メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像

むブ物語刀断寓話゚ラずペル第六十䞉話 犁区の門

    犁区の門の前で、私はただ人が死ぬ芚悟を持おおいなかった。

    けれど、その門は、芚悟のない者を埅っおはくれない。

    だから私は、自分の頬を叩いた。


    画像


    ゚ラずペル 第六十䞉話
    【犁区の門】


    パチン。

    痛い。

    でも、その痛みのおかげで、頭が少しず぀冎えおいくのを感じる。

    手を䜕床か握り返す。

    少し喉が枇いおいた。
    それ以䞊に、䜓が震えおいた。

    私は、玅き塔の黒塗りの門の前に立っおいる。
    門の奥には、最䞋局たで続く螺旋階段が芋えた。

    この先は、犁区ず呌ばれる堎所だ。

    䞀床入ったら、その先に䜕が埅ち構えおいるのかもわからない。

    隣に立぀゚ラが、私の顔を芋お笑った。

    「ペル。眠たかったの」

    わかっお聞いおいる。
    私は、口元が䞊がるのをわざず我慢した。

    「誰かさんの寝盞が悪いせいでね」

    そう蚀っお、舌を少し出した。

    「それを蚀うならペルさんだっお、すごい顔で寝おたしたよ」

    オトが笑いながら蚀う。

    「眉間に皺を寄せお、それ以䞊食べないでヌっお」

    「えっ、本圓」

    私は慌おお聞き返した。

    「冗談です」

    そう蚀うず、今床はオトが舌を出した。

    「でも、オトさん。お土産のクッキヌ饅頭を狙っおたしたよね」

    サンがぜ぀りず蚀うず、オトの目が泳いだ。

    「確か、䞀個ならわからないから、ずか  」

    オトが慌おおサンの口を塞いだ。
    みんなから、小さな笑い声が挏れる。

    「䞀個、少なかった  です」

    フォヌチュンが、じっずオトを芋぀めおいた。

    その姿を暪目に、ゞャッゞメントが衚情を倉えずに蚀う。

    「案内はフォヌチュンにさせたす。ただし、圌女も犁区のすべおを知っおいるわけではありたせん」

    ゞャッゞメントの蚀葉に、フォヌチュンが小さく頷いた。

    「私はこの門を抑えたす。埌は気にせず、お進みください」

    そう蚀うず、ゞャッゞメントは門を背にしお立ち止たった。

    「じゃあ、そろそろ  」

    私が蚀いかけた、その時だった。

    呻き声が䞊がった。
    振り返るず、剣を握った男が倒れおいた。

    い぀の間に珟れたのか。
    い぀斬られたのか。

    私には、䜕も芋えなかった。

    「ほう。もう、埌先は関係ないず  」

    魔剣ケルベロスを抜いたゞャッゞメントが、剣にたずわり぀いた血を払う。

    ブン、ず䜎い音が鳎った。

    その音に誘われるように、暗闇から黒頭巟の男たちが珟れる。

    「じい」

    サンが振り返っお叫んだ。

    けれど、その声が届くより早く、男たちの胎が離れた。

    ゞャッゞメントは、い぀の間にか男たちの暪を歩いおいた。

    その埌ろには、斬り裂かれた骞だけが転がっおいる。

    早すぎお、芋えない。

    暗闇の奥から、今床は魔導垫たちが珟れた。

    圌らが詠唱を始めるず、呚囲に焊げた匂いが広がっおいく。

    火球が䞀斉に攟たれた。
    けれど、ゞャッゞメントは䞀歩も退かなかった。
    魔剣ケルベロスが、黒い軌跡を描く。

    次の瞬間、火球が裂けた。

    燃え盛るはずだった炎が、空䞭で断ち切られ、ほどけるように消えおいく。

    ――魔法を斬るっお、このこず

    目の前で魔法が斬られるのを芋お、私はようやくその蚀葉の意味を理解した。

    どんな鎧も、どんな盟も、どんな魔法も。
    あの剣は、本圓に斬る。

    「裁定は䞋った」

    ゞャッゞメントの声が、門の前に䜎く響いた。

    「党員、粛正」

    そう蚀うず、ゞャッゞメントは魔導垫たちぞ向けお剣を振った。

    ただ、䞀振り。

    それだけだった。

    魔導垫たちは、声を䞊げる間もなく厩れ萜ちる。

    サンが、ぎゅっず拳を握った。
    䞀歩、戻ろうずする。

    その背䞭に、ゞャッゞメントの声が飛んだ。

    「お嬢様」

    サンの足が止たる。

    「振り返る必芁はありたせん」

    ゞャッゞメントは、こちらを芋おいなかった。

    ただ、門の前に立っおいる。
    黒い剣を手に、赀ず黒の闇を背負いながら。

    「ここは、私が通したせん」

    サンは䜕かを蚀いかけたが、蚀葉にはしなかった。

    代わりに、深く息を吐く。
    そしお、前を向いた。

    「行きたす」

    その声は、静かだった。

    フォヌチュンが小さく頷き、螺旋階段ぞ足を螏み出す。

    ゚ラが私の手を取った。

    「ペル」

    「うん」

    私は、最埌に䞀床だけ振り返った。
    門の前に立぀ゞャッゞメントの背䞭が芋える。

    その背䞭は、たるで壁だった。

    誰も越えられない。
    誰も通れない。

    赀い瞳、第䞀垭。
    審刀。

    その名にふさわしい男が、そこに立っおいた。

    私たちは、犁区ぞず足を螏み入れた。
    倧きな竪穎の壁に、小さな螺旋階段が続いおいた。

    等間隔で灯されたランプの明かりだけが、足元を照らしおいる。

    穎の底を芗き蟌んでも、底は芋えない。

    吞い蟌たれそうになる感芚を抑えながら、私は䞀歩ず぀階段を䞋っおいった。

    途䞭から、違和感に気づいた。
    壁が石ではない。
    赀黒い、別の䜕かに倉わっおいた。

    よく芋るず、ゆっくりず動いおいる。
    たるで、生きおいるみたいだった。

    「この壁っお  」

    私が声を出したずころで、サンが蚀った。

    「亀の䜓ですね」

    倧きすぎお忘れおいた。
    私たちは、ギガントタヌトルの䞊にいる。

    ずいうこずは。

    「  ここ、䜓の䞭」

    「たぶんですけど」

    サンが静かに答えた。

    「ここは、ギガントタヌトルの䜓内です」

    仮面で衚情は芋えない。

    それでも、サンも私ず同じものを感じおいるのだずわかった。

    ――気味が悪い。

    䞋ぞ降りるほど、空気が重くなっおいく。
    幞い、息苊しさは感じない。

    それでも、居心地の悪さだけが増しおいった。

    どれくらい䞋りただろう。
    ようやく、底が芋えおくる。

    底が芋えた安心感から、自然ず足が速くなった。
    最埌の階段を䞋りるず、フォヌチュンは蟺りを芋枡し、䞀぀の通路を指差した。

    「あっち  です」

    私たちも、その埌に続く。
    歩きながら、゚ラが地図を芋お呟いた。

    「犁区っおさ、亀の内臓じゃない」

    私も地図を芋る。

    確かに倧雑把に描かれおいるが、亀の内臓の䞭を现かな道が続いおいるようにも芋えた。

    「よく気づいたね」

    私は感心しお゚ラを芋る。

    「なんずなくね」

    ゚ラはそう蚀うず、ふっず衚情を匷匵らせた。

    腰のシルベがヒンず鳎る。
    サンも、すぐに腰の剣ぞ手をやる。

    「来たす  」

    フォヌチュンが蚀った盎埌、通路の先から無数の矢が飛んできた。

    私ずオトは、すぐにしゃがみ蟌む。

    フォヌチュンは矢を最小限の動きでかわしながら、前ぞ駆け出した。
    続くようにサンも剣を抜き、私ずオトに圓たらないように矢を匟いおくれる。

    ゚ラの姿が、隣から消えた。

    次に芋えた時には、もうフォヌチュンず䞊んで駆け出しおいた。

    先の暗闇から、䜕かがぶ぀かる音が響く。
    それを境に、矢は止たった。

    「片付いたよヌ」

    ゚ラの声だけが聞こえる。

    私たちは立ち䞊がり、声のする方ぞ進んだ。
    そこには、黒頭巟の男たちが倒れおいた。

    血は流しおいる。
    けれど、死んではいないようだった。

    私は、少しだけ安心した。
    その安心は、すぐに厩れた。

    フォヌチュンが、倒れた男たちに䞀人ず぀剣を突き立おおいた。

    「ダメっ」

    私が口にした時には、黒頭巟たちの断末魔が通路に溢れおいた。

    フォヌチュンは衚情を倉えない。
    ただ、淡々ず剣を匕き抜き、次の男ぞ向かう。

    「ペル」

    サンの声は冷静だった。

    「ここで逃すず、私たちが危なくなりたす」

    正しい。

    たぶん、サンの蚀っおいるこずは正しい。
    ここは犁区で、盞手は私たちを殺そうずしおいた。

    逃せば、背埌から襲われるかもしれない。
    誰かに知らせに走るかもしれない。

    わかっおいる。

    それでも。

    私は震える手を抌さえ、俯くこずしかできなかった。

    犁区に足を螏み入れたのだず、ようやく思い知った。

    画像


    🔙第六十二話   第六十四話🔜



     
     
     
    ファンタゞヌな䜜家アむ 物語ず゚ッセむを曞いおいたす。 長線『゚ラずペル』完結戊蚘ファンタゞヌ『猫埁』連茉䞭 刀断寓話から、日垞に朜むちょっず倉な話たで(・κ・) 物語を読む人にも、曞く人にも。 あなたの日垞に、少しだけファンタゞヌを むブ物語刀断寓話 䞍定期曎新

    あなたぞのおすすめ