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Photo bymatsudatakafumi

【エッセイ】大部屋での入院

    腎盂腎炎という病気になり、総合内科感染症科というところに入院したことがある。

    僕は4人部屋に入院していた。
    が、「感染症科」の大部屋のためか全員がカーテンをびっしり閉めており、同じ部屋にいるのに、その顔さえ分からない。

    しかし、若い看護師との会話の声から、ここには「ジジイ」しかいないことがよく分かる。

    そして、元気なジジイが多いせいか、声が大きくその会話が丸聞こえで、まるで場末のスナックである。

    「◯◯さん、ごめんね、2時からのシャワーなんだけど、違う患者さん見なきゃいけなくなっちゃって、あたし、付き添えないから」

    「またまた、汚いじいさんの裸より、若い男の方がいいんだろぅ」

    「そんなこと、ありませんよー」

    俺が絶対にしない低俗で不毛な会話を平気でしている。
    こんな会話に何の意味があるのか、このジジイに問うてみたい。

    そして2時になった時、その若い看護師が面倒を見に来た相手はなんと俺だった。

    点滴の時間だったのだ。

    「そうか、若い男は俺か」

    何だか勝った気がした。

    ちなみに、そのジジイは翌日に迎えに来た家族と共に元気に退院して行きました。

    #創作大賞2026

     
     
    定年退職した1961年生まれの爺さんです。 札幌在住です。 趣味でドラムを叩きます。 60年を超えて生きているとね、面白いこと、感動したこと、後悔したことなど、色々感じる出来事があるのでね、それらをポツリポツリと書いていこうと思います。

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