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悪魔

    忘れてはならない
    戦争が どんなに凄惨なものか
    絶えず祈り 真剣になれ
    一切の浮薄を捨てよ

     「 忍べよ 忍べ 」
     「 もう おしまいだ 」
     「 いや 俺は生きよう 生きよう! 」

    そして 自分の命のために戦う

    メムリング
    ヴァン・アイク
    混沌を貫いて 神を見る努力

    ゲーテの詩を買った

     いく百万の星は 夢みつ
     わが愛人の跡を 慕い来る

    消滅と生成が ふたたび僕を捉える

     死せよ 成れ
     この一事を会得せざる限りは
     汝 暗き地上の 悲しき客に過ぎず

    最上の戦友が戦死した
    ヘルマン・バルテルは 僕の知る もっとも気高い人間であった
    彼の死の知らせを受け取った時
    僕は みんなの前で泣いた

    行軍 眼に見るものとては 荒廃のみ
     一つの石も
     一つの繁みも
     一本の木も
    かつての幸福と繁栄を語るものは 何もない
    ただ 名前だけが残っていた

    誰が 悪魔を描きえただろうか
     掘り返された土地の
      死んだ森林の
       十字架 また 十字架
    それら すべてが 悪魔の醜い面だ

     あなた方 あの 海の彼方の雷鳴をお聞きでしょう
     そこの峪まで こだまします
     塵の中で 波の上で 兵と兵が出会って
     迫り合って 苦戦する
     そして 死は 掟
     それは そうしたものなのです

     恐ろしい!
     気味が悪い!
     お前には 死が掟だって?

     遠くから 見ていられましょうか?
     いやいや
     あそこへ行って 艱難辛苦を倶にします
     
    数日前から ふたたび戦線にいる
    はてしもなく長い塹壕の 狂おしい気分
    外部の人間は 異様な幻影のようだ
    キリストの昇天が見た世界や これは

    海の潮は 時々に満ちる
    僕の血も 時々に満ちる
    花は萎み
    取るに足らぬ優しさが 星とともにさすらう
    熱烈な喜びをもって咲いたものは
     天国で永久に咲き続けるのか
    おお! すべての醜いもの
     低級なもの 響きなきもの
     それらが 僕から脱落してくれたなら
    静かな浄福よ
    僕の衣よ 歌よ 音楽よ
    光明に満つる身體よ
    おお! 僕の愛よ ― 固められたココロよ
    神よ
     いよいよ 僕はゆく


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    雪男

     
     
    詩やSFをものしてゐます。古典、現文、英仏現代アメリカ問はず。好きな作家は、C.ブコウスキー、幸田文、ル・クレジヲ、紫式部より清少納言派 ― 長いものも、ぼちぼちに

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