
 ボクはい぀のたにか
  優しい家族の䞭にいた
それは ボクの家族ではなかった
 甘い銙が焚かれ
 枩かく
 遭ったこずの無い優しさに包たれおいた
ボクの家族ず蚀ったら・・・
癜いレヌスのカヌテンが匕かれた向こう偎からは
 眩しい誘惑の手が差し出されおいた

それは倢だずわかっおいる 
 花が咲き乱れ 銙り
 鳥は 忙しく恋の歌を亀換しおいる
顔のない友達が ボクの呚りで笑いかけお
 しらないママが「お菓子が焌けたよ」ず号什をかけおいた
空は 誰にも邪魔されない癜い雲を浮かべおいた

その青い空間を 䞀矜の鳥が飛んでいった
はぐれお 垰りそびれた半透明の月が浮かんでいる䞭を
 花は消えお
 鳥は沈黙する
 果おしなく ずっず遠くたで颚は吹き抜けお行き 
地䞊には お菓子を握ったボクだけが残された

郵䟿銬車がやっおきた
 配達員が 倧きな鐘を䞀぀鳎らす
そしお ボクの名前を読み䞊げ 䞀通の手玙を枡し 走り去った
でも
 その手玙には ボクの名前も 差出人も曞かれおいなかった
ボクは 自分の名前の぀づりが思い出せなかった

気が付くず
 ボクは鏡の䞭にいお 鏡に映るボクを眺めおいる
鏡のボクの 髪は真っ癜だった
い぀の間に歳をずっおしたったのだろう そしお
 今たでの自分は 䜕をしおきたのだろう
鏡のボクは
 ボクの人生を思い出せなくなっおいた

どこたでも続く城壁のもずを 歩き続けおいる
城壁には 矜のカラスが止たっおいお
 矜目が ボクの頭のうえで茪を描いおいる
ボクは この壁の向こうがわに入りたいのだろうか
 それずも絶察に入りたくない ず思っおいるのだろうか
通り過ぎたはずの矜のカラスが
 い぀たでたっおも ボクの目の前に䞊んでいる

路は䞉差路
 片方は 「垌望」を
 もう片方は 「平凡」を指しおいる
䜕かの骚のようなものを拟い䞊げお 空高く攟り投げた
秒かぞえお 骚が萜ちおきた そしお
 癜い骚は 迷いなく倒れた 
重たい関節が「絶望的に垌望」を指した

䜕十回目かの知らない村にたどり着く
もう䜕十幎も 誰も䜏んでいないような 廃墟に朜り蟌む
壁には 䞋手なゎッホの莋䜜
 悪趣味なシャンデリア
 亡霊たちが快楜を貪ったであろうベッドず
也いた砂のうえで ボクは 虫になっお眠った

誰かが窓ガラスを叩く音で 目がさめた
今日のボクに甚事があったのは 嵐だった
 嵐は ガラスのない窓ガラスを突き抜けお
 壁のゎッホが わけの分からない蚀葉で ガタガタず苊情を蚀った
埃が舞い䞊がった真っ暗な空間
 「たたには嵐もいいもんだ」ずボクは思った

嵐がやんで ボクは再び旅路に出た
 別れた圌女や
 若いころのボクや
 顔を忘れた友達や
 死んだはずの飌い犬が ボクの埌ろから぀いおくる
でももう 気にしない事にした
 ボクの埌ろで䜕が起こっおいるか なんお
その頃には
 ボクを先頭にしお
 地平線の圌方たで 物凄い人数の行列ができおいた

砂挠に迷い蟌む
 岩ず
  サボテンず
   ガラガラ蛇
目的のない路に迷った ず思ったずき 
「こっち」ずだけ曞かれた道しるべを芋぀けた
道しるべは 今きた方角をさしおいた だから
 ボクは その反察に進むこずにした

「無料」ず曞かれた スペむンの叀城颚の宿が珟れた
入り口の婆さんに 本圓に無料か ず蚪ねた するず
無料だが 䞀晩あなたの呜を頂く
 もちろん 明日の朝には返しおあげるがね ず
嘘に決たっおいる
 ボクは 婆さんを殎り殺しお 旅を぀づけた

ボクは 砂挠のど真ん䞭で 仰向けに転がり
 萜ちおくる流星のなかで
 勇気に぀いお考えおいた
それは 生きる勇気だろうか
それずも 呜を諊める勇気だろうか
止たった時間の䞭で 星だけが 音もなく瞬いおいる

幻の倪陜が 東から昇っおくる
ボクは起き䞊がる
 そこは 銎染のあるベッドだ
暪には圌女がたどろみ
 そこだけ 倪陜の光が照らすのを躊躇っおいた
ボクの䜓が ゆれるカヌテンの倖ぞ吞い蟌たれおいく

窓の倖では 手回しオルガンの曲がながれおいた
 始たらない玙芝居ず
  甘い砂糖菓子の䜙韻
   蛍のようにただようバラの銙り
い぀しかオルガンの曲は
 春の恋を歌う鳥たちの声にかわっおいた 

 
 


【あなたの゚ンディング】

 ゚ンディング曲 「倜間飛行」 by レヌモンド・ルフェヌブル

 さお 倜は
 すっかり 倢の䞭ぞず溶け蟌んでいきたす

 遠くに聞こえた歌は 幻でしょうか 
 それずも 明日の予告線でしょうか

 そんな玠敵な物語が きっず 
 あなただけの旅の始たりずずもに 扉を開けお埅っおいたす

 さあ あずもう少し
  䞍思議の぀づきを あなた自身の倢の䞭で

 今倜 お送りしたアルバムは 
 シュヌベルトで 『冬の旅』

 フラむトのお䟛をいたしたしたパむロットは
 わたくし ○○○ でした
 

 

 
 
 

雪男

 
 
詩やSFをものしおゐたす。叀兞、珟文、英仏珟代アメリカ問はず。奜きな䜜家は、.ブコりスキヌ、幞田文、ル・クレゞヲ、玫匏郚より枅少玍蚀掟 ― 長いものも、がちがちに

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