うめもどき
思いがけなく ぼそぼそ
俺の中にあるものが
だんだん薄れて 消えていく
もう これで
詩を書くことも なさそう
まったく
しずかに 消えてしまおう
冬の夜
森が一直線
西を囲んで一直線
ペルセウス
強者が あんなに やさしく
カシオペアよ
その髪の 嫉妬はそのままに
シイニュ ハイヤデス プレヤデス
二十年目に光は変わる
二重星のアルゴー ひどら いるか
ずいぶん勝手な動物ども
今夜一夜は短すぎる
俺の腹にゃあ 陽気な猫
ころころ 鈴をふって 誰かれとなく
ころころ
ころころ
冬の空
ちらちらと 星が濡れる
俺が死のうと 死ぬまいと
オリオンが
向こうの黒い屋根の上
ころころ
こんこん 俺の心よ その肌ざわり
さて どうやら
俺は 俺だが
俺の見る夢は
俺が死のうと 死ぬまいと
牽牛 織姫
少し やっぱり 人心地
でなけりゃあ お母さん
一緒に寝かせてもらいましょう
死ぬってことが 今夜にかぎって
重荷というんじゃなくて
とっても 嫌らしい
愚かしいやら
しおらしいやら
そうじゃなく
嫌らしいんだ
背筋を這い上ってくる悪寒
一途なほど信じている
限りなく好もしい心
美しい顔で 昔の誰かれが 僕を迎える
胸苦しく 母を見送る
遠く知った 懐かしい便り
洗面所あたり
梅もどきが ま新しい
それは 媚びていた
戦友に便り
今は 何をしても十分
梅もどき うめもどき 快い語呂
死ぬってことが 今夜にかぎって
こりゃ いったい どうしたことだ