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【小説】qのある日常 277

    だましだまし

     通勤botが運用されているのは、現在でも東京の都心のごく一部である。日暮里が都心か、本当にそうなのかと問い詰められれば、僕は都民ではないので回答を拒否せざるを得ない。本当に東京のごく一部でのみ、積極的に採用されているのである。

     これから通勤botを全国展開していこうというタイミングで、qは発生した。多くの人間が人間性を失い、特に人口の多い都心ではパニックになったらしい。僕はそれをネットニュースで見かけたのでしばらく東京には行かなかったのだが、気がつけば人口は減っており、通勤botの開発者も萎えたのかいなくなったのか知らないが、ネットに通勤botの話題が上がることが減っていっていた。内心では驚いていたのだ、動画でしか見たことのない通勤botが実際に運用されているところを見たのは初めてだったから。

     人気の少ない地下鉄が、そろそろ永田町に到着する。さすがに通勤botに政治を任ようとまでは機械信仰は進まなかったらしい。それに政治が通勤botに取って代わられたら政治家の仕事がなくなってしまう。ぎじどう通いの金銭的強者でもそれは看過できなかったのだろう。自分の取り分が減るのだけはなんとしても阻止したかったのだ。僕だって税金で暮らしていればそういう決断を下しただろう。

     だから、ぎじどう通いの政治家たちを嘲笑う権利は誰にもないのである。愚かであり続けて納税者に憎まれるのが公務員の使命である。

     切符を改札に通しながら、自分の思考が政治家並みにおかしくなっていることに内心で苦笑を漏らした。もしかしたら笑うのは人生最後かもしれないのに、僕の心はいやらしく口角を上げていた。(つづく)

     
     
    創作をしたいですね。そんな事を言っていたら精神病院に入院していました。今は大丈夫です。たぶん大丈夫です。

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