
アニメを300作品以上見ても、私は「オタク」を名乗れない
わたしはオタクが大好きだ。
好きな作品のことなら何時間でも話せて、グッズを集め、イベントやコラボカフェへ足を運び、何年経っても変わらず好きでいる。
そういう人の愛が深さが、とっても素敵だと思う。そんなふうに何かを好きになれることが、正直ときどき羨ましい。
私もアニメや漫画は大好きだ。秋葉原でメイドをしている身として、アニメはざっくり300作品以上は見ていると思う。でも、何かひとつを深く、長く、人生をかけて愛しているかと聞かれると、それはちょっと怪しいのだ。
広く浅く。
それが私の趣味の基本姿勢なのである。
そんな飽きっぽい私を、なぜか何ヶ月も、何年も!飽きずに応援してくれている人がいる。
その奇跡について考える前に、まずは私がどれくらい飽きっぽいのかを説明したい。
最近でいうと、『あかね噺』にすごくハマった。
人気そうだったので「まぁ1話ぐらい見てみるかぁ」という軽い気持ちで見始めたら、第1話で予想を2回くらい裏切られた。
面白すぎる!!!
そのまま一気に見た。
落語について何も知らなかったのに、見終わったあともまだ足りなくて、『あかね噺』を見た落語家さんたちの感想を漁り、YouTubeで柳家三三さんの「死神」を45分間拝見した。
見終わったあとは、画面に向かって拍手していた。
その後、漫画をデジタルで買い、続きを読んだ。
やっぱり生で落語、見たい!!!
そう思った私は、その勢いのまま、予定になかった初めての寄席へ一人で向かった。
そこで出てきた噺家さんは6人。
うち、真打が4人。
えっ、あの、真打、4人もいるんですか!?
『あかね噺』を見ていると、真打はこの世に選ばれし数人しか存在しないような気持ちになっていたので、思っていたよりいっぱいいて驚いた。そりゃそうか。現実の落語界を漫画の登場人物だけで把握しようとするな。
初めての寄席は、人間味があって楽しかった。
そして私は、満足した。
早い。
ここまで5日である。
もっと毎月寄席へ通ったり、好きな噺家さんを見つけたりするのかと思いきや、しっかり満足してしまった。
『メダリスト』の時もそうだった。
久しぶりに感動するほどアニメにハマり、公開されている最新話まで一気に見た。フィギュアスケーターによる解説動画を見て、実際の競技映像を見た。
浅田真央選手のすごさを改めて知り、伊藤みどり選手が少女だった頃の映像まで遡り、今度は名古屋で活動しているジュニアの子たちの動画を見る。
アニメを見ていただけなのに、気づけば数十年前のフィギュアスケート界に到着していた。
私は何かにハマると、周辺情報をものすごい勢いで浴びる。作品の題材になった現実の世界や、歴史や、専門家の解説まで一気に見たくなる。
情報のシャワーを最大水圧で浴び、びしょびしょになったところで満足して、蛇口を閉める。
とはいえ、コラボカフェへ足を運んだわけでもないし、グッズを買い漁った訳でもない。
だから「『メダリスト』のオタクです」とは、どうしても名乗れないのだ。
もちろん、お金を使わなければオタクではない、というのが世間の正解だとは思っていない。好きなら好きで、それでいいのだと頭では分かっている。
ただ、私の周りにいるオタクが、本当にオタクすぎるのだ!作品のために時間とお金を使い、遠くまで足を運び、何年経っても好きでいる。
その熱量を間近で見ていると、数日間あらゆる情報を浴びて満足する私が、同じ顔で「私もオタクです!」と名乗るのは、なんだか申し訳ない。
好きなものは沢山ある。
でも、私が胸を張って「オタクです」と言えるものは、この世にひとつもないような気がするのだ…!
もしかすると私は、作品そのものより、知らない世界を知ることにハマっているのかもしれない。
『あかね噺』を見て落語へ行く。
『メダリスト』を見て、昔の選手や現在のジュニア選手まで知る。
過去には『四月は君の嘘』を見て、クラシックコンサートへ行ったこともあったっけ。
世界が少し広がったことに満足すると、また次の知らない扉を探し始める。
飽きっぽいというと悪く聞こえるけれど、好奇心の移動速度が速い、と言えば長所みたいで良い。
そういうことにしておこう。
でも、自分がこうだからこそ、時々不思議に思うのだ。
私のことを何ヶ月も、何年も応援してくれている人たちは、一体どうなっているんだろう………!
私は作品でも、完成されたキャラクターでもない。会社員だったり、アイドルだったり、突然家がなくなって旅するメイド屋になったり、今度はメイドバーを作ったりしている。すぐに何かを始めて、時々すぐに飽きる。
私自身、自分以外のひとつのものをこんなに長く追い続けられない。
だから、ずっと見てくれている人の存在が本当に不思議で、心底ありがたい。常にめちゃめちゃ奇跡だと思ってる。
人は飽きる。
それは悪いことではない。
私なんて、誰よりよく分かっている。
それでも今、時間を使って、時にはお金も使って、私に会いに来てくれる人がいる。
私が自分をオタクと名乗れない理由になっている、その暖かな熱量を、私や、私が作ったメイドバー「ほころ」に向けてくれている人たちもいる。
私はこれからも、また知らないものにハマり、知らない場所へ行き、突然何かを始めると思う。
飽きっぽい私が、飽きずに追いかけている唯一のものは、自分の人生なのかもしれない。
だから、これからも続きを見せていきたい。
飽きずに応援してください、なんて、人の気持ちを縛るようなことは言えないけれど。一緒にいる間は、どうか飽きる暇もないくらい、面白い物語を見せられますように!
ここからは、まだ載せていなかった色々な写真