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柿の皮

    柿の皮 さらさら 母恋し
    思うことなく
    藤棚の葉のみ繁り

    国旗両肩の海兵団
    空白なものに充たされている
     寒さと疲労
     退屈と貧困
     そして 空腹
     思考は麻痺

    まずは 無になりたい

    空白の時間 書物へのノスタルジー
    文字に飢え 文字をむさぼる

    学舎の窓の外の 空や山の風景に
    自分の分身を すっかりとけこます
    東京の家
    去年の今頃のこと

    春とともに 沈鬱
    短調 鈍重 グルーミィ
    明けても暮れても
     山崩しのハッパ トロッコ
    一週間は また次の一週間

    「 我執を棄てよ 」

    棄てても棄てきれない自分
    自分一人を 賢明に 誠実に
    最後まで生き抜いて 自己を大切に守る

    樫の棒の精神教育
    水兵長が水兵をなぐる
    バタン バタン
    心の中の 大きなたじろぎ
    この水兵が 私の部下になる

    卒業証書授与願
    万が一 帰る日があったら 勉強を続けたい
    だが

    「 やめろ やめろ
     この戦争に大学でもあるまい
     大学の本質は ますます歪められていく 」

    将来に明るさがない
    毎日 先輩戦友が
    ただ 一塊の数量となって
    姿を没していく

    何か あるものが麻痺


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    雪男

     
     
    詩やSFをものしてゐます。古典、現文、英仏現代アメリカ問はず。好きな作家は、C.ブコウスキー、幸田文、ル・クレジヲ、紫式部より清少納言派 ― 長いものも、ぼちぼちに

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