🐾 第5話|星のあの子に、また会えた夜
「おい、なんやあれ。池が……光ってる?」
ある晩、森を歩いていた3匹の前に、
ぽつんと浮かび上がるような光の池が現れた。
「ここは“星の池”にゃ」
るぅくんが小さく呟く。
「星になった動物たちの、記憶のかけらが集まる場所なんやって」
「へぇ〜…」と、ちくわくんが目を細める。
その横で蘭丸は「ふーん、キラキラしてるだけちゃうん」と
つまらなそうに前に出た。
でも、ちくわくんとるぅくんは、どこか少し静かだった。
水面をのぞきこむと、
そこに──ふわりと、優しい風が吹いた。
「……え……?」
ちくわくんが目を見開く。
水面に映る、キジトラ模様の猫。
笑っていた。ちょっとドジで、でも遊ぶのが大好きで、
毎日とろとろごはんをねだったあの子──

「……トラコや……!」
ちくわくんの声が、かすかに震えた。
るぅくんもゆっくりとうなずく。
「元気そうに見えるにゃ」
「うん……すごく元気そう……」
水の中のトラコは、ゆっくりと3匹を見つめ、にっこり笑った。
「とろとろごはん、まだ隠してるやろ?」
ちくわくんの脳裏に、よく言われてた言葉がよみがえる。
「遊ぼ、って言う前に自分でおもちゃ転がすの、トラコやったなぁ……」
ちくわくんがそっと笑う。
すると、トラコの姿は風に溶けるように、
静かに、でも優しく消えていった。
蘭丸はそれを見ていたはずなのに、何も映らなかったようだった。
「なんや、ちくわ急にしんみりして……」
でも、その帰り道。
蘭丸がぽつりと言った。
「なんか……知らんけど、会ったことある気がしたな。夢の中で…遊んでたような」
ちくわくんとるぅくんは、顔を見合わせて、そしてそっと笑った。
「せやな……トラコ、きっと近くにおるんやと思う」
どこかで、
またとろとろごはんをねだってる声が、聞こえた気がした。
