
まいにち易経_1008【天地閉じて、賢人隠る。】[02䷁坤為地:文言伝]
天地變化、草木蕃、天地閉、賢人隱。易曰、嚢括、无咎无譽。葢言謹也。
天地変化して、草木蕃く、天地閉じて、賢人隠る。易に曰く、嚢を括る、咎もなく誉れもなしと。蓋し謹むべきを言えるなり。
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【現代語訳】
天地が閉塞し、世の中の活力が失われた時、賢人は世を避けて隠遁する。
【意訳】
想像してみてください。宇宙全体、すなわち私たちの生きる大自然の営みが、あたかも深く凍てつく冬のように、その活力を完全に失ってしまった状態を。空は鉛色に重く垂れ込め、大地は動きを止め、全ての生命の息吹が内に秘められてしまうかのようです。これは単に物理的な状況だけでなく、私たちの住む社会全体が、秩序を失い、希望の光が見えず、誰もが深い閉塞感に苛まれるような時代、いわば暗黒時代を象徴しています。
このような時、真に優れた知恵と徳を備えた賢人たちは、決して無理に表舞台に出ようとはしません。彼らは、世の騒乱に巻き込まれることを避け、自らの才覚が受け入れられないばかりか、かえって身を滅ぼしかねないことを深く理解しています。だからこそ、彼らは深く身を隠し、人目につかぬところで静かに時を待ちます。これは決して諦めや逃避ではありません。むしろ、来るべき光明の時を信じ、内に力を蓄え、研鑽を積み、自らの徳を養い続ける、賢者ならではの深謀遠慮なのです。外の嵐が吹き荒れる間は、ひたすら内なる静寂を守り、来るべき春の芽吹きに備える。この思慮深い姿勢こそが、彼らが困難な時代を生き抜き、そしていつか必ず世を導く力となる道なのです。
天地が生成して発展すると、日月や山川草木などの全てのものが成長し、変化していく。天地が互いに影響し合わなければ、全てのものは成長し、変化することができない。君主と臣下が互いに理解し合わなければ、社会は混乱し、賢い人々は世の中から離れて隠れるしかなくなる。
「才能や徳を隠して、愚かな人のように振る舞うのがよい」というのは、君主と臣下の関係において、臣下が慎んで行動することが大切だと説いているのである。


時を待つ
人生には、思い通りに進まない時期というものが巡ってきます。それは個人の生涯にとどまらず、企業の経営、あるいは国の運営といった大きな視点でも同様のことが言えるでしょう。易経では、このような状況を「天地閉じて」と表現しています。これは、天と地が閉ざされた状態、すなわち、上層と下層の間で意思疎通が滞り、全体が円滑に機能しない状況を指し示します。