
丸三鶴屋の思い出 1階の思い出
丸三鶴屋の1階の思い出は隅にあった珊瑚やべっ甲の装飾品が並ぶガラスケースだ。
一時的な展示だったのかもしれない。宝石店のチラシで見るダイヤモンドやサファイアは知っていたけれど、そのケースに並ぶ品々が何なのか分からず母に尋ねた記憶がある。
あの頃、なぜあれほど珊瑚やべっ甲の装飾品が置かれていたのだろう。
海や石炭の街だったことと何か関係があったのだろうか。
それから少し離れたコーナーに並んでいたKENZOの花柄ポーチにも憧れていた。
緑の合皮に花柄がプリントされたものでハンカチやポーチの売り場に並んでいた。小学生が持つには少し大人びた品だったけれど、「なんてセンスがいいんだろう」と思いながら眺めていた。
そこからすぐそばにある化粧品売り場はライトがキラキラと煌めき私にとって夢の世界だった。
母が資生堂の口紅を買うあいだ、私は売り場をあちこち眺めながら過ごした。なかでも真っ黒なパッケージの香水「沙棗」に憧れていて、就職したとき、自分への記念に買った。
子どもの頃の小さな夢がひとつ叶ったような気がして、とても幸せな気分になった。

上の写真は母が丸三鶴屋1階で買ったビーズのパーティーバックと
丸三鶴屋で買ったという祖母がくれた指輪