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【月日】アタシず垫匠・その・

    アタシず垫匠→①



    「 玉ねぎの薄皮を䞀枚䞀枚剝いで行くように、
    仏様がカルマを取っおくださるんだ。ありがたいこずだ 」


    護摩焚きの時、垫匠はい぀も蚀っおいた。


    い぀もはあんなにろくでもないのに垫匠の炎は枅廉だった。


    アタシのセンチ前には
    赀々ず燃える炎。
    党く熱くない。
    もちろん汗も出ない。
    䞍思議なこずに炎から颚が出おくるのだ。


    ずっおも呌吞がしやすい。

    ずっずこの堎所にいたい。

    アタシも護摩焚きが出来たならいいな。


    「 お前は護摩焚き向きではないよ。巫女䜓質だから蚀葉を人に枡しおいけ 」


    お護摩を焚きたいず䜕床も䜕床もお願いしたけれど、答えはい぀も䞀緒だった。


    垫匠の護摩焚きを継承したのは、
    兄匟子だった。


    そう。

    アタシには兄匟子がいる。


    「 垫匠のような生き方をしたい 」ず自ら志願しお匟子になった人。


    アタシは確かに「護摩焚き」を継承できなかったけれど、悔しい思いはなかった。䜕床もお願いしたけどダメなら仕方ない。ずいう気持ちがあったし、䜕より「兄」が継いでくれるならそれでいい、ず思った。


    䞀人っ子のアタシは「兄匟子」ずいう存圚がずお぀もなく嬉しかった。
    䞀緒に垫匠に぀いお孊ぶ人がいるんだ、ずいう、心匷さもあった。

    ひずりじゃない


    人生で初めお味わう「安心感」だった。


    䞀生、続くず思っおいた。



    垫匠の口癖は

    「 俺は歳で死ぬ 」

    だった。


    たわりにいる人間はみんな「そうなんだ」ず玍埗しおいた。


    垫匠は昔銎染みのゞャズシンガヌのラむブにも行っおいたり、
    かわらず䞉味線のお皜叀にも顔を出しおいた。日䌑たず分ぐらい歩いお病院にも出勀しおいたし、
    病院にある掗濯機で掗濯もしお、
    みんなに料理をふるたっおもしおいた。


    垫匠はある幎の正月を境に病院の片付けをするようになった。
    座っおいる回りには雑倚な本でいっぱいだったし、䜕台もある冷蔵庫の䞭身だっおキレむではなかった。
    それを぀぀捚おおいく様を芋おアタシは「倧雪が降るからやめおよ」ず茶化しおいた。


    月に入ったずいえどただただ雪の心配が尜きない䌑日の午埌、
    垫匠から玹介された保険屋さんから電話が入った。



    朱祥さん、ただ報告きおたせんか



    先生が亡くなりたした。



    え

    意味がわからない。



    先生は病院から出たゎミを出しに行っお、
    そのたた歩道で倒れお
    通行人の方が救急車を呌んだみたいです。
    病院に奥さんが着いた時にはもう・・・。



    俺は歳でその蟺でノタレ死ぬからいいんだ。ははははは


    お通倜は明日、
    ご遺䜓はすでに葬儀䌚堎にあるようです。



    アタシの意識がゆらゆら揺れおいる。



    誰にも看取られないで、

    なぜ

    ひずりで逝ったの


    だから病院の䞭を掃陀しおたの


    自分の呜が短いっお知っおたの



    垫匠の顔が浮かぶ。


    笑顔ばっかり。


    笑顔ばっかり。


    笑顔ばっかり。


    知らないお前が悪いんだ。



    ・・・・っ


    センセっ 



    連れおいっお 欲しかった。

    アタシも

    䞀緒に。


    どうしお、䞀人で。


    センセ


    ずるいよ。


    「 お前が死ぬ秒前に仏様が迎えにきおくれるように生きろ 」


    そんなこず

    もう・・・

    心底

    どうでもいい・・・



    どうでもいい


    垫匠は、宣蚀しおいた幎より幎も若くしお旅立った。



    お通倜の䌚堎にはゞャズが流れおいる。
    生前、垫匠はちあきなおみずゞャスをこよなく愛しおいた。


    䞀足早く兄匟子が受付を枈たせお、アタシを埅っおいおくれた。


    「 ちょっずなんで先生が亡くなったこず連絡しおくれなかったのよ」


    兄匟子の顔を芋るなり噛み぀く。


    「 いやぁ、誰かからもう聞いおるず思っお 」


    アタシが怒っおいおもヘラヘラ笑っおいる。
    出来れば兄から聞きたかったのにずブツブツ文句を蚀ったが圌はどこ吹く颚。ひょうひょうず通倜䌚堎に入っおいく。

    動物病院で䌚っお䜕床か話したこずがある女性がいたので䌚釈をしたら、ギロリず睚んでぷいっず顔をそむけられた。奜きだ嫌いだず蚀えるほど圌女のこずを知らないし、なんなら圌女が飌っおいる犬の名前の方が頭に浮かぶ。なのに、マンガに出おきそうな「ぷいっ」をされお私は困惑した。


    面を喰らったが、ここは通倜䌚堎。
    アタシもそれ以䞊圌女にかたうこずもなかった。


    アタシは棺桶におさたっおいる垫匠を芋るこずはしなかった。顔を芋おしたうず、䜕かの感情に支配されそうになるこずは明癜だった。


    それは悲しいずか苊しいずか蟛いずかそういった類のものではなく、ただただ、䜕かに囚われるような気がしおならなかった。


    その感情はアタシに䞀生぀いお回るこずだろう。

    なにより、アタシがその感情を手攟すこずをしないず思った。


    それが

    どんなに黒く、

    人間を逞脱するような醜い感情であろうずも。



    垫匠は、

    誰にも看取らせない。䞀人で逝く。ず、い぀決めたのだろう。

    通倜の間、そんなこずばかりを考えおいた。




    通倜の垰り道、兄匟子にさっきの出来事を愚痎るアタシ。


    「 ねぇ、なんでそんなこずしたのかな ぷいっお顔を背けたんだよ
    しかもさ、すっごい睚んできたの。私、嫌われおる
    嫌われるほど接点がないんだけど 」


    圌女の行動を呆れながら話すず、兄匟子はやっぱりヘラヘラ笑っおいる。


    「 朱祥さん、圌女に嫌われおいるんですよ。ハッキリずね 」


    「 はぁ なんでよ だいたい圌女のこず知らないよ病院で数回䌚っお話ししただけだったもん 」


    兄匟子はアタシの方を芋ず、たっすぐ前をむいお蚀った。



    「 あの女性は、先生の愛人です 」


    ・・・

    ・・・

    ゞゞィ、あんた、やっおんな



    「 ぀たり、あの女性は朱祥さんのこず愛人ず思っおラむバル芖しおるんですよ。ちなみに他にも誀解しおいる人はいたす。呚りの人に聞かれたんで僕は朱祥さんは愛人じゃない。ず 蚀っおおきたしたよ。
    先生が亡くなったので蚀いたすけど、先生の愛人はもう人いたす。
    でも、先生はそれが誰なのか僕にも蚀わなかったです。 」


    もちろんアタシず垫匠は党くそう蚀った関係になかった。
    手も握ったこずはない。


    しかし、あのゞゞィ、愛人人も囲っおいやがったのか。
    さすが気の匷いオンナが倧奜物なだけあるぜ。
    通倜で「ぷいっ」ず明らかに敵意を衚すわけだよ。
    もう、なんなの。


    本来なら涙涙のお別れのはずだった。

    でも、それは叶わなかった。


    「 垫匠ず呌べるオトコには
    愛人が2人いた 」

    ずいう、予想のナナメ䞊で
    幕を閉じた。


    しかも、本物の愛人からの睚み぀き。

    涙もふっずんだ出来事だった。


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