タシ(染み)
聖母の慈愛 時となく優しく
不運の鈎裂きをも繕われた 青黒い学生服
くずれた石積の故郷
見下ったのは これで幾度目だったか
黄金色という帝京の宿 かれは
白露をまつ 夏に疲れた ある早秋のこと
かつての勇み足
ひとりよがりの 時の過ぎゆく まにまに
肺病みの 胸焼けるような酒に染み
疲れた野良犬のように ふるえて 泪がかすむ
のろい世間の無駄話に調子を合わせながら
望郷 つまらない悪戯の傑作を想い出す
夢は一夜 と
あの頃のクロッキーを開く 描いた花は
弥生のカスミソウ ―― 空しく消えた いまは アスファルト
今めかし 閉じれない瞼には
とりとめもなく 他人の空き地が映るだけ
時偶 想像してみる
アイツだったら 何を と