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軍隊生活

    軍隊生活に与えられたもの
     一、 一方向への徹底
     一、 死生無常
     一、 無我の殺人

    親鸞と共に言おう
     一、 無常に真も方便もなし
     一、 真に アガペも エロスもなし
    二つは烈しく交流す

    軍隊生活とは
     人間存在の偏重
     非合理の合理化
    苦しみなき プロレタリア階級を思う

    のどかな午前の青空を 飛行機
    くちゃくちゃな時代の 昭和の童話
    雲一つとてない青空に 心は堅く閉じている
    童話の中の 子供らのように ニッコリと
    ニッコリと笑って 一つの物語を閉じたい

    狂人よ
    あなたにこそ 真理がある
    祖国を愛する けれど
    祖国は 深淵をのぞいた魂を 待たない

    数学への愛着
    魂の慰安 集合論
    子供のように嬉しく
    海辺で貝殻を拾う子供のよう
    サンチマン的パンセでは 満足できない
    体系性を
    遠く カント アーベルの瞳を

    逃避 この軍隊生活の中から
    いいか! いつわることなく 現実を!

    ポエジー パンセ 軍隊生活が何をや
    押しつぶされた瞑想か

    軍隊生活
    行 いっさい 苦なり
    諸行無常 涅槃寂静

    軍隊生活
    生死を課題に生きる
    団体生活のアガペ

    奥歯に 軍隊生活の悲哀
    除隊したら パスカルに

    軍隊生活の極限とは 階級社会の矛盾
    都会のドンランの中に ラムの花束を

    とまれ 我が胸をつくものは何か
    制限的生活のなかの 自我
     ― 俺の醜悪さ
    結局 俺も 変わりはしないのだ

    ともに 無常道を歩まん

    明日の動員命令
    自らの強情さを見出さん
    信仰も 神も 哲学も 数学も
    一片のクズ紙に
    だから 無常道を歩め

    一打一打のポイエンス
    歴史的現実は 夢と偏見と我執に充ちている
    数そのものの中に跪くアーベル
    俺は アーベルを愛す

    友よ
    いかなる烈しい現実に置かれようとも
    俺は コツコツと 自らの道を踏みしめ行く
    一切 之 平常底

    人生の悲哀も 夜汽車とともに
    遠くどこかへ去っていく

     ― 数学の傍らにて


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    雪男

     
     
    詩やSFをものしてゐます。古典、現文、英仏現代アメリカ問はず。好きな作家は、C.ブコウスキー、幸田文、ル・クレジヲ、紫式部より清少納言派 ― 長いものも、ぼちぼちに

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