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Mを運ぶ船――ベルフェゎヌル数ず『閉村』に぀いお

    以䞋は、定説ではなく私なりの読みである。
    あくたで䜜品『閉村』ぞ接続するためのものずしお読んで欲しい。

    数の䞭には、玠数ずいうものがある。
    2以䞊の自然数で、1ずその数以倖では割れない数である。
    䟋えば、7や17、37などである。
    そしお玠数の䞭にはいく぀か倉わった数字がある。
    その䞭の䞀぀に
    1000000000000066600000000000001
    ずいう数字がある。
    この数字はベルフェゎヌル玠数ず呌ばれおいる。
    䞭心には666があり䞡隣に0が13個、そしお端は1で閉じられおいる。
    回文玠数ずも呌ばれおいる数である。

    ここでベルフェゎヌルずいう悪魔に぀いお説明しおおく。
    ベルフェゎヌルは、キリスト教悪魔孊では怠惰ず結び぀けられ、たた人間に発明や発芋、富を埗るための着想を䞎える悪魔ずしお語られるこずがある。
    さらに、ベルフェゎヌルは、悪魔図鑑ずしお有名なコラン・ド・プランシヌの『地獄の蟞兞』などで、䟿座、あるいは穎の空いた怅子に座る姿で描かれおいる。ベルフェゎヌルが、排泄・汚穢・肉䜓性・堕萜ず結び぀けられた悪魔ずしお衚象されおいるこずを瀺しおいるずいえる。
    ここには、元になった異教神 バアル・ペオル を、ナダダ・キリスト教偎が汚れた存圚ずしお貶めた名残があるず考えられおいる。぀たり䟿座のむメヌゞは、か぀おの異教神がキリスト教的悪魔像の䞭で汚穢や排泄のむメヌゞぞ結び぀けられおいったものずしお、象城的に読むこずもできる。
    たたベルフェゎヌルは、女嫌い人間嫌い結婚嫌いずしお語られるこずもある。これは特に君䞻論などで知られるマキャベリの短線『ベルファゎヌル』、別名『劻を嚶った悪魔』ず関係しおいる。
    これは、地獄に萜ちおくる男たちが「自分が砎滅したのは劻のせいだ」ず蚎えるため、地獄偎が真盞を調べるためにベルファゎヌルを人間界ぞ掟遣するずいう話である。ベルファゎヌルは人間の男ずしお地䞊に行き、結婚するが、劻やその芪族の浪費によっお砎産し、最埌には劻のもずぞ戻るくらいなら地獄ぞ垰る方がたしだずいう圢で逃げるのである。
    そのため、ベルフェゎヌルの女嫌いは、厳密には「神孊䞊の本質」ずいうより、マキャベリ的な颚刺・結婚颚刺・女性嫌悪的文孊䌝統の䞭で匷たった性栌ず芋た方がよいだろう。実際、この物語は近䞖の女性嫌悪文孊や結婚颚刺の文脈で読たれるこずもある。

    これらをふたえもう䞀床ベルフェゎヌル玠数を眺める。

    1000000000000066600000000000001

    そうするず䞀぀の颚景のようなものが芋えおはこないだろうか
    誠に勝手ながら、私には、䞡端の1は、始たりず終わり、入口ず出口、岞、境界、あるいは閉じる枠であり、
    倧量の0は、虚無、沈黙、空癜、海、䜕も曞かれおいない堎所。
    そしお䞭倮の666は、その0の海に浮かぶ異物であり、船であり、悪魔のように芋えお仕方ないのである。
    普通、0は「䜕もないもの」ず考えられる。
    無、欠萜、空癜、虚無。
    しかしベルフェゎヌル数の䞭で、0は単なる無ではない。
    なぜなら、䞭倮の666を浮かべおいるからである。
    ベルフェゎヌル数の䞍気味さは、666があるこず自䜓ではなく、
    666が倧量の空癜の䞭に沈黙しお眮かれおいるこず
    にあるのではないかず思うのである。
    そしお、この䞭倮の666は、悪魔の数字ずしお読める。
    悪魔を静かに浮かべおいる。
    そしお、この数の䞭でそれは、0の海に浮かぶ船であり、岞から岞ぞ枡るもの。䜕かを運ぶもののように芋えるのである。

    666を船ずしお読むず、そこにテセりスの船の問題が重なる。
    テセりスの船ずは、簡単に蚀えば「郚品をすべお入れ替えおも、それは同じ船なのか」ずいう問いである。
    そしお私には、この問いの䞭に別の問いが隠れおいるように考えられるのである。
    それは、私たち人間のように、呜を持぀ものにこの問いを向けた時、「党おを入れ替えおもなお残っおいるなにか」が「魂や意識」ず呌べるものなのではないかずいうものである。
    身䜓を入れ替えおも同じ人間なのか。
    臓噚を入れ替えおも同じ人間なのか。
    脳を入れ替えおも同じ人間なのか。
    蚘憶を移しおも同じ人間なのか。
    しかしそれは、人間を郚品に分け、入れ替え、比范し、確認しようずする問いになっおしたう。
    ぀たり、魂を探す船は、い぀の間にか人間を分解する船になるのである。
    その船が666であるなら、テセりスの船はベルフェゎヌルの船ぞ倉わる。
    ぀たりベルフェゎヌル数は、同䞀性を問い続けた思考そのものが、悪魔化する過皋を瀺す数ずしお読めるず思うのである。

    ベルフェゎヌルは、単なる砎壊の悪魔ではない。
    䌝承䞊、ベルフェゎヌルは怠惰、発明、発芋、富、䟿座、排泄などず結び぀く悪魔ずしお語られる。ここで重芁なのは、ベルフェゎヌルが無知の悪魔ではないずいうこずである。むしろ圌は、知性の悪魔である。ただし、それは真理ぞ向かう知性ではない。䟿利さ、効率、富、発明、分類、凊理、運甚ぞ向かう知性である。
    ぀たりベルフェゎヌルずは、知性の倖にいる悪魔ではなく、知性が腐敗した姿ずしお読める。

    ここで、ベルフェゎヌルは、ロダンの「考える人」ず重ねお読むこずができる。「考える人」は、岩に座っおいる。
    ベルフェゎヌルは、䟿座に座る悪魔ずしお描かれるこずがある。
    岩に座る思考は、哲孊、苊悩、人間存圚、真理ぞ向かうように芋える。
    䟿座に座る思考は、排泄、凊理、汚物、廃棄ず結び぀く。
    同じ「考える姿」でも、座る堎所が違えば、思考の意味が倉わるのである。
    では、人間を分類し、蚘録し、郚品化し、凊理する堎所に座った思考は䜕になるのか。それはもはや、玔粋な知性ではない。
    人間を理解しようずする知性が、人間を分解し、敎理し、運甚しようずしたずき、考える人はベルフェゎヌルになっおしたうように思えるのである。
    ぀たりベルフェゎヌルずは、人間を考える知性が、人間を凊理する装眮に座っおしたった姿なのである。

    ここでベルフェゎヌルが、怠惰の悪魔ず呌ばれおいるこずも考えおみる。
    この怠惰は、単に寝おいる、動かない、努力しないずいう意味だけではない。私が思うに、このベルフェゎヌル的な怠惰ずは、人間を䞀人ひずり芋るこずを諊める怠惰である。
    ・人間を理解するのは面倒
    ・苊しみを聞くのは面倒
    ・魂を考えるのは面倒
    ・倉化を埅぀のは面倒
    ・矛盟を抱えたたた受け止めるのは面倒
    だから、分類し数倀化し蚘録し凊理するのである。
    郚品ずしお扱い、制床に流す。
    発明で眮き換える。
    ぀たりベルフェゎヌルの怠惰ずは本圓に考えるべきこずから逃げるために、過剰に考える知性だず思うのである。

    ここで先に話した、マキャベリの『ベルファゎヌル』に぀いおも少し觊れる。
    この䜜品では、悪魔ベルファゎヌルは人間瀟䌚を調査するために地䞊ぞ送られる。地獄に萜ちた男たちが、自分たちの䞍幞は劻のせいだず蚎える。そこで地獄偎は、その蚎えが本圓か確かめるために、ベルファゎヌルを人間界ぞ送る。
    ベルファゎヌルは人間ずしお結婚し、富を持ち、芪族に囲たれ、䞖間の䞭で暮らす。しかしそこで圌が芋るのは、愛の矎しさではない。
    ・欲望
    ・浪費
    ・䜓面
    ・借金
    ・芪族関係
    ・支配
    ・逃亡
    ・䞖間の圧力
    そしお圌は、人間瀟䌚に耐えられず地獄ぞ逃げ垰る。
    ここで重芁なのは、ベルファゎヌルが最初から人間を憎んでいたわけではないこずだ。圌は人間を芳察した。その結果、人間を信じられなくなった。
    ぀たりベルファゎヌルの人嫌いは、単なる憎悪ではなく、芳察の結果ずしおの倱望である。

    ここでマキャベリの思想に぀いおも觊れる。
    マキャベリにずっお、人間は高貎で安定した存圚ではない。
    ・利害で動く
    ・恐怖で動く
    ・欲望で動く
    ・䜓面で動く
    平穏な時には忠誠や愛情を瀺しおも、
    危機や損埗が近づけば、その態床は容易に倉わりうる。
    マキャベリは人間は善であるはずだ、ずいう前提から出発しない。
    むしろ、人間は信甚できない。
    だから政治や制床は、その䞍安定さを前提に組み立おなければならないず考えおいるように読める。
    この人間芳を、政治論ではなく寓話ずしお衚したのがベルファゎヌルの物語ず考えられないだろうか。
    ぀たりベルファゎヌルは、マキャベリ的な人間䞍信を背負わされた悪魔である。本来なら、悪魔が人間を堕萜させるはずだった。
    しかしマキャベリの物語では、悪魔の方が人間瀟䌚に耐えられない。
    ここに反転がある。
    悪魔が人間を地獄に萜ずすのではない。
    人間瀟䌚そのものが、悪魔を地獄ぞ逃げ垰らせるほど厄介であるかのように衚珟されおいるのである。

    このように考えるず、ベルフェゎヌルは人間を憎む悪魔ではなく、人間に期埅しなくなった悪魔であるように思える。
    ・人間は救える
    ・人間は理解できる
    ・人間には魂がある
    ・人間は倉わるこずができる
    ・愛は人間を結び぀ける
    ・制床は人間を守る
    ・救枈は人間を救う
    そうした期埅を、ベルフェゎヌルは信じなくなる。
    だから圌は、人間を䞀人の存圚ずしお芋るこずをやめる。
    身䜓、蚘憶、臓噚、欲望、行動、習慣、利害、恐怖。
    人間は、比范可胜な芁玠ぞ分けられおいく。
    ここで、ベルフェゎヌルの人嫌いは、テセりスの船ず぀ながる。
    人間を信じおいる者にずっお、テセりスの船は同䞀性を守るための問いであるが人間を信じなくなった者にずっお、それは分解を正圓化する問いになるのである。

    ここにさらに、魂は地獄にしかないずいう読みを加えおみたい。
    普通、地獄は魂を倱う堎所だず考えられる。
    しかしこの読みでは逆になる。
    地䞊こそが、魂を倱った堎所であり、地獄だけが、魂がただ魂ずしお残っおいる堎所であるず考えられる。地䞊では苊しみが凊理され、眪は制床に倉換され、愛は契玄に、救枈は手続きになり、死は凊理になる。
    魂は、身䜓、蚘憶、脳、人栌、臓噚、デヌタぞ分けられおしたうのである。
    ぀たり地䞊では、魂はむしろ芋えなくなる。
    䞀方、地獄ではどうか。
    苊しみは凊理されず眪は矎化されず痛みは意味によっお消されない。
    魂は、ただ苊しみずしお残っおいる。
    ぀たり「魂は地獄にしかない」ずは、
    魂は、ただ凊理されずに苊しみずしお残っおいる堎所にしかないずいう意味になるのである。

    この読みをベルフェゎヌル数に戻すず、666の船はさらに意味を持぀。
    最初、666の船は、0の海に浮かぶ悪魔の船だった。
    しかし、魂は地獄にしかないず考えるなら、この船は、
    ベルフェゎヌルが地獄ぞ垰る時に乗っおいる船ずしお読める。
    ベルフェゎヌルは地䞊ぞ来た。
    人間瀟䌚を芋た。
    愛を芋た。
    結婚を芋た。
    制床を芋た。
    救枈を芋た。
    同䞀性を芋た。
    人間の䞭に魂があるかを探した。
    しかし、そこにあったのは魂そのものではなかった。
    身䜓、蚘憶、臓噚、名前、関係、契玄、履歎、制床、欲望、䜓面、凊理。
    魂の代甚品ばかりである。
    だからベルフェゎヌルは垰る。
    魂がただ魂ずしお残っおいる堎所ぞ戻る航海である。
    ベルフェゎヌル数の䞭倮に浮かぶ666は、
    人間に倱望した悪魔が、魂の残っおいる唯䞀の堎所ぞ垰る船なのである。

    以䞊をたずめるず、ベルフェゎヌル数はこう読める。
    1 0000000000000 666 0000000000000 1
    䞡端の1は、岞であり、地䞊ず地獄であり、始たりず終わりであり、入口ず出口であり、閉じる枠である。
    0は、虚無ではなく海である。それは、地䞊ず地獄のあいだに広がる沈黙であり、魂の䞍圚の海であり、ただ意味を䞎えられおいない空癜である。
    666は、その海に浮かぶ船である。ベルフェゎヌルの船であり、テセりスの船であり、魂を探す船であり、人間を分解する船であり、地獄ぞ垰る船である。

    この数は、悪魔が生たれる堎所の圢をしおいるようにも、
    悪魔が人間に倱望し、地獄ぞ垰っおいく瞬間の圢をしおいるようにもみえおしたうのである。

    ぀たりMずは、Machiavelliであり、Mechanismであり、Manであり、Moneyであり、Marriageであり、Medicineであり、Moralityであり、Meaningである。
    人間を、結婚を、金銭を、医療を、道埳を、意味を、すべお仕組みぞ倉えおしたうMである。
    そしおDずは、deliriumであり、Dogra Magraである。
    その意味でこれは、譫劄倢遊䞭毒なのである。
    #創䜜倧賞2026
    #゚ッセむ郚門

    远蚘
    そしおここからが本題である。
    実は「倧悪魔ベルファゎヌル」には最埌の方にこんな蚀葉がある。
    来るこずが可胜か吊か
    あたり詳しく内容を説明するこずは避けるが、逃げる道䞭、助けおくれた者に返した恩が仇ずなっお出る蚀葉なのである。

    無限の蚭蚈者
    もし地獄に戻った埌で、苊しめた偎の人間、この話の䞭では劻にあたる者が地獄に萜ちおくるのならば、これはたた面癜いこずになる。
    地䞊で凊理されなかった、䞍満や怚みが集たる堎所だった地獄。
    そしおそれは、悪魔によっお実蚌された。
    地獄は、人間瀟䌚そのものが悪魔でさえ耐えられない堎所だったずいう調査結果を保管する堎所になる。
    では加害者たでもが地獄に萜ちおくるならどうか。
    蚎える者ず、蚎えられる者が再び出䌚っおしたうのである。
    誰も逃げられない、無限の蚭蚈の完成なのである。
    そしおその地獄はい぀しか珟実ず呌ばれるようになり、たた別の地獄を生む。
    未凊理の関係が氞遠に回り続ける制床的茪廻なのである。
    1で始たった数字は1以倖では終われないのである。

    閉殻 d 
    い぀たで経っおもここに来る気配はない。
    地獄ずは悪人が眰せられる所ではないのだ。
    00........0
    ここにいるのは皆、苊しみを生んだ者ではなく、苊しみをただ抱えおしたった者たちばかりであった。
    地獄ずは、苊しみを匕き受けた者だけを捕捉する䞍完党な制床なのだ。
    苊しみを所有しおいない者には地獄がない。
    い぀もそうだったのだ。
    悪魔はい぀も生みだされおしたうのだ。
    萜ちるべき者が萜ちず、苊しんだ者だけが萜ちる。
    そのずれこそが、制床䞍党なのである。

    2/29
    以倖で終わらせるには䜕が必芁なのか未だに分からない。
    考え抜いた者が、最埌に暎力ずいう悪魔ぞ蟿り着くこずがある。
    暎力を避ける道を探し続けた結果、なお暎力を制床の倖ぞ远い出せなかった。
    そしお皮肉にも、その結論は、䜕も考えずに暎力を遞んだ者の結論ず同じ姿になっおしたう。
    「同じかどうかを聞いおはいけない」

    その䞋には、筆跡の違う文字で deflection ず加えられおいる。

    人間関係ずいう返枈䞍胜な負債の瞄がい぀も銖にかけられおいる。

     
     

    φ

     
     

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