
家庭菜園で、涙をためて。
日曜の朝。
家庭菜園の畑に落ちた、ゴミを拾いながら、話した。
「私、働く時間が、夜なの」
「それだけで近所の人から、怪しいことしてるみたいに、悪口を言われる。働いてるだけなのにね」
「農家さんは、いいわ。早起きして働く姿も、畑の広さも、みんな見ててもらえるんだもの」
草を、むしりながら。
涙をためて。
こらえきれなかった、悔しさ。
「車で出かけた時間、帰宅時間、みんな見張られてる」
「私の子供の自転車が、祖母の家に行ったきり、昨夜は帰ってこなかったことも」
苦しいね。
私も、見張られるのつらい。
なんで?ほっといてくれないの?
噂話をする時、その人達が朗らかな笑顔でいられる理由を知ってる。
話をする相手と、まったく違う「標的」を、明確に定めているからだ。
標的になりたくないからって、あいつらも必死なんだ。
だから、標的になるものを、見つけてきては、先手を打つように晒しあげるんだ。
「家ではこっそり、守衛さんって呼んでたの。でも、なんにも守ってくれないから。今では、門番さんって呼んでるわ」
「ケルベロスですね?」
「やだ、最高」
ひどく疲れた、笑いかた。
それでも、笑ってくれてた。
「LINE交換しましょうよ」
「愚痴っていいかしら?」
「よかった、同じ気持ちの仲間が、ちゃんといたのね」
涙をためて、そう話しながら。
二人とも、スマホを出さなかった。
泥のついたゴミや草を、触っていたせい、それだけじゃない。
きっと、怖かったからだ。
顔、見に来るよ。
ここに、また来るよ。
また話そう。
今度は、嬉しい話も。