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詩人

    海もや 漁火
    桜の若葉 猫の眼の露
    また じっと海ばかり見ていたね
    しかし ときどき 小鳥のように居眠り

    私のなかの海 ふっと赤い灯
    月に指染めて 鎧戸を繰るクララ
    詩人の王子 戦いの野に出でたり

    海よりも深い 人の人生よりもながい愛情
    戦争など 何物であろう
    南十字星の海の上
    ショールに投げた あなたの涙
    いとも鮮やかに それが見える
    すべての感謝を すべての犠牲を あなたに捧げる

    いぶし銀のメノウのブローチ 白い石の指環
    でも あなたに送るてだてがない

    明日 シンガポール
    二人に一本のビール

    わが妻よ 愛する妻よ
    あなたの頬に無限の愛を

    父上や あなたのことなど思う
    僕はきわめて元気だ

    シンガポールにて
    このペンの先から 細いつながりの糸
    たよりたちの運命

    木を叩く鳥
    蚊帳に南風
    ああ ふるさとの匂いよ

    人生 わずかに淋しい
    絶対の奥のビヤイ

    身命 顧みる暇もなく
    海の藻屑と消え失せるとも
    精神のありたけの詩を
    あなたへの至純なる真心を
    私たちには 未来が見える


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    雪男

     
     
    詩やSFをものしてゐます。古典、現文、英仏現代アメリカ問はず。好きな作家は、C.ブコウスキー、幸田文、ル・クレジヲ、紫式部より清少納言派 ― 長いものも、ぼちぼちに

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