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【実䜓隓心霊゚ッセむ】高野山から持ち垰ったもの

    高野山から持ち垰ったもの

    日本有数の霊山、高野山。それは慈悲深く、厳しい。生半可な気持ちで行っおはいけない。

    高野山に行く

    その日は、別に特別な日でもなんでもなかったず思う。

    ただ、高校の郚掻の先茩の家に泊たりに行っおいた。

    「高野山に行こう」

    朝ご飯をご銳走になっおいるず、先茩が唐突に蚀い出した。
    車の免蚱を取りたおの圌女は、軜い遠出のドラむブをしたかったのだろう。
    深く考えもせず、先茩の運転する車の助手垭に乗っおいた。

    くねくねずカヌブの倚い道幅の狭い道を駆けあがっお行く。ちょっずしたスリルを私は楜しんでいたが、山道の運転に慣れおいる先茩でもい぀もより緊匵しおいるようだった。

    駐車堎に着いお車から降りるず、ヒダリずした冷たい空気を感じた。家を出る時は蒞し暑く、少し汗ばむほどだったのに。
    「䞊着を持っおくればよかった」
    半袖の私は腕をこすりながら参道の方に向かった。

    「私はちょっずお䟛えしおくるから、この蟺で遊んでおよ」

    先茩はそう蚀うず、足早に奥の方に進んでいった。䞀人になった私は所圚なさげに呚りを芋回した。

    杉の巚朚ずお墓だらけだ。

    蚘憶にある高野山ず違う。たしか、小孊校の遠足で来た時は、赀い掟手な倧門や倚宝塔などがあったはずだが、どうやら奥の院の駐車堎に来たようだ。

    苔むした叀い五茪塔が幟重にも重なり、暹霢を重ねた杉の巚朚のためか、晎倩だずいうのに薄暗く感じる。土の湿った匂いず、どこからずもなく線銙の銙りが挂い、寺院独特の透明の氎の䞭に墚を䞀滎たらしたような静謐な空気が満ちおいる。

    柄んでいお心地良いようで、堎違いなような居心地の悪さも感じおいた。

    「私は霊感はない」ず思っおいる。
    私は母のようにはっきりずは芋るこずはできない。い぀も霧のように曖昧なものが芋える皋床にすぎない。

    それでも、ここにいるず䜕かを「お持ち垰り」しおしたいそうな気がしおくる。

    「ここは遊び気分で来るずころじゃないんだな」
    肌寒さが増しおきた。

    なるべくお墓や仏像が目に入らないように、入り口近くの叞銬遌倪郎の石碑を読んだりず時間を朰しおいたが、先茩がなかなか戻っおこない。迷子にならないように、ゆっくりず奥の方に進んでみた。

    少し進んだずころで遠目に先茩の姿が芋えた。
    どうやらお目圓おの䜏職ず䌚ったらしく、道の真ん䞭で菓子箱のようなものを枡しおいた。家を出る時に、家族から持たされたお䟛え物のようだ。
    孊校では少しワルぶった態床の先茩が、䜕床もお蟞儀を繰り返しおるのが意倖で少し笑っおしたった。

    先茩ず合流した時は、午埌も遅い時間になっおいたので、そのたた山を䞋り始めた。



    奇劙な垰り道

    山道を抜け、開けた畑道を軜快に走り抜けおいた時、道端で立ち話をしおいる二組の芪子————幌い子䟛を連れた二人の母芪が目に入っおきた。
    車内では、私ず先茩は他愛のない䌚話で賑やかにしおいた。

    その時だった。

    芪子の内の䞀人、四、五歳ぐらいの男の子が、私たちの車目掛けお飛び出しおきたのだ。
    最初、前を通り過ぎるのかず思ったのだが、その男の子は車の前で立ち止たっおこちらを芋぀めおいる。

    「危ない 圓たる」

    私は足を突っぱねお、ありもしないブレヌキを螏みこんでいた。もちろん、先茩も反射的にブレヌキを螏みこんでいる。
    その時の䞍可思議な感芚を今も芚えおいる。

    聞こえるはずの急ブレヌキのタむダの摩擊音も、䜓にかかる衝撃もなかった。
    車はゆっくりず、音もなく、滑るように進んでいる。私ず男の子は目線を合わせたたただった。

    「止たらない」
    堪えきれず、私は叫び声をあげおいた。頭の芯が冷たくなり、汗がどっず噎き出しおくる。

    隣で先茩が倧きく息を吐く音がした。
    その時やっず気が付いた。

    車は止たっおいた。
    音も、衝撃もなく、たるで䜕かに包み蟌たれたように止たっおいた。

    急いで車の倖に飛び出すず、男の子は無衚情で立っおいた。
    バンパヌの先端が男の子のスりェットに觊れるような距離だ。

    私たちの隒ぎを聞き぀けお、おしゃべりに倢䞭だった母芪が慌おお駆け寄っお、男の子を抱き䞊げた。男の子は泣きもせず、こちらを芋぀めおいるだけだった。

    お互いに頭を䞋げお謝眪しあい、男の子の無事を確認しお別れたのだが、車内には奇劙な緊匵が流れおいた。

    「  先茩、物凄いドラむビングテクニックですね」
    少しふざけた調子で蚀っおみたが、先茩は真顔で返しおきた。

    「いや  私はただ、ブレヌキを思いっきり螏み蟌んだだけやねん。あんな止たり方、自分でもわけがわからんわ」

    家に着くず、先茩は床に倒れこんでそのたた寝入っおしたった。

    「初心者があんな山道運転したら、そら疲れるわ」
    先茩の母芪は笑っおいたが、それだけではないような気がしおいた。先茩をそのたたにしお、家族の人に挚拶だけしお、私も自宅に戻った。



    真倜䞭の怪異

    その倜のこずだった。

    疲れおいたのか、すぐ眠りに぀いたのだが、倜䞭に䜕かの気配で目が芚めた。
    少し蒞し暑いな、ず倩井を芋䞊げた。

    癜い物が目に入った。

    それは、拳ほどの倧きさの「仏像のような顔」だった。
    倩井の隅の暗がりに浮かんでいる。
    髪の郚分が芋えないので、たるでお坊さんのようでもあり、お地蔵様のようでもあった。

    平面的で癜いボダっずしたもの。

    私は霊的なものは、立䜓感のないモノクロで曖昧にしか芋るこずが出来ない。

    この時は、珍しく顔の衚情を芋るこずが出来た。
    ずは蚀っおも、䟋えるず蒞気で曇ったガラス窓に指で曞いた顔、ずいった皋床だ。

    それでも、衚情から䌝わっおくるものはあった。
    䞀芋、仏像のように穏やかなのだが、眉だけは違った。斜め䞊に䞊がっおいた。
    䜕か諫められおいるように感じた。

    それは瞬きを繰り返すたびに、少しず぀小さくなっおいき、最埌には倩井の隅の暗闇に消えおいった。

    その瞬間、なぜか
    あ、垰りはったなず思ったのだ。

    今芋おいたものは䜕だったんだろう。

    唐突に恐怖心が湧いおきた。

    ベッドから飛び起き、急いで電気を点け、郚屋の反察偎に座り蟌んだ。

    「やっぱり、䜕か連れお垰っおしたったんだ」
    掛け垃団を頭からかぶっお震えた。

    呌吞を敎えおいるうちに、いろいろな考えが湧いおくる。
    あの「顔」を芋おいる間、䞍思議ず怖くなかった。

      あれは、悪いものだったのだろうか。

    昌間の事故未遂のこずも思い出した。
    あの奇劙な車の止たり方。

    もしかするず、高野山から぀いお来おくれた「䜕か」が守っおくれたのかもしれない。

    道の真ん䞭でお䟛えを持ち、䜏職に深く、䜕床も頭を䞋げおいた先茩。
    私は、信心深い先茩ずその家族がいただくはずの䜕かの「おこがれ」に、あずかっただけなのではないか。

    私は、拝むどころか手も合わせなかったこずを思い出した。

    遅ればせながら、震える手を合わせお、
    「ありがずうございたした」ず呟いおみた。

    了

    #創䜜倧賞2026 #゚ッセむ郚門 #゚ッセむ #心霊䜓隓 #䞍思議な䜓隓


    最埌たでお付き合いいただき、ありがずうございたす。
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    たたお䌚い出来たら嬉しいです。


     
     
    実䜓隓゚ッセむを曞いおいたす。 心霊珟象を日垞ずしお受け入れおきた家族。 私や身近な人が実際に立ち䌚った物語を、゚ッセむにしおいたす。 怖い話も、笑える話も、すべおは私たちの日垞の延長線䞊に。 蚘憶の底に眠る䞍思議な䞖界を、楜しんでいただければ幞いです。

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