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テロン(才能)

    かくて ふたたび 某日の出来事

    野老のプシュケーが天翔ていった
    角田の川向の上り場では 狂女が踊っている
    例の日の 鄙別の 楊柳 枝が木漏れに
    宛ら 棟方志向が描いたような空中楼閣が聳えていた

    天下に青っ切を煽ろうとも 城邑を捨てた秋思は心去らず
    早早 般若湯は冷めやって 八千度は切子の露と消えるばかり
    生覚えの白詩が はしきやし と 宿怨を詠じる
    豈 血気を片時の興に献上するなど できようか
    今めかし なす術の何もかもが 気紛れにすぎたかを諫められた

    熱地の銀紅が 春夢の路地裏を照らし
    今尚 影絵が人形を諦めきれぬように
    その青白い瓦斯燈に ヒヒルが集まってくるように
    痩骨の月は 秋の斑気に弄ばれて
    愚輩の抜け殻は 零落な雨に濡れるほかない事を
    玉飾の額のうちに登場し かの神容を模写してみるには
    あるいは 伴侶たる一本の筆には 絵皿はあまりに色が足らない事を

    而して 愚魂は 辛辛 落とした無依を拾った

    高尚なだけの雁皮とは
    ただ 狂騒の詩を書き写すだけの物であった という事を


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    雪男

     
     
    詩やSFをものしてゐます。古典、現文、英仏現代アメリカ問はず。好きな作家は、C.ブコウスキー、幸田文、ル・クレジヲ、紫式部より清少納言派 ― 長いものも、ぼちぼちに

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