ブチクク(時鳥)
あまかける 天骨らが要害に一昔
芸苑の石亀が笈を負ひ 迷ひき
高で 寛闊の雷名を欲して 雲居に留まるにあらずや
うちひさつ 月都は 紫陌紅塵 震動雷電
繊芥の こん拙生を捧げるに引合するや
同病相憐れまん 実法 病羸に帰思の生ずるを
弘法の 菅公の 筆硯が朋有遠方とも
すでに羸瘦 陰虚火動のごとく 一蕾百落のごとく
いさ 虚妄幻辱を忘じ 桃源黄巻したしむに憑れ
籠中時鳥啼 瞼裏の田園の いまだ誅鋤せずを
戦焔焼尽の千枚田のごとく 浅茅生い蔽うらん
あぎ 命数に背いて 赤土の休耕を悔いるや
一日三界 煦煦もらす暖窓の
哀感の軍持に座して 延命乞う虱をひねり
白色白光に痩影を吟じるは 其 銀燭繍屏なり
土用布子の寒襦に ひさかたの 天泣の雨声を聴きもち
ふふむ 汗牛充棟の書を薫掛に臥さん
竹風に蕉雨 松籟に琴声 あぎよ 秋風のみをきけ
贏得誉望 冥土の塁をなさずを知りて
村鳥の頭目あこがれし 孤猿は しっぽり喜ぶ
風風 蟇狐の絃歌巷に 狂言の多情が棲もうとも
詩も 天も 酒も 地も
われ 独心に 清らかに淡なり
炒つきの塵中 真的は漠々あるも あぎの傲骨 楚楚たり