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タシ(染み)

    聖母の慈愛 時となく優しく
     不運の鈎裂きをも繕われた 青黒い学生服
    くずれた石積の故郷
     見下ったのは これで幾度目だったか
    黄金色という帝京の宿  かれは
     白露をまつ 夏に疲れた ある早秋のこと

    かつての勇み足
    ひとりよがりの 時の過ぎゆく まにまに
     肺病みの 胸焼けるような酒に染み
     疲れた野良犬のように ふるえて 泪がかすむ
    のろい世間の無駄話に調子を合わせながら
     望郷 つまらない悪戯の傑作を想い出す

    夢は一夜 と
     あの頃のクロッキーを開く  描いた花は
    弥生のカスミソウ ―― 空しく消えた いまは アスファルト
    今めかし 閉じれない瞼には
     とりとめもなく 他人の空き地が映るだけ
    時偶 想像してみる
     アイツだったら 何を と


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    雪男

     
     
    詩やSFをものしてゐます。古典、現文、英仏現代アメリカ問はず。好きな作家は、C.ブコウスキー、幸田文、ル・クレジヲ、紫式部より清少納言派 ― 長いものも、ぼちぼちに

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