
ひとつの空、光は二つ
いつからか、何か想いが湧き出ると
無意識に空の光を探すようになった。
顔を上げるとそこには空が広がっていて、
昼には太陽が浮かび、夜には月が浮かぶ。
自明のことだ。
なんら珍しくもないことだが、
わたしはここ数年のあいだに
その光を眺めることが増えた。
昼の光が街を満たすとき、世界は驚くほど輪郭を持つ。
建物の形も、道の先も、そこにいる人の表情も。
太陽の下では、世界を疑いようのないほど確かに感じる。
昼の光は迷わせない。
ここに道があり、ここに誰かがいて、今が今だということを、はっきりと見せる。
そしてその明確さが、すっと背骨を支えてくれる。
心の中で芽生えた想いは真っ直ぐに伸び、
身体を巡り、やがて世界に触れる。
同じ季節の匂いを吸い込み、
同じ空の下に立つと、
人と人との間に見えない橋が架かるのを感じられる。
太陽の光は、想いを形にしていく。
それは地に足をつけていて、
世界の中にそっと居場所を持つ。
日が沈み、夜の光が灯ると、世界が少し深まり余白が生まれる。
月の下では、昼間あれほど確かだったものが夜の空気の中でゆっくりと溶けてゆく。
夜の光は強くはないけれど、遠くまで届く静かな力を持つ。
距離はあまり意味を持たない。
近いとか遠いとか、
ここにいるとか、いないとか。
そうした測り方が、
静かに解けてゆく。
時に、触れようとしないまま
大切に持っている想いもある。
それは
誰かの人生を壊さないために
静かに置かれた光なのかもしれない。
ただ自分の内側に置いておきたい想い。
昼の光の中では居場所を見つけにくいそれも、
夜の光は決して追い出したりしない。
どのような形であろうと
どこへ向かっていようと
ただそこに在ることを、静かに許してくれる。
人は、
明るい時間の中で誰かを見つけ、
静かな時間の中で誰かを想う。
太陽のような確かな光と、
月のような静かな光が、
同じ空に浮かんでいる。
その空を抱えながら、
今日も見上げている。
❤︎最後まで読んでくださりありがとうございます。