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深夜のジム、雨の露天風呂。【立ち止まって、いま考えていることシリーズ③】

私は2年前から深夜のジムに通っている。

もともと趣味の一つにマラソンがあって、
10年以上前から大会に出ていたが、

コロナ禍以降の大会縮小に伴って、
一時期は完全に足が遠のいてしまっていた。

ここ数年はハーフマラソンを
走るようになったが、

それだけだと筋力が落ちる一方だと気づき、
2年前からのジム通いに至ったのだった。


——深夜に近い時間。

ジムに人の姿は少なく、
器具は一つ一つ黙って並んでいる。

扱うマシンの冷たい感触。

その重さは腕よりも
胸の中へ静かに落ちてくる。

ただ、黙って体を動かしていると、

自分の中で何かが
少しずつ沈んでいく気がした。


深夜。

——雨が降っている。


近頃は、そういう夜になると
近所の温泉へ行く。

湯は温かく、
夜は暗い。

露天風呂に入ると、

雨だけが、
自分のすぐそばまで
来ている気がした。

雨粒が湯に落ちるたび、
小さな輪が生まれ、

何事もなかったように
消えていく。

湯と雨の相反する
感覚のなかで、

自分という輪郭が
少しずつほどけていく。

周りは
何一つ変わっていないのに、

自分だけが遠くへ
旅をしてきたように
感じる。

雨は何も語らず、
湯は何も慰めない。

そんな夜が、
最近とても気に入っている。

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