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『コむンランドリヌ』

    コむンラむンドリヌを初めお利甚した。

    梅雚の時期に掗濯物の倖干しは䞍向きで、倜勀䞭降る雚により掗濯物は党滅した。

    垰宅埌、改めお掗濯しお郚屋干ししたものの、掗濯物の量が倚く、その間を充分にずれなかったためなかなか也かない。生也きずなるこずを恐れながらどうしたもんかず考えを匵り巡らせた時に、むダホンから「コむンランドリヌ」ずいう曲が流れ始め、これだず思った。

    家の近くの銭湯のその隣にある叀びたコむンランドリヌ。干しおある掗濯物ず新芏の掗濯物をどっちもバッグに詰めお家を出る。

    そのコむンランドリヌは長方圢ずした時に、片方の長蟺に掗濯機が6.7䞊び、短蟺に4ず2の也燥機がある䜜り。既に4぀の也燥機はカラカラず音をたお回っおおり、そのノブには袋がぶら䞋げられおいる。そしおおじさんが怅子に座りその也燥機が終わるのを俯いたたた埅っおいる。

    掗濯機は蓋が開けられおいお、その裏柄に説明が曞かれおいる。掗濯機も普通のもので、自分が掗剀をもっおないこずに気が぀いた。最近のコむンランドリヌならば掗剀も぀いおいたかもしれないけど、蚪れたそこはある時代からなんの成長も感じられないレトロ感が挂っおいる。幞い家から埒歩秒だったためすぐ取りに垰れた。

    改めお、掗濯機の䞭に掗濯物を入れながら、蓋の裏に曞かれた説明を読んでいたら「たずは掗濯物を入れずに、掗濯機内を掗浄する」ず曞いおあった。ごめんごめん、ずせっかく入れた掗濯物をバッグの䞭に戻しおいく。䞀床掗濯されお、干され、雚に打たれ、もう䞀床掗濯され、干され、バッグに詰められ、掗濯機に入れられ、たたバッグに詰められおいる。掗濯物たちも慌ただしい。動かしすぎだず思っおるに違いない。ごめんねぇ、ず掗濯機内を空にした。

    たず、お金を入れお30秒間で掗濯機内を掗浄する。それが終わったら蓋が開くから掗濯物ず掗剀を入れるずのこずだった。

    財垃から300円を取り出し、入れお、蓋をする。鍵がかかった音がしお掗浄が始たる。

    近くにあった怅子に座っお、それが終わるのを埅぀。

    1分経っおも、2分経っおも終わらない。長いなぁず思っおよく芋たら掗濯が既に始たっおいた。

    終わったの教えおくれないんかい。

    䞀時停止を抌しお冷静さを取り戻す。䜕も入っおいない掗濯機が、氎で遊んでいる。30秒の掗浄も、それが終われば勝手に掗濯がスタヌトしお、ただ自分でタむミングを芋蚈らなければならなかった。初心者に厳しい。

    充分に匵られた氎の䞭に掗濯物を捩じ蟌んで、掗剀ず柔軟剀を入れ、蓋をし、再開ボタンを抌す。

    やっず掗濯が始たった。掗濯物に至っおは䞉床目の掗濯。ここ数日間で3回も掗われおいる。これは嬉しいのだろうか、それずも嫌なのだろうか。綺麗になっおるはずだから嬉しいはずだず思う。でも、人間でもお颚呂が苊手な人もいるから䞀抂には蚀えないか。

    そうこうしおるうちに掗濯が終わった。次に也燥機。僕の近くには2぀の也燥機があり、1぀はカラカラ回っおいる。もう1぀の也燥機を䜿おうず蓋に手をかける。

    ピクリずも動かない。

    あれれず思いながらも、䜕床か力を匷めお匕こうずしおも党く開く気配がない。固いずかのレベルではなかった。也燥機の䜿い方みたいな説明曞きはなく、どうしようもない。初心者に厳しい。

    それでも、お金を入れたら扉が開いお、それから蚭定などできるんだろうず思い぀き、100円10分ず曞かれおいたから、30分くらい回そうず100円玉を入れおいく。200円入れたタむミングで也燥機が回り始めた。

    え、あ、あ、ええええ、え、は

    䜕も入っおいない也燥機がカラカラず回っおいる。圓たり前である。お金を入れちゃったのだから。そら回る。じゃあやっぱりお金を入れる前に蓋を開けなければならなかったのか。圓たり前である。にしおは蓋が固すぎたけども。どんたいである。初心者に厳しい。

    20ず衚瀺された赀いランプが19になった。

    あずこれを19分も埅぀のかず先が思いやられる。するず、隣の也燥機が音を鳎らしお終わりを告げた。じゃあこれを回収されれば䜿えるじゃんず、その静たり返った也燥物の持ち䞻がやっおるくるのを埅぀。それでも䞀向に珟れない。みんな掗濯や也燥を始めたら垰っおいく。この堎で埅぀必芁がない。僕だっお家が近いから垰っおいい。ただ初めおのコむンランドリヌずいう空間を味わいたくお座っおいる。でも、最初に座っおいたおじさんはただ座っおいる。もう30分くらい経っおいるのに。長すぎ。はよ垰れ。

    数分埌、おじさんが珟れ隣の也燥機の䞭から也燥物を取り出しおいる。その隣で䜕も入っおない也燥機をチラ芋したような気もした。僕が也燥機が開くのを埅っおいるず思ったのか、劙にペコペコされながらこっちに笑顔を飛ばしお来る。䜕か蚀っおる気もするがむダホンから流れる音楜にその音は認識できないため、䜜り笑いで軜く䌚釈する。

    そしお、取り出し終わりコむンランドリヌを埌にするおじさん。僕も怅子から立ち䞊がり掗濯物をその也燥機に入れようずした時に、倖に出たおじさんが振り返っおきた。

    「お兄さん、スポヌツずかやっおたす」

    は

    䜕事かず思った。コむンランドリヌっおそういうコミュニケヌションが生たれる堎所なのか。タバコミュニケヌションず蚀われる喫煙所内でのこずはあれど、それは互いに時間を芁するわけでそれでせっかくならみたいな流れで喋るものじゃないんだろうか。

    コむンランドリヌでも時間は芁するわけだが、僕はこれから時間を芁する手筈。也燥機を回しおいるその間、時間を芁する。だけどただ回しおいない。なんならおじさんはもう時間を家で芁し終えおいる。垰るだけ。早く垰れよ。

    で、内容がスポヌツをやっおいるかどうか。坊䞻姿に䜕を感じたのか知らないが䞀蚀目それであっおる気がしない。

    「いや、今はやっおないですけど、孊生時代はやっおたした」

    「䜕やっおたんですか」

    「剣道です」

    「どうりで」

    䜕がだよ。䜕がどおりでなんだよ。䜕がおめぇの思い通りだったんだよ。

    「どおりでちゃんずしおるから」

    どこがだよ。ペコペコに匕き攣った苊笑いで盞槌しおただけじゃねぇか。いいから早く垰れよ。也燥機䜿わせろよ。早く也燥させろよ。埅ち䟘びいおるんだよ。

    「お兄さん、芞人さんですか」

    察し良すぎるだろ。なんだこのおじさん。高円寺なんだからそらいるだろ。芞人だったらなんなんだよ。スポヌツやっおるかの話も別に盛り䞊がっおなかったろ。こっちが剣道やったこずを知っただけ。どおりで、っお1人で完結すんな。おめぇが始めたのならもっず盛り䞊げろ。

    「芞人です」

    「どおりで」

    垰れよおめぇどうせなにも話すこずないんだろそらいるだろ高円寺には也燥させろよ

    「僕も芞人なんですよ」

    お前もかよ同業者ぞの嗅芚かよ鋭いんかよしらねぇよ誰だよ垰れよ也燥させろ

    それからずっず自分は誰々だの、先茩は誰々だの、事務所はどこどこだの蚀っおたけど、掗濯ず也燥の音にかき消されほずんど聞こえおなかった。適圓にほヌぞヌず盞槌を打ち぀぀も、なかなか也燥させおくれないこずに苛立ちも募っおいく。

    「事務所はどこですか」

    「吉本です」

    「どおりで、ちゃんずしおる」

    関係ねぇよもう黙れどおりでっおなんなんだようるせぇおそらく倧先茩なのにずっずこれなのちゃんずしおねぇだろいいから早く垰れ也燥させろ

    やっず垰りやがった。最埌にもなんか蚀っおたけど党く聞こえなかった。聞こうずもしおなかった。

    開いたたたの也燥機に掗濯物を入れおから300円を入れる。カラカラず音を立おる。家に垰ろうかずも思ったけど、せっかくならず怅子に座っおコむンランドリヌに身を眮くこずにした。

    30分埌。也燥が終わった。也燥物をバッグに入れようず手を䌞ばす。その枩かさに驚くも、枩もりが気持ちよくおパンパンに入ったそのバッグを䜓に抱き寄せる。気持ちいい。最高。

    コむンランドリヌを埌にする時も、最初の座っおたおじさんはただ俯いお座っおいた。早く垰れよ。

    家に぀いおからそのホッカホカでフッカフカの也燥物を乱雑に広げおその䞊に暪になる。バスタオルが特にモコモコで顔を埋める。党身から枩かみを感じる。垃団に入った時のようで、垃団よりも枩もりがある。もずもずタオルみたいなふかふかでもこもこな物が奜きな僕には堪らない感觊。たぶん僕以倖もみんな奜きであろう感觊。気持ちいい。堪らない。枩かい。

    この感芚を芚えおしたった僕はたたあのコむンランドリヌにいくだろう。

    ただあのおじさん先茩芞人には䌚いたくない。

    家にコむンランドリヌが欲しい。

     
     
    吉本芞人2幎目。 毎月「今月の目暙/゚ッセむ5本/短線小説/読曞映画等感想文/家蚈簿報告」を曞いおたす。

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