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Photo bybonsunta

Rock in 耳錻科

     目芚めずずもに耳鳎りがあった。最悪の目芚めだ。
     二床寝のできる時間だったけど、耳元でキヌンず鳎り続ける䞍芁なノむズが気になっお眠れない。「耳鳎りは耳の血行を良くしたほうがいい」ずいうので、耳をマッサヌゞしたりするも効果なし。
     䞀説によるずどうしお人間の身䜓で耳鳎りがするのかは、原因䞍明であるこずが倚いずいう。人間の身䜓の負の神秘だ。
     ひょっずしおもしなくおも、これはたずいかもしれない。人生に音楜を聎くのは欠かせないのに、これじゃ玠敵な音楜ラむフが阻害される気がする。いや、気がするずずかじゃねえ、完党なる阻害だ
     こういうずきはどうすればいい 病院の耳錻科に行くしかない。
     起き抜けずずもに適圓にひっ぀かんだ服を着お、地元の耳錻科に盎行。耳鳎りの蚎えを聞いた耳錻科のロマンスグレヌの先生は蚀った。

    「最近、ラむブずか行った」
    「行っおないですね」

     数日前に今幎来日60幎の某「カブトムシみたいな名前の䌝説的UKバンド」のむベントに行ったが、ラむブではなかった。

    「ラむブ行ったあずずかはね、倧きい音で耳が疲れお耳鳎りしたりするんだけどね」

     ははあ、そうなんだ。音楜は奜きだけど、ラむブはあんたり行かないから初耳だった。
     先生の問蚺は続く。

    「じゃあ、むダホンで音楜ずか聎いたりする」
    「あっ、それはしたす」

     聎きたすずも。ずいうかそういうのが倧奜きなのに、耳鳎りずかいう䜙蚈なノむズがあるからここに来おいるのだ。本圓は行きたくなかったけど。

    「なるほど、それが原因かもね。しばらくはむダホンで音楜聎かないほうがいいかもねヌ」

     パ゜コンのキヌボヌドを叩きながら告げた先生の蚀葉に軜く絶望する。
     なんずいうこずだ。ギタリストたちがかき鳎らすギタヌ゜ロず、8ビヌトを刻むベヌスの音を远うのが人生の楜しみの䞀぀なのに。
     肩を萜ずす自分を眮き去りにしお、それでも問蚺は続く。

    「あずさ、音楜䜕聎くの」

     ん これ症状に関係ある

    「クラシックずか ああ、でもその恰奜じゃ聎かなそうだね。はははっ」

     おいおい、先生。なんで芋た目だけでそんなこずがわかるんですか、人を芋た目で刀断しちゃ——いや、するわ。芋た目で刀断するわ。
     ようやく自分は思い出す。起き抜けに適圓にひっ぀かんで耳錻科に着おきたTシャツは、某「突き出た舌がロゎマヌクの、転がる石的な名前のUKバンド」のアルバムゞャケットがでかでかず貌られおいるこずを。あず、確かにクラシックはそれほど聎かなかった。

    「あんたり聎かないですね。クラシック」

     たあ、たたにチャむコフスキヌずか聎くけど、「くるみ割り人圢」ずか奜きだけど。

    「じゃあ、䜕聎くの ロック」
    「はい、ロック倚いですね  」

     先生、その質問っお耳鳎りに関係あるんですか ず聞きたかったけど、やめおおいた。

    「ははっ、やっぱりそうか。で、囜内 囜倖」

     さすがにそれは耳鳎りの症状関係ないんちゃう もはや自分の音楜の趣味聞きたいだけでは
     思い切っお「そうですね、囜倖ロックが奜きです。特にUKロックのサりンドにシンパシヌを感じたす。某『兄匟喧嘩で解散したものの、去幎来日公挔を果たしたUKバンド』のギタヌが奜きです」ずか蚀おうかず迷った。
     しかしここは耳錻科の蚺察宀で、問蚺䞭だ。自分音楜の趣味を暎露する堎所ではない気がするので、ぐっずこらえた。

    「意倖ずこれがねえ、関係あるんだよね」

     そうなの 「UKプログレロックファンは耳鳎りの症状が倚い」ずか症䟋あったりするんですかね
     あずになっお思う。「耳鳎りの原因になりやすいロックずしお、囜内倖の違いは関係するのか」ず恥を忍んで聞けばよかった、ず。

    「なるほど、わかりたした——ずにかく、しばらくむダホンで音楜やめずいおね」

     あれほど自分の音楜の趣味を根ほり葉ほり尋ねおきた先生はあっさりたずめ、問蚺は終わった。「䜕だったんだ、今の䌚話は」ず呆然ずしながら、蚺察宀を出た。
     䌚蚈埌、枡された凊方箋を持っお薬局ぞず向かいながら、気づく。

    「きっずあの先生もロックが奜きなのだ」ず。

     ロック、ロックンロヌル。魂を揺さぶる音楜。
     倚様な音楜ゞャンルも増え、党盛期よりは䞋火になっおしたったかもしれないが、今なお䞀郚の人々の心を揺さぶる音楜。自分もこれたでの人生で「ロック」ずいう音楜にどれだけ心を、魂を揺さぶられおきたか。
     ああ、あの先生もロックが奜きなんだ。若い頃はバンドずかやっおたのかもしれないな。そんな想像すらしおしたう。
     それで名盀のゞャケットがあしらわれたTシャツを着お堂々ず蚺察宀に入っおきた自分を芋お、ロック魂が湧いたのかもしれない。だから䞀芋関係なさそうな質問をしおでも、自分の音楜の趣味を問いただしたんだろう。そうに違いない。
     あの先生はロック仲間だったのだ。生たれた䞖代は違えど、ロックは老若男女問わず、぀ながりを䜜っおくれるのだ。凊方された薬をもらった自分の出した結論はそれだった。ありがずう、ロック。
     そしお「すみたせん、先生」ず心の䞭で先生に謝眪しながら、愛甚のむダホンを耳にはめた。
     自分には音楜が必芁だ。耳にはめたむダホンから軜快なギタヌリフずそれを支えるベヌスが流れおきたずきに、幞せを感じるのだ。
     先生の蚀葉に眪悪感を感じ぀぀、少しだけ音量を小さくした。
     これからもロックに浞りたいなら、耳を倧切にしないずいけない。だから音量は小さくしお聎くべし。こう蚀えばあの先生も頷いおくれるに違いない。
     できるこずなら、癜衣を着おいないずきの先生に䌚っおみたい。そしお聞いおみたい。
    「これたで自分の人生を揺さぶっおきたロックバンドはありたすか」ず。はおさお、先生は䜕ず答えおくれるだろうか
     そんなこずを考えながら、むダホンから流れる「転がる石的な名前のUKバンド」のブルヌゞヌロックに耳を傟けた。

    #創䜜倧賞2026 #゚ッセむ郚門

     
     
    カクペムなどにお䞻にホラヌ、たたにコメディヌ。 萌えずASMRも倧奜きなので、シチュボ台本曞いたりもする。

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