テロン(才能)
かくて ふたたび 某日の出来事
野老のプシュケーが天翔ていった
角田の川向の上り場では 狂女が踊っている
例の日の 鄙別の 楊柳 枝が木漏れに
宛ら 棟方志向が描いたような空中楼閣が聳えていた
天下に青っ切を煽ろうとも 城邑を捨てた秋思は心去らず
早早 般若湯は冷めやって 八千度は切子の露と消えるばかり
生覚えの白詩が はしきやし と 宿怨を詠じる
豈 血気を片時の興に献上するなど できようか
今めかし なす術の何もかもが 気紛れにすぎたかを諫められた
熱地の銀紅が 春夢の路地裏を照らし
今尚 影絵が人形を諦めきれぬように
その青白い瓦斯燈に ヒヒルが集まってくるように
痩骨の月は 秋の斑気に弄ばれて
愚輩の抜け殻は 零落な雨に濡れるほかない事を
玉飾の額のうちに登場し かの神容を模写してみるには
あるいは 伴侶たる一本の筆には 絵皿はあまりに色が足らない事を
而して 愚魂は 辛辛 落とした無依を拾った
高尚なだけの雁皮とは
ただ 狂騒の詩を書き写すだけの物であった という事を