【医療―教育連携シリーズ②】医療と学校はなぜ連携できないのか? ー医療の視点からー
本シリーズの記事は、3部作になっています。
医療と学校はなぜ連携出来ないのかについて
学校視点でまとめた記事はこちらから↓
今回の記事では、
逆に医療視点でみた連携の難しさについて
まとめていきたいと思います。
(※以下は全て作者の周辺で起きた出来事をまとめた内容となっています。一般的なケースと合わない場合もありますので、あくまでも参考程度にお読みください。)
時間調整の困難さ
通常、学校は放課後にならないと先生方の動きがとれません。
医療機関も診察時間や病棟回診、
ミーティングなどの定時業務があるため、
上手に時間調整しないと電話することすら困難になります。
そこで、私が住んでいるエリアでは、
相談支援事業所が医療と教育との間に入ってコーディネート
してくださるよう、
医療機関としてお願いしています。
そのためにも、地域で顔の見える関係を日頃から作って
おかなければなりません。
年度末の学校の人事異動
困るのが年度末の先生方の異動です。
せっかく担任の先生と良い連携が取れたとしても、
異動があることでまた最初から先生との関係を
作っていかなければなりません。
この辺りは、担任の先生と上手くやれているほど
ご家族もお子さんも負担を感じるところだと思います。
病院も全く同じです。
なので、
担任交代は連携の大きなハードルになっています。
しかしながら、担任交代はやむを得ないところ。
医療もそれを想定して連携を取る必要
があると感じています。
例えば、担任交代してすぐの4月に
家庭・病院・学校・放デイ・相談支援事業所
といった担当者などで集まる機会を持ち、
これまでの支援内容や合理的配慮事項、
お子さんとの関係構築のポイント
などを
新しい担任の先生にに伝えていったりしています。
何事も初めが肝心ですね。
学校から医療への情報が煩雑になりやすい
来診時に、学校(放デイなども含む)からの
情報提供書として日々の行動観察をA4数枚分で
持参されるケースをみかけます。
情報が圧縮されていないため、
この手の資料は診察中に全て目を通せず
「もらったけど読めない」
など形骸化した情報提供になりがちです。
学校の先生方には、行動観察などの情報は
A4用紙1枚程度の箇条書き
にするか、
資料を新しく作成するのが困難な場合は、
元の情報をAIに読み込ませてレジュメ化する
などの方法が良いかと思います。
本人より学校優先のニーズにすり替わる
これはある程度、医療と学校との連携が
構築できたあとの「難しさ」です。
たとえば
「教室など集団の中だと大変なので、
次回の診察で服薬を検討してもらえないか」
など家庭を通さない水面下の相談?
を受けることがたまにあります。
それがお子さん本人のニーズであれば問題無いのですが、
いつの間にか本人中心でなく
学校中心のニーズを病院に求めてこられることがあります。
検査と診察の結果ついた診断に対しても
「その診断なんですね」
「それ間違っていないですか?」
などと言われることも。
親しき中にも礼儀あり
ですが、
顔の見えすぎる関係になるのも考えもの
だと思ってしまいます。
実際、学校の先生も大変なのは
スクールカウンセリングを通して
私もよく理解しています。
しかし、
決して少なくない割合でADHD治療薬や
アリピプラゾール・リスペリドン等の
抗精神病薬を服用しても
状態が改善しないケース
を見かけます。
そういう場合は、
他者との関係性の悪循環
感覚過敏などの不快刺激
低血糖(血糖スパイク)状態
睡眠不足
不安
空腹や疲労などの身体的原因
家庭内問題の二次的行動化
などの他の要因をチェックしていくことが必要です。
とくに
愛着に問題
がある場合は、薬というより
体験を通した「育ち直し」
が求められます。その場合は、
ソーシャルワーカーや行政の子供支援員、
家庭相談員と連携して対応することが多いです。
医療から「薬を使わない」「使えない」と伝えると
学校の先生によってはがっかりされる
場合も多々ありますが、
服薬で全てのケースが改善する訳ではない
ことを知っていただきたいです。
検査結果の「一人歩き」
病院からは検査結果を元にして
合理的配慮事項をお伝えしています。
でも、
いつの間にか支援者に肝心なところの認識が抜けて
「ASD、ADHD」などの
診断名しか記憶に残っていない
先生方を見かけます。
なかには、知能検査で色んな事情から
「参考値」扱いになったIQ
もありますが、
大切な特別支援審議会で「参考値」の意味合いが薄れ
IQだけが独り歩きしたケース
も聞きます。
審議会も時間がない中で
大勢の子供を判定しなければならないのでしょうけど、
そこまでIQは万能ではありません。
「ASD、ADHD」「知的境界域」などの診断は、
缶詰に貼られた表紙(ラベル)と同じ
だと考えた方が安全です。
表紙だけを見て中身を分かった気にならないこと。
難しいですが、
それがラベルづけの問題に対する
唯一の正しい対策
だと考えています。
医療機関で知能検査を取る心理士側も、
審議会に上がる可能性が事前に分かるのであれば、
報告書をまとめる際に
「本検査結果は参考値のため、
環境調整などの判断材料にする場合は
特段の慎重さと十分なアセスメントが求められる」
などと
しっかりめの文面で注意喚起を促しておくべき
だと思います。
まとめ
色んな角度から難しさがある医療と教育との連携ですが、
だからこそお互いが最良のパートナーに
なれる可能性を秘めていると感じています。
医療は教育からお子さんの日常や
日々の成長について教示をいただき、
代わりに合理的配慮について
「一定の方向性」という「軸」
を提供する。
そうした軸に沿って特別支援教育が動き、
好循環のダイナミズムが生まれていくのだと思います。
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