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【保存版】PSYCHO RADIOプロゞェクトvol.4 ぀いに公開‌皆さんお埅たせしたした‌

どうもコトリパパです
皆さん、お埅たせ臎したした❗
PSYCHO RADIOプロゞェクトvol.4
ようやく完成いたしたした‌

今回は色々ず苊劎したした😣
特に曲䜜りの方が倧倉で、やりたい事を
完璧に再珟する難しさを改めお痛感させられる
䜜品になりたした。

予告でも曞きたしたが、今回の䞻人公は
高校生です❗
青春ど真ん䞭の少幎は本圓の自分を芋぀ける
事が出来るのか
⁉
PSYCHO RADIOプロゞェクトvol.4
スタヌトです‌

20䞖玀埌半、
ただ答えが、簡単には芋぀からなかった頃の話。
PSYCHO RADIOずいう名前だけが、
どこかに残っおいる。
誰なのか、䜕を目的にしおいるのか、
それを知るものはいない。
ただ、ひず぀だけ噂がある。
PSYCHO RADIOに觊れた者は、必ず䞀曲だけ——人生を倉える曲を残す。
成功か、倱敗か。
幞犏か、砎滅か。
遞択の先に、答えはない。

決めるの自分自身。
埌には沈黙だけが残る 。

PSYCHO RADIO vol.4 -「絃ず匊」
第1章
1
攟課埌の音楜宀に、ドラムの音が響いおいる。
倧河のスティックが、䞀定のリズムを刻む。韍二のベヌスが、その䞋を支える。僕——颚間未来は、ギタヌを構えおコヌドを鳎らした。
友達からは「ミキ」ず呌ばれおいる。
「そこ、もうちょっずタメお」
ノォヌカルの玗矅が手を䞊げた。
「タメるっお、どれくらい?」
もう䞀人のギタヌ、瞬が聞き返す。
「んヌ  感芚」
「わかんねえよ」
瞬が笑いながら、もう䞀床カりントを出す。
僕たちは、たた同じフレヌズを繰り返した。
音楜宀の窓から、倕陜が差し蟌んでいる。倖では郚掻の声が聞こえる。サッカヌ郚のかけ声、陞䞊郚の足音。
僕たちには、郚掻じゃない。ただの攟課埌。
玗矅の声が、メロディヌに乗る。
この時間が、䞀番楜しかった。
䜕も考えなくおいい。ただ、音を鳎らせばいい。
「今日はここたでにしよっか」
玗矅が時蚈を芋お蚀った。
「もう六時か」
「ミキ、倧䞈倫? 家、遅くなるず色々あるんだろ?」
「ああ、たあ  」
僕は曖昧に笑った。
色々、ずいうほどでもない。
ただ、あたり遅くなるず、皜叀の時間ず被る。

2
颚間家は、この街では知られた家だった。
琎の「颚間流」。十四代続く流掟で、父は十四代目の家元。党囜芏暡で芋れば小さな流掟かも
しれないが、地方郜垂でこれだけ続いおいる家は
珍しいらしい。
匟子が䜕人もいお、毎週皜叀がある。
発衚䌚もあれば、他の流掟ずの亀流䌚もある。
䌝統芞胜の䞖界は、思っおいるより狭くお、密で、繋がりが深い。
僕は䞀人っ子だから、い぀かは継ぐこずに
なるんだろう。
ただ、それは「い぀か」の話だ。
ただ高校生で、ただ先のこずで——倧人になったら、その時に考えればいいず思っおいた。
小さい頃から僕は琎が奜きだった。
父が匟く音を聞いお育っお、自分も匟きたいず思った。教えおもらっお、音が鳎った時、嬉しかった。
今も、琎は奜きだ。
毎日緎習しおいる。倕飯の前、䞀時間ほど。絃に觊れお、音を確かめる。父や埳川さんには
「ただただだ」ず蚀われるけれど、同䞖代の䞭では
結構匟ける方だず思う。
でも、䞭孊の時にロックを知った。
友達が貞しおくれたCDを聞いお、
それたで知らなかった音に出䌚った。
ギタヌの歪んだ音、ドラムの力匷いビヌト。
琎ずは違う、䜕か——激しくお、自由で、どこたでも広がっおいくような音。
どっちが奜きか、なんお遞べなかった。
どっちも、奜きだった。
家に垰るず、玄関で靎を脱ぐ音だけが響く。
「おかえり」
母——劙が、奥から顔を出した。
「ただいた」
「倕飯たで少し時間あるから、緎習しなさい」
「うん」
僕は二階に䞊がっお、鞄を眮いた。
窓の倖には、皜叀堎の明かりが芋える。今日も誰か来おいるんだろう。琎の音が、かすかに聞こえる
気がした。
少し着替えお、䞀階に降りる。
自分の郚屋——ずいっおも、皜叀堎の隅に眮かれた自分甚の琎がある堎所——に向かった。
絃に觊れる。
音を鳎らす。
指が、自然に動く。
毎日匟いおいるから、䜓が芚えおいる。
琎の音は、静かで、柄んでいる。
この音も、奜きだった。

3
食卓には䞉人分。
父——宗䞀郎は、い぀もの垭に座っおいる。
厳栌そうに芋えるが、怒鳎られたこずは䞀床も
ない。ただ、感情を衚に出さない人だった。
僕ず䌌おいるのかもしれない。
母が味噌汁をよそっお、僕の前に眮いた。
「いただきたす」
䞉人で手を合わせる。
箞を取っお、ご飯を口に運ぶ。
父は、䜕も蚀わない。
母が、小さく話す。
「明日、埳川さんが来るそうよ」
「ああ」
父が短く答えた。
埳川さん——父の䞀番匟子で、颚間流を誰よりも倧切にしおいる人。真面目で、几垳面で、
䌝統を守るこずに䞀切の劥協がない。
僕のこずも、次期家元ずしお芋おいる。
「未来も、顔出しなさい」
「  うん」
僕は曖昧に頷いた。
父が、こちらを芋た。
䜕か蚀いたそうで——
でも、䜕も蚀わなかった。
僕も、䜕も聞かなかった。
父は、バンドのこずなんお知らない。
ギタヌは孊校のロッカヌに眮いおある。
家には絶察に持ち垰らない。
攟課埌、音楜宀にいるこずも、遊んでいるずしか
思われおいないはずだ。
バレるはずがない。
バレおは、いけない。

4
翌日、孊校垰りに瞬に誘われお、商店街を
歩いおいた。
「ギタヌの匊、切れそうなんだよな」
「たたかよ」
「力入れすぎなんだっお」
瞬は盞倉わらず軜い調子で笑っおいる。
商店街の倖れに、楜噚も扱っおいる叀い
音楜スタゞオがあった。「サりンドりェヌブ」ずいう名前だが、看板は色耪せおいお、入り口も薄暗い。
この街で唯䞀、時間貞しのスタゞオを持っおいる
店だ。
「ここ、ただ朰れおないんだな」
「意倖ず䜿っおる奎いるらしいぜ。倧孊生ずか、
フリヌタヌのバンドマンずか」
瞬がドアを開ける。
䞭に入るず、受付に座っおいる店䞻——五十代
くらいの、無粟髭を生やした男が顔を䞊げた。
「匊?」
「そうっす」
瞬が軜く手を挙げる。
店の奥から、笑い声が聞こえた。
スタゞオの郚屋を借りおいるらしい。
ドアの隙間から、ギタヌの音ず、
誰かの話し声が挏れおいる。
「——だからさ、PSYCHO RADIOっお知っおる?」
「ああ、聞いたこずある。郜垂䌝説だろ?」
「いや、マゞで存圚したらしいんだよ。10䜕幎か
前から噂になっおる」
「で? 䜕なの、それ」
「正䜓䞍明の音楜家。䌚った奎は必ず䞀曲だけ、
人生倉える曲を残すんだっお」
「はあ? 意味わかんね」
「だから郜垂䌝説なんだろ」
笑い声が響く。
僕は、その䌚話をがんやり聞いおいた。
PSYCHO RADIO。
人生を倉える、䞀曲。
「ミキ、行くぞ」
瞬が匊を受け取っお、倖に出る。
僕も埌を远った。
䌚話の続きは、聞こえなくなった。
でも、なぜか胞に匕っかかるものがあった。

5
その週末。
埳川さんが来た。
皜叀堎には、父ず埳川さん、それに匟子が数人。
僕は少し離れた堎所で、琎に向かっおいた。
指が匊に觊れお、音を鳎らす。
静かで、柄んだ音。
「未来くん、最近䞊達したね」
埳川さんが声をかけおきた。
「ありがずうございたす」
「毎日緎習しおいるのが、音に出おいる」
埳川さんは笑った。
「この調子なら、次の挔奏䌚で䞀曲任せられる
かもしれんな」
僕の手が、䞀瞬止たった。
挔奏䌚で、䞀曲。
それは——独挔、ずいうこずだろうか。
今たで、発衚䌚で匟いたこずはある。でも、それは合奏だった。父や埳川さん、他の匟子たちず䞀緒に。
䞀人で、ずいうのは初めおだ。
「  頑匵りたす」
僕はそう答えた。
埳川さんは満足そうに頷いお、
たた自分の琎に向かった。
皜叀が終わっお、埳川さんが垰る。
父が、僕の方を芋た。
「  よく匟けおいた」
「ありがずう」
「続けおいれば、ちゃんず身に぀く」
それだけ蚀っお、父は皜叀堎を出おいった。
僕は、琎を芋䞋ろした。
ちゃんず身に぀く。
それは、技術のこずだろうか。
それずも——

6
たた月曜日が来お、攟課埌の音楜宀。
い぀もの五人が集たっお、い぀ものように音を
合わせおいた。
䞀曲終わったずころで、玗矅が携垯を取り出した。
「ねえ、ちょっず芋おこれ」
「䜕?」
「商店街の倏祭り。今幎、バンドのステヌゞ
募集しおるんだっお」
「マゞで?」
瞬が食い぀いた。
「五組限定。しかも今幎は音響ちゃんずしおる
らしいよ」
玗矅の目が、キラキラしおいる。
「出おみたくない? 私たち、もう䞉幎だし」
韍二が、珍しく口を開いた。
「  やるなら、ちゃんずやらないずな」
「ちゃんずっお?」
「オリゞナル」
その䞀蚀で、空気が倉わった。
倧河が腕を組んだ。
「オリゞナル、か」
「コピヌばっかじゃ、぀たんなくね?」
瞬が蚀った。
みんなの芖線が、僕に集たった。
「  ミキ、どう思う?」
玗矅が聞いおくる。
僕は、少し考えた。
オリゞナル。
自分たちの音を、圢にする。
それは、今たで避けおきたこずだった。
でも——
「やっおみよう」
僕は蚀った。
玗矅が、ぱっず笑った。
「じゃあ、曲䜜らなきゃね」
「ミキが䜜るの?」
「いや、わかんない。やったこずないし」
「わかんなくおも、やっおみようぜ」
瞬が笑った。
「そうだね。せっかくだし」
玗矅も頷いた。
僕は、ギタヌを芋䞋ろした。
自分たちの音。
それを、ちゃんず鳎らす。
できるだろうか。
わからない。
でも——
やっおみたかった。

7
その倜、僕は自分の郚屋で机に向かっおいた。
宿題のノヌトを開いおいるけれど、
手は動いおいない。
頭の䞭で、音が鳎っおいる。
さっき鳎らしたコヌド進行。玗矅の声。
韍二のベヌスラむン。
それを繋げたら、䜕ができるだろう。
指が、机の端を叩いた。
リズムを取るように。
オリゞナルの曲。
自分たちの音。
それを䜜るっお、どういうこずだろう。
廊䞋を、父の足音が通り過ぎる。
僕は息を止めた。
倧䞈倫。
ギタヌは孊校にある。
家には、䜕もない。
バレるはずがない。


第2章
1
月曜日の朝は、い぀も眠い。
目芚たしを止めお、もう䞀床垃団に朜り蟌みたくなったけれど、起き䞊がった。カヌテンを開けるず、いい倩気だった。
階段を降りるず母が台所にいた。
「おはよう」
「おはよう。朝ごはん、すぐできるから」
「父さんは?」
「もう散歩に出たわよ」
父は毎朝、家の呚りを散歩する。䞉十分くらい。
僕が起きる頃には、もう出おいる。
テヌブルに座るず、母が味噌汁をよそっおくれた。卵焌きず、ご飯。テレビからは朝のニュヌスが
流れおいる。
「今日、遅くなるの?」
「ううん、普通に垰る」
「そう」
箞を取っお、ご飯を口に運ぶ。
い぀もの朝。䜕も倉わらない。

2
孊校に着くず、瞬が既に教宀にいた。
「おヌ、ミキ」
「早いな」
「今日、小テストあんだよ。忘れおた」
「マゞで?」
僕も完党に忘れおた。
朝のHRが始たっお、担任が入っおくる。䞀時間目、二時間目、䞉時間目。授業を受けお、
ノヌトを取っお。
窓の倖では、䜓育の授業をやっおる。
昌䌑み、瞬ず賌買に行った。
「なあ、倏祭りの曲、どうすんの?」
「ただ党然できおない」
「マゞで? やばくね?」
「やばい」
パンを霧りながら、校庭を眺めた。い぀もの昌䌑み。

3
攟課埌、音楜宀に集たった。
い぀もの五人。玗矅、瞬、韍二、倧河、そしお僕。
「じゃ、今日は䜕やる?」
玗矅が聞いおくる。
「ずりあえず前回の続きからやろうぜ」
瞬がギタヌを構えた。
倧河がドラムに座る。韍二がベヌスを持぀。
僕もギタヌを手に取った。
「せヌの」
音が鳎る。
ただ圢になっおない曲の、断片。
でも、少しず぀芋えおきおいる気がする。
「そこのコヌド、もうちょっず明るくできない?」
玗矅が蚀った。
「明るくっお?」
「なんか、重い感じするんだよね」
僕はコヌドを倉えお匟いおみた。
「あ、それいいかも」
玗矅が笑った。
もう䞀床、みんなで合わせる。
少し、良くなった気がした。
「ねえ、倏祭りの応募、明日たでだよ」
玗矅が携垯を芋せおきた。
「マゞで?」
「マゞマゞ。今日出さないず」
「曲、ただできおないけど」
「倧䞈倫でしょ。締め切りたでに完成させれば
いいんだし」
玗矅は、い぀も楜芳的だ。
「じゃあ、応募しちゃおうぜ」
瞬も蚀った。
「やるっお決めたんだろ」
韍二が、珍しく口を開いた。
「やるなら、やる」
倧河も頷いた。
結局、適圓な名前で応募した。正匏なバンド名は、埌で考えればいい。
ずりあえず、倏祭り。僕たちは、出るこずになった。

4
家に垰るず、玄関に芋慣れない靎が䜕足も
䞊んでいた。十足以䞊ある。
誰か来おる?
「ただいた」
声をかけおも、返事がない。
奥から、䜎い話し声が聞こえる。
リビングに向かうず、母が座っおいた。
顔が、真っ癜だった。
その隣には、埳川さん。それに、他の匟子たちが
十数人。
みんな、こちらを芋た。
「  未来」
母の声が、震えおいた。
その瞬間、僕は分かった。䜕か、起きた。
䜕か、取り返しの぀かないこずが。
「お父さんが  」
母は、それ以䞊蚀えなかった。
埳川さんが立ち䞊がった。
「未来くん  宗䞀郎先生が、事故に遭われた」
「  事故?」
「朝の散歩䞭に、車が  」
埳川さんの声が、遠くに聞こえた。
「病院に運ばれたが  搬送䞭に  」
「  嘘だろ」
僕は、声を出しおいた。
でも、誰も吊定しなかった。母が、泣いおいた。
埳川さんが、俯いおいた。
朝、い぀も通り散歩に出た父が。
い぀も通り垰っおくるはずの父が。
もう、垰っおこない。


5
その埌のこずは、よく芚えおいない。
誰かが僕に怅子を勧めた。座った。
母が、ずっず泣いおいた。
埳川さんが、䜕か説明しおいた。
でも、蚀葉が入っおこない。
父が、死んだ。
朝、「いっおきたす」っお蚀った。
母が「いっおらっしゃい」っお蚀った。
それだけ。それだけで、終わった。
「未来」
母が、僕の手を握った。
「  うん」
僕は返事をした。䜕を返事したのか、わからない。ただ、声を出した。
郚屋の空気が、重かった。時蚈の音だけが、
やけに倧きく聞こえた。


6
倜になっお、匟子たちが垰った。
母ず二人、リビングに残された。
「  お腹、空いおない?」
母が聞いおきた。
「  倧䞈倫」
「䜕か、食べなきゃ」
「  うん」
でも、二人ずも動かなかった。台所に立぀気力が、なかった。
結局、その日は䜕も食べなかった。
携垯が、䜕床か鳎った。玗矅からだった。
瞬からも。でも、芋る気になれなかった。

7
葬儀の準備が始たった。
埳川さんが䞭心になっお、色々ず手配しおくれた。僕ず母は、ただ頷くだけだった。
「未来くん、喪䞻は君になる」
埳川さんが蚀った。
「  はい」
「蟛いだろうが、しっかりしなければ」
「  はい」
返事はした。でも、実感がなかった。
父が死んだ。
その事実が、ただ珟実に感じられなかった。

8
葬儀は、䞉日埌に決たった。
その間、家には人が出入りした。
颚間流の関係者、近所の人、父の知り合い。
みんな、同じこずを蚀った。
「倧倉でしたね」
「お悔やみ申し䞊げたす」
「お若いのに」
僕は、䜕床も頭を䞋げた。ありがずうございたす、ず蚀った。でも、心は動いおいなかった。
ただ、䜓が動いおいるだけだった。
孊校は、䌑んだ。担任に電話しお、事情を話した。
玗矅からメヌルが来た。
「ミキ、倧䞈倫? 䜕かできるこずあったら蚀っお」
瞬からも。
「無理すんなよ」
韍二からも、倧河からも。みんな、優しかった。
でも、返事を曞く気になれなかった。
バンドのこず。倏祭りのこず。党郚、遠くに感じた。

9
葬儀の日が来た。
喪服を着お、䌚堎に向かった。
たくさんの人がいた。
父の顔は、穏やかだった。
眠っおいるみたいだった。
でも、もう目を芚たさない。
焌銙が始たった。僕は、喪䞻ずしお立った。
䞀人ず぀、前に出おくる。頭を䞋げる。
䜕床も、䜕床も。
玗矅が来た。瞬も、韍二も、倧河も。
みんな、制服姿で来おくれた。
「ミキ  」
玗矅が、䜕か蚀いかけた。
でも、䜕も蚀わなかった。
ただ、頭を䞋げお、去っおいった。

10
葬儀が終わった。
家に戻るず、急に静かになった。
母が、リビングに座っおいる。僕も、隣に座った。
「  未来」
母が、小さく蚀った。
「お父さん、本圓は  」
母は、そこで蚀葉を切った。
「  䜕?」
「  ううん、䜕でもない」
母は銖を振った。
䜕か、蚀いたそうだった。でも、蚀わなかった。
僕も、聞かなかった。

11
次の日から、孊校に戻った。
みんな、気を遣っおくれた。
「倧䞈倫?」っお、䜕床も聞かれた。
「倧䞈倫」っお、䜕床も答えた。
でも、本圓に倧䞈倫かどうか、わからない。
攟課埌、音楜宀に行った。
みんな、い぀も通りそこにいた。
「  ミキ」
玗矅が、僕を芋た。
「  悪い、ただギタヌ持おない」
「いいよ、無理しないで」
「曲、どうなっおる?」
「がちがち進めおる。焊らなくおいいから」
僕は、怅子に座っおみんなの音を、ただ聞いおいた。
ギタヌを持たずに。
音だけが、郚屋に響いおいる。

12
家に垰るず、埳川さんが来おいた。
「未来くん、少し話がある」
リビングで、向かい合っお座った。母も、隣にいる。
「颚間流のこずだが  」
埳川さんが口を開いた。
「圓面は、私が代行ずいう圢で皜叀を続ける。
だが——」
埳川さんは、僕をたっすぐ芋た。
「君は、颚間流十五代目を継ぐ芚悟を決めおほしい」
「  はい」
「芚悟、だ。い぀か、ではない」
埳川さんの声に、重みがあった。
「宗䞀郎先生は、この家を、この流掟を、
君に蚗されたんだ」
十五代目。その蚀葉が、胞に乗った。
「  分かりたした」
僕は答えた。
埳川さんは頷いお、垰っおいった。母が、僕を芋た。
「未来  無理しなくおいいのよ」
「  うん」
「お父さんも、きっず  」
母は、それ以䞊蚀わなかった。
父が、䜕を思っおいたのか。
もう、聞くこずはできない。

第3章
1
孊校に戻っお、䞀週間が過ぎた。
授業を受けお、ノヌトを取っお、
昌䌑みは瞬ず他愛もない話をする。
普通の日垞が、戻っおきた。
でも、䜕かが違う。
攟課埌、音楜宀に行く。
みんな、い぀も通りそこにいた。
「ミキ、今日は?」
玗矅が聞いおくる。
「  ただ」
僕は銖を振った。
ギタヌケヌスは、ロッカヌに入れたたた。
觊る気になれない。
「無理しなくおいいから」
玗矅が蚀った。
「でも、倏祭り  」
「倧䞈倫。ただ時間あるし」
本圓に、倧䞈倫なんだろうか。
僕は怅子に座っお、みんなの音を聞いおいた。


2
家に垰るず、母が皜叀堎にいた。
「未来、お垰り」
「ただいた」
「今日は琎、匟かないの?」
「  匟く」
僕は自分の琎の前に座り絃に觊れる。音を鳎らす。指が、芚えおいる。
静かで、柄んだ音。
この音は、ただ出せた。
「きれいな音ね」
母が蚀った。
「  うん」
「お父さんも、きっず喜んでるわ」
母の声が、少し震えた。
僕は、たた絃を匟いた。音だけが、郚屋に響く。


3
週末、埳川さんが来た。
匟子たちも、十数人集たった。父がいない皜叀堎。でも、皜叀は続いおいる。
「では、始めたしょう」
琎の音が、重なっおいく。僕も、その䞭に加わった。
埳川さんの音は、盞倉わらず正確だった。
䞀音䞀音が、決められた堎所にきちんず
収たっおいる。
「未来くん、そこは少し遅い」
「はい」
「もう䞀床」
もう䞀床、匟く。
「よし」
埳川さんが頷いた。
皜叀が終わっお、匟子たちが垰っおいく。
埳川さんが、僕に声をかけおきた。
「未来くん、よく頑匵っおいる」
「  ありがずうございたす」
「だが、ただ迷いが音に出おいる」
埳川さんの目が、僕を芋た。
「迷いのある音では、十五代目は務たらない」
「  はい」
「芚悟を決めなさい」
埳川さんは、それだけ蚀っお垰っおいった。
芚悟。たた、その蚀葉だ。

4
月曜日、孊校。
昌䌑み、瞬が話しかけおきた。
「なあ、ミキ」
「ん?」
「そろそろ、曲䜜り本栌的にやらなきゃダバくね?」
「  そうだな」
「お前、䜜詞䜜曲やるんだろ?」
「いや、みんなでっお  」
「でもメむンはお前だろ」
瞬の蚀葉が、重い。
「ずりあえず、䜕か持っおきおよ。メロディヌずか、歌詞ずか」
「  わかった」
僕は頷いた。でも、䜕も浮かばない。
曲を䜜る。自分たちの音を、圢にする。
それが、できない。


5
攟課埌、音楜宀。
「ミキ、䜕か持っおきた?」
玗矅が聞いおくる。
「  ちょっず埅っお」
僕はノヌトを開いた。
そこには、䜕も曞かれおいない。
「  すたん、ただ」
「そっか」
玗矅は、倱望した様子もなく笑った。
「じゃあ、ずりあえずコヌド進行だけでも
決めおこっか」
「うん」
僕はギタヌを  手が、止たった。
ギタヌケヌスを芋る。開けられない。
「  ミキ?」
玗矅が、僕を芋た。
「  悪い、やっぱりただ無理」
「倧䞈倫。焊らなくおいいから」
玗矅の声は、優しかった。でも、その優しさが、
逆に蟛かった。


6
家に垰るず、母が父の郚屋を片付けおいた。
「未来、ちょっず手䌝っおくれる?」
「うん」
父の郚屋。遺品が、そこにある。本、曞類、琎に関する資料。
「これ、どうしようかしら」
母が、䞀冊のノヌトを手に取った。
「䜕それ?」
「お父さんの  日蚘、かしら」
母がペヌゞをめくる。そこには、父の文字。
几垳面な字で、びっしりず曞かれおいる。
「  読んでいいの?」
「きっず、お父さんも未来に読んでほしいず思うわ」
母が、僕に枡しおくれた。
ペヌゞを開く。皜叀のこず。挔奏䌚のこず。
流掟のこず。
そしお——
「未来が、孊校で䜕かをやっおいるようだ」
僕の手が、止たった。
「詳しくは知らない。聞いおもいない。
だが、少し遅く垰っおくる日がある」
「劙は『友達ず遊んでるのよ』ず蚀うが、
違う気がする」
「䜕か、熱䞭しおいるものがあるのだろう」
「それが䜕であれ、未来のやりたいように
やればいい」
父は、知っおいた。バンドのこずを。
ギタヌのこずを。
知っおいお——䜕も蚀わなかった。
「未来?」
母が、僕を芋た。
「  倧䞈倫」
僕は、ノヌトを閉じた。でも、胞の奥が、
ざわ぀いおいた。


7
その倜、自分の郚屋で父の日蚘を読み返した。
もう䞀床、あのペヌゞを開いた。
「それが䜕であれ、未来のやりたいように
やればいい」
父は、知っおいた。そしお、認めおいた。
でも、䜕も蚀わなかった。なぜ?
なぜ、䜕も蚀わなかったんだ?
聞きたかった。でも、もう聞けない。
携垯を取る。玗矅からのメヌル。
「ミキ、無理しないでね。でも、埅っおるから」
僕は、返信を曞こうずしお、やめた。
䜕を曞けばいいのか、わからない。


8
次の週末も、皜叀があった。
埳川さんず、匟子たち。
みんな、真剣に琎を匟いおいる。
僕も、その䞭にいた。
でも、心はここにない。
「未来くん、集䞭しなさい」
埳川さんが蚀った。
「すみたせん」
もう䞀床、匟く。でも、やっぱり集䞭できない。
皜叀が終わっお、埳川さんが蚀った。
「未来くん、最近、調子が悪いようだが」
「  すみたせん」
「䜕か、悩んでいるこずがあるのか?」
「  いえ」
「そうか」
埳川さんは、それ以䞊聞かなかった。
「だが、芚えおおきなさい。君は十五代目になる。
迷いは蚱されない」
「  はい」
迷いは蚱されない。でも、僕は迷っおいる。
䜕を遞べばいいのか、わからない。


9
攟課埌、音楜宀に行くず、みんながいた。
「ミキ!」
玗矅が笑顔で迎えおくれた。
「今日は、どう?」
「  ごめん、やっぱりただ」
「そっか」
玗矅は、たた笑った。
でも、その笑顔が少し寂しそうに芋えた。
「ねえ、ミキ」
瞬が蚀った。
「俺ら、埅぀のは党然いいんだけどさ」
「  うん」
「でも、倏祭りたで、あず䞀ヶ月もないんだよな」
䞀ヶ月。もう、そんなに迫っおる。
「曲、どうする?」
韍二が聞いおきた。
「  オリゞナル、諊める?」
倧河が蚀った。
「コピヌでもいいんじゃないか」
オリゞナルを、諊める。
それも、遞択肢なのかもしれない。
でも——
「  もうちょっず、埅っおくれ」
僕は蚀った。
「もうちょっずだけ」
「わかった」
玗矅が頷いた。
「埅っおる」
みんなも、頷いた。
僕は、怅子に座った。ギタヌを持たずに。


10
家に垰るず、母が皜叀堎にいた。
琎の前に座っお、䜕かを匟いおいる。
母も、琎が匟けるんだった。
「お垰り、未来」
「ただいた」
「今日は、匟かないの?」
「  匟く」
僕も琎の前に座った。絃に觊れお音を鳎らす。
母も、䞀緒に匟き始めた。二぀の琎の音が、重なる。
「ねえ、未来」
母が蚀った。
「お父さんね、い぀も蚀っおたの」
「  䜕を?」
「未来には、未来の音がある、っお」
未来の音。
「お父さんは、それを信じおたわ」
母の手が、止たった。
「だから、䜕も蚀わなかったのかもしれないわね」
僕は、母を芋た。
「未来が、自分で芋぀けるたで」
自分で、芋぀ける。自分の音を。
「  でも、わからない」
僕は蚀った。
「䜕が自分の音なのか」
「それは、未来にしかわからないわ」
母は、たた絃を匟き始めた。
「でも、きっず芋぀かるわよ」
音が、郚屋に響く。僕も、たた匟いた。
琎の音ず、心の䞭でギタヌの音が混ざる。
でも、それは音にならない。

11
その倜、自分の郚屋で机に向かっおいた。
ノヌトを開く。歌詞を曞こうずしお、ペンが止たる。
䜕を曞けばいいのか。䜕を歌えばいいのか。
窓の倖、月が芋えた。父がいない倜。
父の声が聞こえない倜。
でも、父の蚀葉は残っおいる。
日蚘に曞かれた、父の本心。
「それが䜕であれ、未来のやりたいように
やればいい」
父は、認めおくれおいた。
でも、それで僕はどうすればいい?
琎を続けお、十五代目を継ぐのか。
それずも——
ペンを眮いた。答えが、出ない。


第4章
1
倏祭りたで、あず䞀ヶ月を切っおいる。
攟課埌の音楜宀に、い぀もの四人が集たっおいる。
「ミキ、さすがにダバいよ」
瞬が蚀った。
「わかっおる」
「わかっおるなら、䜕か持っおきおよ。メロディヌ
ずか、歌詞ずか」
僕は䜕も答えられない。ノヌトは、盞倉わらず
真っ癜のたただ。
玗矅が、困ったように笑う。
「ねえ、もうコピヌにしない? その方が確実だし」
「  それでいいの?」
「いいも䜕も、時間ないし」
韍二が口を開いた。
「オリゞナルは、たた今床でいいだろ」
倧河も頷いた。
「今回は無理すんな」
みんな、優しい。でも、その優しさが逆に蟛かった。
「  もうちょっず埅っお」
僕は蚀った。
「もうちょっずだけ」
玗矅が、小さくため息を぀く。
「わかった。でも、来週たでね。それ以䞊は無理
だから」
「  うん」
来週たで。あず䞀週間しかない。
窓の倖では、郚掻の声が聞こえおいる。
サッカヌ郚のかけ声。陞䞊郚の足音。
音楜宀の䞭だけが、劙に静かだ。


2
家に垰るず、埳川さんが来おいた。
リビングで、母ず䜕か話しおいる。僕が玄関に
入るず、埳川さんが顔を䞊げた。
「あ、未来くん。ちょうどいい」
「  はい」
「君にも聞いおもらいたいこずがある」
僕はテヌブルに座った。
母が、お茶を出しおくれるた。
「挔奏䌚の日皋が決たった」
埳川さんが蚀う。
「八月の第䞀日曜日だ」
八月の第䞀日曜日。
その瞬間、頭の䞭で䜕かが匟けた。
「  それっお」
「どうした?」
「  いえ」
八月の第䞀日曜日。それは、倏祭りの日だった。
「そしお——」
埳川さんが続ける。
「宗䞀郎先生の遺志を継ぎ、君の十五代目襲名披露も兌ねるこずになった」
「  は?」
僕の声が、裏返った。
「襲名披露?」
「そうだ」
埳川さんは、真剣な顔でこちらを芋おいる。
「ただ早いず思うかもしれない。だが、颚間流には
家元が必芁だ。君しかいない」
「でも、僕はただ  」
「孊生であるこずは承知しおいる。だが、圢だけでも継いでもらわなければならない」
圢だけでも。その蚀葉が、ずっしりず胞に乗った。
「挔奏䌚は午埌六時開挔。君の出番は䞃時頃に
なるだろう」
午埌六時から。
倏祭りのステヌゞは、午埌四時だ。
時間は——ギリギリだけど、間に合うかもしれない。
「挔奏䌚では、君に独挔で䞀曲匟いおもらう。
十五代目ずしおの、初めおの挔奏だ」
埳川さんの目が、たっすぐ僕を芋おいる。
「芚悟を決めなさい」
僕は、䜕も蚀えなかった。
ただ頷くこずしかできなかった。


3
埳川さんが垰った埌、自分の郚屋に閉じこもった。
ベッドに座っお、頭を抱える。
八月の第䞀日曜日。倏祭りず、挔奏䌚が同じ日。
倏祭りが午埌四時。挔奏䌚が午埌六時から、
僕の出番は䞃時頃。商店街から䌚堎たで——
車で䞉十分くらいか。
ギリギリだ。でも、間に合うかもしれない。
いや——でも、襲名披露だ。十五代目を継ぐ。
そんな倧事な日に、バンドのLIVEなんおやっお
いいのか
携垯電話を手に取った。
玗矅にメヌルを送ろうずしお、文字を打ち始める。
「ごめん、やっぱり無理だった。
コピヌで行っおくれ」
送信ボタンに指を眮く。でも、抌せなかった。
これでいいのか? これで、本圓にいいのか?
「それが䜕であれ、未来のやりたいように
やればいい」
父の蚀葉が、頭をよぎった。
やりたいように。でも、僕は䜕をやりたいんだ?
メヌルを消した。ただ、送れない。


4
授業を受けおいおも、䜕も頭に入っおこない。
教科曞の文字を目で远っおいるだけで、意味が
入っおこなかった。
昌䌑み、瞬が話しかけおきた。
「なあ、ミキ」
「ん?」
「お前、䜕かあった?」
「  別に」
「嘘぀け。顔に曞いおあるぞ」
瞬は、い぀もみたいに笑っおいない。
「  ちょっず、色々あっお」
「色々っお?」
「  家のこず」
「そっか」
瞬は、それ以䞊聞かなかった。
ただ、肩を叩いおくる。
「たあ、無理すんなよ」
「  うん」
窓の倖に、青い空が広がっおいる。
もうすぐ攟課埌が来る。音楜宀に行かなければ
ならない。
でも、䜕を蚀えばいいのか、わからなかった。


5
攟課埌、音楜宀に入るず、みんな既に集たっおいる。
ギタヌを構えお、䜕か音を出しおいる。
「ミキ」
玗矅が、僕を芋た。
僕は、䜕も蚀えなかった。ただ、銖を振った。
玗矅は、少し黙っおから頷いた。
「そっか。じゃあ、コピヌで行くね」
「  ごめん」
「謝らなくおいいよ」
瞬が、䜕か蚀いかけお、やめた。韍二も、倧河も、䜕も蚀わない。
「どの曲がいい?」
玗矅が聞いおくる。
でも、僕は答えられなかった。どの曲でもいい。
僕は、もう関係ないんだから。
「  ごめん、今日は垰る」
「ミキ」
玗矅が、僕を呌び止めた。
「  倧䞈倫?」
「倧䞈倫」
嘘だった。党然、倧䞈倫じゃなかった。
音楜宀を出お、廊䞋を歩く。階段の手すりが冷たい。校門を出るず、商店街の通りに倕方の人の
流れがあった。
サりンドりェヌブの前を通り過ぎようずした時、
䞭から、ギタヌの音が聞こえた。
僕は、立ち止たった。もう、あの音は出せない。
ギタヌを持぀こずもないだろう。
党郚、終わったんだ。

6
家に垰るず、誰もいなかった。
母は買い物に出おいるらしい。
リビングに、メモが眮いおある。
「すぐ戻りたす」
皜叀堎に入っお、琎の前に座っお絃に觊れる。
音を鳎らす。
静かで、柄んだ音。この音なら、出せる。
琎なら、匟ける。
だったら、これでいいじゃないか。
十五代目を継いで、琎を匟いお、颚間流を守る。
それが、僕の圹目。
でも——手が、止たった。
䜕か、違う。䜕かが、足りない。この音じゃない。
僕が本圓に鳎らしたい音は、これじゃない。
琎から手を離した。郚屋が、静かになる。
皜叀堎の窓から、倕陜が差し蟌んでいる。


7
その倜、自分の郚屋で机に向かっおいた。
ノヌトを開く。真っ癜なペヌゞ。
䜕も浮かんでこない。
窓の倖に月が芋えた。
突然、携垯電話が、鳎った。メヌルの着信。
芋るず、差出人は——
PSYCHO RADIO
僕は、息を呑んだ。
PSYCHO RADIO。あの、郜垂䌝説の。
サりンドりェヌブで聞いた、噂の。
なぜ、僕に? なぜ、今?
手が震えながら、メヌルを開いた。

本圓の君を党お出しなさい。
もうわかっおいるはずだよ。



それだけだった。
本圓の君を、党お出しなさい。
もうわかっおいるはずだよ。
僕は、画面を芋぀めた。わかっおいる? 䜕が?
僕は、䜕もわかっおいない。
䜕を遞べばいいのかも、䜕をやりたいのかも。
でも——
ふず、父の日蚘の蚀葉が浮かんだ。
「それが䜕であれ、未来のやりたいように
やればいい」
やりたいように。
本圓の君を、党お出しなさい。
党お——琎も、ギタヌも?
郚屋の䞭、時蚈の音だけが聞こえおいる。


8
次の日、孊校で授業を受けおいる間、
ずっず考えおいた。PSYCHO RADIOのメッセヌゞ。父の蚀葉。
本圓の君を、党お出す。
それは、どういうこずだろう。
昌䌑み、賌買でパンを買っお、
そのたた屋䞊に䞊がった。
空が、広い。颚が吹いおいる。
琎も、ギタヌも。どちらも、僕の䞭にある。
どちらかを遞ぶんじゃなくお——どちらも、鳎らす。
そんなこず、できるのか?
倏祭りは、午埌四時から。
挔奏䌚は、午埌六時開挔で、僕の出番は䞃時頃。
商店街から䌚堎たで、車で䞉十分。
ギリギリだ。でも——間に合うかもしれない。
それ以前に——琎ずロックを、混ぜる。
そんな曲、䜜れるのか?
頭の䞭で、䜕かが繋がり始めた。
琎のフレヌズが浮かぶ。ギタヌのリフが重なる。
ただバラバラだけど、䜕かが芋えおきた気がする。


9
攟課埌、音楜宀のドアを開けるず、
みんな既にそろっおいた。
瞬がギタヌを匟いおいる。玗矅が歌っおいる。
「ミキ」
玗矅が、僕を芋た。
「  聞いおほしいこずがある」
「䜕?」
「倏祭り、僕も出たい」
みんなの手が、止たった。
「でも、家の挔奏䌚ず同じ日なんだ」
「  それで?」
「倏祭りが午埌四時で、挔奏䌚が午埌六時開挔。僕の出番は䞃時頃だから——ギリギリだけど、
䞡方出られる」
「䞡方っお  」
瞬が蚀った。
「倧䞈倫なの? 家の挔奏䌚っお、結構倧事なんじゃ」
「倧事。襲名披露も兌ねおる」
玗矅が、目を䞞くした。
「襲名披露っお  」
「うん。十五代目を継ぐこずになった」
みんな、黙った。しばらく誰も䜕も蚀わなかった。
「それより、曲は? オリゞナル、
ただできおないんでしょ?」
玗矅が聞いおくる。
「  䜜る」
「今から?」
「うん。琎ずロックを、混ぜた曲」
「琎ず  ロック⁉」
玗矅が、目を䞞くする。
「そんなこずできるの⁉」
「わからない。でも、やっおみたい」
韍二が、口を開いた。
「  面癜そうだな」
倧河も頷いた。
「やっおみるか」
玗矅が、笑った。
「じゃあ、やろう。でも、琎っおどうやっお
持っおくるの?」
「倧䞈倫、持ち運びは出来る」
「ギタヌは」
「僕が、匟く」
「ミキが?」
「うん。琎ずギタヌ、䞡方」
瞬が、銖を傟げた。
「それ、できんの?」
「  やっおみる」


10
家に垰るず、母がいた。
「お垰り、未来」
「ただいた」
「今日は、䜕か元気そうね」
「  うん」
皜叀堎に入っお、琎の前に座った。絃に觊れる。
音を鳎らす。
この音ず、ギタヌの音を混ぜる。そんなこず、
本圓にできるんだろうか。
でも、やっおみなければわからない。
頭の䞭で、メロディヌが鳎り始めた。琎の音ず、
ギタヌの音が、少しず぀重なっおいく。
ただ圢にはなっおいない。でも、䜕かが芋えおきた気がした。
「未来、䜕か䜜っおるの?」
母が、皜叀堎に入っおきた。
「  うん」
「聞かせおくれる?」
僕は、たた琎を匟いた。ただバラバラだけど、
メロディヌのラむンが芋える。
母が、静かに聞いおいる。
「きれいね」
「  ただ途䞭だけど」
「お父さんも、きっず聞きたかったず思うわ」
母の声が、優しかった。


11
次の週末、皜叀があった。
埳川さんず、匟子たちが集たっおいる。十数人の琎の音が、重なっおいる。
僕も、琎の前に座る。でも、頭の䞭は倏祭りの曲でいっぱいだった。
「未来くん、集䞭しなさい」
埳川さんが蚀った。
「すみたせん」
もう䞀床、匟く。でも、やっぱり集䞭できない。
皜叀が終わっお、匟子たちが垰っおいく。
埳川さんが、僕を呌び止めた。
「未来くん、最近、調子が悪いようだが」
「  すみたせん」
「䜕か、あるのか?」
埳川さんの目が、僕を芋おいる。
僕は、少し迷っおから口を開いた。
「  実は、孊校で音楜をやっおいお」
「音楜?」
「はい。友達ず、バンドを組んでいたす」
埳川さんの顔が、倉わった。
「  バンド?」
「はい」
「ロックバンドか?」
「  はい」
埳川さんは、少し黙っおから蚀った。
「そうか。それで、䜕かあるのか?」
「  はい。倏祭りで挔奏するこずになっおいお」
「倏祭り  襲名披露ず同じ日じゃないか」
埳川さんの声が、䜎くなった。
「襲名披露の日に、バンドで遊ぶ぀もりか?」
「遊びじゃないです」
「遊びじゃない?」
埳川さんが、僕を芋る。
「では、䜕だ? 君は、颚間流を継ぐのだろう」
「継ぎたす。でも——」
「でも?」
「バンドも、やりたいんです」
埳川さんが、ため息を぀いた。
「未来くん。君は、十五代目になるんだ。
そんな遊びは、やめなさい」
「遊びじゃないっお蚀っおるじゃないですか」
「では、聞く。 琎ずロック、どちらが倧事なんだ?」
「  どちらも、倧事です」
「どちらも?」
埳川さんが、銖を振った。
「そんなこずはできない。
どちらも䞭途半端になるだけだ」
「  でも」
「未来くん」
埳川さんの声が、厳しくなった。
「倏祭りには、行くな」
「  え?」
「襲名披露の日だ。君は、挔奏䌚に集䞭すべきだ。
バンドなど、やめなさい」
僕は、䜕も蚀えなかった。
埳川さんは、それだけ蚀っお垰っおいった。
リビングに、僕ず母だけが残される。
「未来  」
母が、小さく蚀った。
「  倧䞈倫」
僕は答えた。でも、倧䞈倫じゃなかった。


12
その倜、自分の郚屋でノヌトを開いた。
ペンを取る。今床は、手が動いた。
メロディヌのラむン。コヌド進行。琎のフレヌズ。
ギタヌのリフ。
少しず぀、曞いおいく。ただ完成じゃない。
でも、始たっおいる。
埳川さんの蚀葉が、頭をよぎる。
「倏祭りには、行くな」
でも、僕は行く。䞡方、やる。琎も、ギタヌも。
どちらも、僕の音だから。
携垯電話を取っお、玗矅にメヌルを送った。
「明日、ちょっず聞いおほしいものがある」
すぐに返信が来た。
「楜しみにしおる!」
窓の倖、月が芋えた。
本圓の君を、党お出しなさい。
PSYCHO RADIOの蚀葉が、たた頭をよぎった。
党お出す。

第5章
1
次の日、音楜宀に入るず、い぀もの四人が
集たっおいる。
僕はノヌトを開いた。
「これ、芋おくれ」
みんなが、芗き蟌む。
そこには、メロディヌのラむン。コヌド進行。
琎のフレヌズ。ギタヌのリフ。ただ完璧じゃない。
でも、圢が芋えおきおいる。
「これ  琎?」
玗矅が、指差した。
「うん。ここで琎が入っお、ここでギタヌが重なる」
「マゞで混ぜんの?」
瞬が、目を䞞くしおいる。
「やっおみる」
韍二が、口を開いた。
「  コヌド進行、これでいくのか?」
「うん。どう思う?」
「悪くない。ベヌス、こう動かしおみおいい?」
韍二がベヌスを構える。音を出す。
䜎音が、郚屋に響いた。
「あ、それいいかも」
玗矅が蚀った。
倧河がドラムに座る。
「じゃあ、ちょっずやっおみるか」


2
最初は、バラバラだった。
琎のフレヌズをギタヌで匟いおみる。
でも、䜕か違う。音が、軜すぎる。
「ミキ、もっず匷く匟いお」
玗矅が蚀った。
「匷く?」
「うん。琎の音っお、繊现じゃん? でも、ロックに乗せるなら、もっず匷く」
僕は、もう䞀床匟いた。匷く。匊を叩くように。
音が、倉わった。
「あ、それ!」
玗矅が笑った。
「それでいこう」
瞬が、ギタヌを重ねる。韍二が、ベヌスを入れる。倧河が、リズムを刻む。
少しず぀、音が重なっおいく。ただ完璧じゃない。でも、䜕かが芋えおきた。
「歌詞は?」
玗矅が聞いおくる。
「  ただ」
「じゃあ、䞀緒に考えよう」
玗矅が、隣に座った。
窓の倖では、郚掻の声が聞こえおいる。
「どんな曲にしたい?」
「  わからない」
「じゃあ、ミキが今、思っおるこずは?」
僕は、少し考えた。琎も、ギタヌも。
どちらも、僕の音。
父の蚀葉。PSYCHO RADIOのメッセヌゞ。
「  党郚、出したい」
「党郚?」
「うん。琎も、ギタヌも。どっちも、僕だから」
玗矅が、頷いた。
「じゃあ、それを歌にしよう」


3
それから、毎日緎習した。
攟課埌、音楜宀に集たっお、音を合わせる。
少しず぀、曲が圢になっおいく。
歌詞も、玗矅ずみんなず䞀緒に曞いた。
僕が思っおいるこず。感じおいるこず。
党郚、蚀葉にした。
家では、琎の緎習を続けおいる。倕飯の前、
䞀時間ほど。絃に觊れお、音を確かめる。
母が、時々聞いおいる。
「きれいね」
「  ありがずう」
「挔奏䌚、楜しみにしおるわ」
母の声が、優しかった。
埳川さんずの皜叀も、続いおいる。
十数人の琎の音が、重なっおいる。
「未来くん、よく匟けおいる」
埳川さんが蚀った。
「ありがずうございたす」
「だが、ただ迷いがある」
埳川さんの目が、僕を芋おいる。
「  はい」
「迷いを捚おなさい。十五代目ずしお、
堂々ず匟くんだ」
僕は、頷いた。
迷いを捚おる——そのためには、党郚やるしかない。


4
䞀週間が過ぎた頃、ようやく曲が、完成した。
「タむトル、どうする?」
玗矅が聞いおきた。
「  ただ決めおない」
「じゃあ、今決めようよ。倏祭りたで、
もうすぐだし」
みんなが、考え蟌む。
「琎ずロックを混ぜた曲だから  」
瞬が蚀いかけお、やめた。
「フュヌゞョン、ずか?」
「ダサくね?」
「じゃあ、レゟナンス?」
「それもなんか  」
みんな、銖を傟げおいる。
「  ニコむチ」
僕が、小さく蚀った。
「は?」
「ニコむチ。二぀で䞀぀」
「あ——」
玗矅が、笑った。
「それいいかも。琎ずギタヌ、二぀で䞀぀」
「シンプルだけど、いいんじゃね?」
瞬も頷いた。
「じゃあ、決たり。曲のタむトルは『ニコむチ』」
玗矅が蚀った。
「バンド名は?」
倧河が聞いおきた。
「  適圓でいいんじゃね?」
瞬が蚀った。
「青春、ずか?」
「青春  ズ?」
「ダサっ」
みんなが、笑った。
「でも、たあ、いっか」
玗矅が蚀った。
「青春ズで‌」


5
八月の第䞀日曜日が来た。
目が芚めるず窓の倖は玠晎らしく晎れおいた。
今日だ。倏祭りず、挔奏䌚。䞡方、やるんだ。
朝ごはんを食べたあず皜叀堎に向かった。
琎を、専甚のキャリヌバッグに入れる。
母が声をかけおきた。
「未来、今日は倧倉ね」
「  うん」
「お父さんも、きっず芋おるわよ」
母が笑顔で蚀った。
「頑匵っおね」
「ありがずう」
僕は、キャリヌバッグを匕いお、家を出た。


6
商店街に着いたのは、午埌䞉時だった。
倏祭りの準備が、進んでいる。
ずらりず䞊んだ屋台に人が集たっおいる。
特蚭ステヌゞが、蚭眮されおいた。
「ミキ!」
玗矅が、手を振っおいる。
みんな、既に集たっおいた。
「琎、持っおきた?」
「うん」
僕は、キャリヌバッグを䞋ろした。
「マゞで持っおきたんだ」
瞬が、笑った。
「やるっお蚀ったから」
「じゃあ、リハやろう」
倧河が蚀った。
ステヌゞに䞊がった。
機材をセットしながら琎をステヌゞの端に眮いた。ギタヌも、スタンドに立おかける。
「音、出しおみおいい?」
スタッフに聞くず、「どうぞ」ず蚀われた。
僕は、琎を匟いた。
旋埋が、スピヌカヌから流れはじめる。
「おお、ちゃんず聞こえる」
瞬が蚀った。
「じゃあ、䞀回通しおみよう」
みんなで、音を合わせる。琎の音が、
ギタヌの音が、ドラムの音が、ベヌスの音が、
玗矅の声が——
党郚ひず぀になった。


7
午埌四時。
ステヌゞが、始たった。僕たちの出番は、䞉番目。
先に二組のバンドが挔奏しおいる。
芳客が集たっおいる。倏の日差しが、匷い。
子䟛たちが走り回っお、屋台から焌きそばの
匂いがする。
僕は緊匵しおいた。
玗矅が心配そうに蚀った。
「倧䞈倫?」
「  うん」
「じゃあ、行こう」
぀いにステヌゞに䞊がった。
芳客の泚目が集る。
マむクの前に立぀ず玗矅が、話し始めた。
「こんにちは私たち『青春ズ』です‌」
芳客から、笑い声が起きた。「青春ズ、っお。」
「今日はオリゞナルの曲を挔奏したす。
曲のタむトルは『ニコむチ』‌」
拍手が起きた。
「この曲は、仲間のミキが䜜りたした。
琎ずロックを混ぜた曲です」
芳客が、ざわ぀く。琎? ロック?
僕は、琎の前に立った。絃に觊れる。深呌吞。
倧河が、カりントを出した。
「せヌの‌」

8
最初の䞀音が、鳎った。
琎の音。静かで、柄んだ音が、
スピヌカヌから流れる。
芳客が、静たり返った。
僕は、絃を匟き続ける。䌝統的なフレヌズ。
父が教えおくれた音。
琎の旋埋が響く。
静かで、柄んだ音が、商店街を包んでいく。
そこに——
瞬のギタヌが、重なった。歪んだ音。力匷い音。
琎ずギタヌが、混ざる。
韍二のベヌスが入る。䜎音が、地面を揺らす。
倧河のドラムが入る。リズムが、刻たれる。
そしお——
玗矅の声が、乗った。
僕たちが䞀緒に䜜った歌詞。琎も、ギタヌも。
どちらも、僕の音。
党郚、出すんだ。
芳客が、じっず聞いおいる。
僕は、琎を匟き続けた。指が、自然に動く。
毎日緎習した音。父が教えおくれた音。
でも、今は違う。ギタヌず混ざっお、
新しい音になっおいる。
ドラムずベヌスに支えられお、玗矅の声に
乗っおいる。
Aメロ、Bメロ、サビ——
曲が、進んでいく。
そしお、間奏。
僕は、琎から手を離した。ギタヌを手に取る。
ストラップを肩にかける。
瞬が、こちらを芋お頷いた。
僕は、ギタヌを匟き始めた。


9
ギタヌ゜ロ。
瞬ず僕の、ツむンギタヌ。
歪んだ音が、響く。
琎ずは違う。でも、同じなんだ。
どちらも、匊を匟く楜噚。
どちらも、僕の音。
瞬が、リヌドを取る。僕が、ハヌモニヌを重ねる。
音色が絡み合う。
芳客が、声を䞊げおいる。
「すげえ!」
「カッコいい!」
ギタヌ゜ロが、終わった。
僕は、ギタヌをスタンドに戻し、
たた琎の前に立った。
ラストサビ。
玗矅の声が、たた乗る。
僕は、琎を匟いた。さっきより匷く。
さっきより激しく。
琎の音が、ロックに乗る。
瞬のギタヌが、重なる。
韍二のベヌスが、響く。
倧河のドラムが、刻む。
玗矅の声が、高くなる。
そしお——
最埌の䞀音が、鳎った。
琎の音。
静かで、柄んだ音。
でも、さっきずは違う。
ロックを通過した、琎の音。
静寂。
䞀瞬の、静寂。
そしお——
拍手が起きた。
「すごい!」
「琎ずロック、初めお聞いた!」
「めちゃくちゃカッコよかった!」
芳客が、笑顔で拍手しおいる。䞭には、
立ち䞊がっおいる人もいる。
玗矅が、笑っおいる。瞬も、韍二も、倧河も。
みんな、笑っおいた。
「ありがずうございたした!」
玗矅が、頭を䞋げた。
僕たちは、ステヌゞを降りた。


10
ステヌゞを降りるず、誰かが駆け寄っおきた。
「未来!」
その声に、僕は振り返った。
母だった。
「母さん  なんで?」
「芋に来たのよ。内緒で」
母が、笑っおいる。
「すごかったわ。お父さんも、きっず喜んでる」
「  ありがずう」
「でも、もう時間ないでしょ? 挔奏䌚」
母が、時蚈を芋た。
午埌四時半。挔奏䌚は、午埌六時開挔。
僕の出番は、䞃時頃。
「急いで! 車で送るわ」
「え、でも——」
「いいから、早く!」
母が、僕の手を匕いた。
琎をキャリヌバッグに入れお、母の車に乗り蟌む。
「みんな、ありがずう!」
僕は、窓から手を振った。
玗矅たちが、笑顔で手を振り返しおいる。
母が、゚ンゞンをかけた。車が、動き出した。


11
車の䞭、母ず二人。
「母さん、来おたんだ」
「うん。未来が頑匵っおるの、芋たかったから」
母が、笑った。
「琎ずロック、すごく良かったわ」
「  ありがずう」
「お父さんもね、きっず新しいこずに
挑戊しおほしかったず思うの」
母の声が、優しかった。
「䌝統は、守るものじゃなくお、繋ぐものだっお。
い぀も蚀っおたわ」
「  繋ぐもの?」
「そう。次の䞖代に、繋いでいくもの。
そのためには、倉わっおいくこずも必芁なんだっお」
窓の倖を景色が流れおいく。商店街を抜けお、
倧通りに出た。
次は、挔奏䌚。十五代目ずしおの、初めおの挔奏だ。


12
䌚堎に着いたのは、午埌五時半だった。
僕は車を降りお、琎を持った。
「未来、頑匵っおね」
母が、笑った。
「  うん」
䌚堎の入り口に、埳川さんがいた。
「未来くん!」
埳川さんが、駆け寄っおきた。
「どこに行っおいたんだ!」
「  すみたせん」
「挔奏䌚は、もうすぐ始たる。
準備は枈んでいるのか?」
「  はい」
埳川さんの顔が、厳しい。
「もういい。ずにかく、準備をしなさい」
僕は、楜屋に向かった。琎を眮いお、着替え始めた。
鏡に映る自分。
これから、十五代目ずしお挔奏するんだ。
でも——もう迷いはない。党郚、出す。


13
午埌六時。
挔奏䌚が、始たった。
客垭には、たくさんの人がいる。颚間流の関係者、他の流掟の人たち、地域の人たち。母も、前の方に座っおいる。
最初に、埳川さんたちの挔奏があった。䌝統曲。
正確で、矎しい音。拍手が起きた。
そしお——
「次は、颚間未来による独挔です」
アナりンスが流れた。
僕は、ステヌゞに䞊がった。琎の前に座る。
客垭が、静たり返る。
埳川さんが、じっず芋おいる。母も、芋おいる。
僕は、絃に觊れお深呌吞した。
そしお——匟き始める。

14
最初は、䌝統的なフレヌズ。
父が教えおくれた音。静かで、柄んだ音。
客垭が、静かに聞いおいる。
でも——そこから、倉わっおいった。
リズムが、倉わる。匷匱が、倉わる。
䌝統的なフレヌズに、新しいアレンゞが加わる。
さっき、倏祭りで匟いた『ニコむチ』のフレヌズが、混ざる。琎だけだけど——ロックの芁玠が、
入っおいる。
客垭が、ざわ぀いた。これは——䜕だ?
でも、僕は匟き続けた。党郚、出す。
琎も、ロックも。䌝統も、新しさも。
どちらも、僕の音。
指が、絃を叩く。匷く。
さっき玗矅が蚀った通り、匷く。
音が、響く。今たでにない音。
でも、父の音も、そこにある。
僕は、䞡方を鳎らしおいる。
曲が、終わった。静寂。
そしお——拍手が起きた。客垭が、立ち䞊がる。
スタンディングオベヌション。
僕は、頭を䞋げた。


15
ステヌゞを降りるず、埳川さんが埅っおいた。
「未来くん」
怒られる——そう思った。
でも、埳川さんは笑っおいた。
「  玠晎らしかった」
「え?」
「君の音は、宗䞀郎先生の音を受け継ぎながら、
新しかった」
埳川さんが、僕の肩を叩いた。
「䌝統も、時代ずずもに進化しおいくものなのかも
しれないな」
「  埳川さん」
「君は、十五代目ずしお盞応しい」
埳川さんが、頷いた。
「これからも、君の音を鳎らしなさい」
僕は、䜕も蚀えなかった。ただ、頭を䞋げた。

16
挔奏䌚が終わった。
楜屋で、着替えおいるず、母が入っおきた。
「未来」
「母さん」
「すごかったわ。お父さんも、きっず喜んでる」
僕ず母は力匷く抱き合った。

17
母の車の助手垭に座っお、窓の倖を芋おいた。
今日、倏祭りず挔奏䌚。䞡方、やった。
琎も、ギタヌも。
PSYCHO RADIOのメッセヌゞが、頭をよぎった。

本圓の君を党お出しなさい。
もうわかっおいるはずだよ。


僕は、党郚出した。琎も、ギタヌも。
䌝統も、ロックも。
どちらも、僕の音だから。


18
数日埌。
倏䌑みが、ただ続いおいる。
昌過ぎ、玗矅から携垯電話に連絡が来た。
「今日、音楜宀集たれる?」
「いいよ」
孊校に行くず、い぀もの四人が集たっおいた。
「ミキ、挔奏䌚どうだった?」
玗矅が聞いおきた。
「  うたくいった」
「よかったね!」
玗矅が、笑いなが蚀った。
「じゃあ、次の曲䜜ろうよ」
「次?」
「うん。たた、琎ずロック混ぜた曲」
瞬が蚀った。
「面癜かったし、もっずやろうぜ」
韍二も、倧河も頷いた。
僕は、笑顔で、
「  うん。やろう」
ギタヌを手に取っお匊を鳎らす。
この音が、奜きだ。琎の音も、奜きだ。
どちらも、僕の音。
窓の倖、倏の空が青い。倏䌑みの音楜宀に、
音が響いおいる。

完



䜜詞:青春ズ&claude&コトリパパ
䜜曲:sunoAI
歌:青春ズ

ニコむチ

攟課埌の音楜宀 鳎らした音
バラバラだったけど 今は違う
誰かが笑った 無理だっお
でも私たち やっおみたかった

琎もギタヌも ドラムもベヌスも
党郚混ぜちゃえ 欲匵りでいいじゃん
答えなんおない 自分たちで䜜る

二぀で䞀぀ ニコむチでいい
違うものでも 䞀぀になれる
和もロックも 党郚私たちだ
鳎らせ このメロディを 今!

悩んで迷っお ぶ぀かっお
それでも信じた この仲間を
䌝統も新しさも 抱きしめお
走り出すんだ 今から

誰が䜕お蚀おうず 関係ないよ
私たちには 私たちの音
混ぜおいくんだ 未来ぞず

二぀で䞀぀ ニコむチでいい
違うものでも 䞀぀になれる
和もロックも 党郚私たちだ
鳎らせ このメロディを 今!

二぀で䞀぀ ニコむチだから
どっちも譲れない
青春も音楜も 仲間も党郚
抱きしめお 走り出せ 今!

二぀で䞀぀ ニコむチでいい
これが私たちの 音なんだ!

二぀で䞀぀ ニコむチでいい
これが私たちの青春いたなんだ



PSYCHO RADIOプロゞェクトvol.4「絃ず匊」
いかがでしたでしょうか⁉
あれも、これもず色々取り入れおいるうちに、
かなりの長文になっおしたいたした💊
でも、かなり熱のこもった䜜品になっおいる
ず思いたす❗😁

ご意芋、ご感想などありたしたら
コメント欄にお願いしたす‌
次の䜜品の励みになりたす❗

以䞊コトリパパでした

完党燃焌で曞き䞊げたした
たた次の蚘事でお䌚いしたしょう

いいなず思ったら応揎しよう

この蚘事が参加しおいる募集