
「正直に言います。」──50代、投資歴20年の3つの本音。
はじめに ── 賢いフリを、やめました
正直に、言います。
投資を20年やってきて、最近、ひとつ、やめたことがあります。
「賢いフリ」を、やめました。
PERがどうの、ROEがどうの。
マクロ経済がどうの、金利がどうの。
そういう、いかにも「わかっている人」の話し方を、やめたんです。
なぜか。
20年やってわかったのは——賢く語る人ほど、儲かっているとは限らない、という、身も蓋もない事実だったからです。
だから今日は、賢い話はしません。
代わりに、正直な本音を、3つ、話します。
それは、世間が「正解」だと言っていることへの、私の、静かな違和感です。
ひとつめは、「時間」の本音。
ふたつめは、「本質」の本音。
みっつめは、「自分軸」の本音。
どれも、声を大にして言うようなことでは、ないかもしれません。
でも、50代になって、20年の投資を振り返ったとき、心から「これは、伝えておきたい」と思ったことです。
少し長くなりますが、お付き合いください。
第1章:正直、もっと早く投資を始めればよかった
その後悔、本物ですか?
ひとつめの本音は、これです。
「正直、もっと早く投資を始めればよかった。」
——きっと、多くの方が、うなずいてくれると思います。
私自身、何度も思ってきましたし、相談に来る方からも、何度も聞きました。
「あの時、始めていれば」
「10年前にやっていれば」。
でも、ある時、ふと、この言葉の"おかしさ"に、気づいてしまったんです。
「もっと早く始めればよかった」
——これ、よく考えると、今のこの状態のまま、過去に戻りたい、という意味じゃありませんか?
今の知識を、持ったまま。
相場がここまで上がった、と知ったまま。
その"ずるい状態"で、5年前、10年前に戻れたら——そりゃ、誰だって、儲かります。
でも、それは。
ただの「後知恵」だった
ひとつ、聞かせてください。
5年前のこと、はっきり覚えていますか。
10年前は、どうでしょう。
当時のあなたは——今のことを、何ひとつ、知らなかったはずです。
相場がここまで上がるなんて、知らなかった。
自分が投資を続けられるかどうかも、わからなかった。
何が当たって、何が外れるかも、まったく見えていなかった。
「もっと早く」は、結果を知った今だから、言えること。
当時の自分には、霧の中しか、見えていなかったんです。
しかも、昔は「今より、ずっと不便」だった
ここで、忘れられがちな事実を、ひとつ。
昔は、投資の環境が、今よりはるかに不便でした。
個別株の売買手数料は、高かった。今のように「ゼロ」なんて、夢のまた夢。
投資信託は、買うだけで2〜3%の手数料を取られるのが、当たり前。
信託報酬(持っているだけでかかる費用)も、年1〜2%は、普通でした。
そして、今のような「新NISA」も、ありませんでした。低コストのインデックスファンドも、選択肢がほとんどなかった。
毎年1〜2%もの費用が、じわじわと、資産を削っていく。今の「低コストで、非課税で」という恵まれた環境とは、まるで違ったんです。
——それでも、「もっと早く始めればよかった」と、胸を張って言えますか?
「昔の不便な環境で、今と同じようにうまくやれた」と、本当に、言い切れますか?
続けられたとは、限らない
もっと、踏み込みます。
仮に、10年前に始めていたとしても、です。
途中には、何度も、下落がありました。
コロナショックもありました。
資産が、目の前で、みるみる減っていく。
私自身、含み損を抱えて、夜、なかなか眠れなかった時期があります。
「このまま、ゼロになるんじゃないか」
と、本気で怖くなった。
画面を見るのが、嫌でした。
そんなとき、人は、どうするか。
——こわくなって、投げ出すんです。
値下がりに耐えられず、底値で売ってしまう。
今のあなたが「あの時、続けていれば」と思えるのは、"その後、上がった"という結果を、知っているからにすぎません。
当時の渦中にいたら、続けられた保証なんて、どこにもない。
だから、「早く始めれば、成功していた」とは、限らないんです。
過去には、戻れない
そして、いちばん大事なこと。
過去には、戻れません。
「もっと早く」と、いくら悔やんでも。
1円も、増えません。
後悔は、いつも、過去を見ています。
でも、お金が増えるのは、これからです。
未来です。
見るべきは、後ろではなく、前。
——なのに、私たちは、つい、後ろばかり見てしまう。
今日が、未来の「もっと早く」
ここで、視点を、ぐるりと変えてみてください。
今日という日は、未来のあなたから見た「もっと早く」です。
10年後のあなたは、きっと、こう思うはずです。
「2026年の、あの日。あの時、始めて(続けて)よかった」と。
あるいは——「あの時、もっと早く=つまり、今すぐ、始めればよかった」と。
どちらを言うことになるかは、今日のあなたが、決めます。
過去の後悔は、変えられません。
でも、未来の後悔なら、今日、なくすことができる。
その前に、スタートラインに立っていますか
最後に、ひとつだけ、現実的な話を。
「もっと早く始めればよかった」と言う前に——証券口座は、ありますか?
口座がなければ、そもそも、まだスタートラインにすら、立っていません。
スタートラインに立つ前から「もっと早く走り出せばよかった」と悔やむのは……ちょっと、矛盾していませんか。
まず、今日。
口座を作る。
それだけで、後悔は「行動」に変わります。
第1章の本音は、これです。
後悔より、今日。
過去を悔やむ時間があったら、今日の一歩を。
50代は、まだ早い。
今日が、これからの人生で、いちばん早い日なのですから。
第2章:正直、アウトプットしても資産は増えません
毎日noteを書いている私が、言います
ふたつめの本音は、もっと、自分に刺さるやつです。
「投資の勉強をしたら、忘れないうちに、アウトプットしよう。」
——よく、言われます。
そして、私自身、こうして毎日、noteでアウトプットしています。
だからこそ、正直に、言わせてください。
アウトプットしても、資産は増えません。
「お前が言うか」と、思いますよね。
その通りです。
でも、だからこそ、言える本音なんです。
「忘れないために」は、正しい。でも
「勉強したら、アウトプットすると、記憶に定着する。」
これ自体は、正しい。
勉強法としては、王道です。
でも、それは——「知識を、忘れないため」の話ですよね。
では、聞きます。
知識を忘れないことと、資産が増えることは、イコールでしょうか。
——違います。
ノートにまとめても。
SNSに書いても。
人にスラスラ説明できるようになっても。
それで、あなたの口座の残高が、増えるわけではない。
資産を増やすのは、「経験」だけ
では、何が資産を増やすのか。
20年やって、たどり着いた答えは、ひとつです。
経験です。
実際に、自分のお金を出して、株を買う。
持ち続ける。
配当を、自分の口座で受け取る。
そして、暴落の夜に、眠れない思いをしながら、それでも、耐える。
——この「経験」だけが、資産を育てます。
私の20年は、机の上の勉強でできているわけでは、ありません。
暴落で減った経験。
増配で、配当が勝手に育っていった経験。
スーパーや街角で、「あ、この会社、元気だな」と気づいた経験。
そういう、生きた経験の積み重ねです。
アウトプットを何万字書いても、この経験は、手に入りません。
アウトプットが大事なのは「教える人」
じゃあ、アウトプットは、無意味なのか。
いいえ。
大事な人も、います。
それは——「教える人」「発信する人」です。
資産運用を教える人にとって、アウトプットは、いわば商売道具。
必須です。
アウトプットしなければ、伝わらないし、仕事にならない。
つまり、こういうことです。
資産を「増やしたい」人 → 必要なのは、経験
運用を「教えたい」人 → 必要なのは、アウトプット
目的が、まったく違うんです。
そして、世の中の「勉強したらアウトプット」という掛け声は、しばしば、この2つを、ごちゃ混ぜにしています。
正直に、もう一度
ここで、もう一度、自分のことを白状します。
私は、毎日noteで、アウトプットしています。
でも、それで資産が増えているわけでは、ありません。
私の資産を増やしたのは、20年の経験です。
アウトプットは、関係ない。
じゃあ、なぜ書くのか。
それは
「伝えたい」
「自分の考えを整理したい」
という、別の目的があるからです。
資産を増やすためじゃない。
私は、この2つを、混同していません。
だからこそ、正直に「アウトプットしても増えない」と、言えるんです。
「勉強した。アウトプットした。」
——それで、満足していませんか。
それ、勉強した"気"になっているだけで、資産は1円も動いていないかもしれません。
第2章の本音は、これです。
形より、本質。
勉強やアウトプットという"形"より、実際に経験するという"本質"を。
増やしたいなら、ノートを閉じて、まず、やってみること。
第3章:正直、「NISA5年で満額」には乗りません
もう、聞き飽きました
みっつめの本音は、少し、とがっています。
「新NISA、5年で満額にするぞ!」
——その意気込み、すばらしいです。
本気で、応援しています。
でも、正直に言うと……この掛け声、もう、聞き飽きました。
そして、5年で満額を目指すその前に、立ち止まって考えてほしいことが、いくつか、あるんです。
年360万円は、「普通の人の年収」です
NISAを5年で満額にする。
それはつまり、年間360万円を、投資に回す、ということです。
360万円。
——これ、普通の人の、年収と同じくらいの金額です。
それを、毎年、5年間、投資に入れ続ける。
聞きたいのは、ここです。
その360万円は、本当に、無くなっても困らないお金ですか?
生活を削っていませんか。
「枠があるから」
「みんなやっているから」
で、無理をしていませんか。
「5年で満額」は、2つのことを宣言している
少し、意地悪な見方を、します。
「5年で満額します」と公言することは、実は、2つの宣言でもあります。
①「私は、年360万円を投資に回せる資産があります」
②「でも、運用の仕方は、よくわからないので、教えてください」
——この2つ、並べると、ちょっと、ちぐはぐじゃないでしょうか。
それだけの資金を動かそうとしているのに、その運用を、他人に聞いている。
自分で決められないうちは、その金額は、まだ早いのかもしれません。
満額にした、その「翌年」
そして、もうひとつ。
「翌年」を、想像したことはありますか。
5年で枠を埋める、ということは、買付の余力を、使い切るということでもあります。
もし、満額にした直後に、絶好の安値が来たら。
あなたの手元に、買い増す「枠」は、残っていません。
ここで、歴史の話を、ひとつだけ。
100年ほど前、1929年。
世界恐慌が起きた年です。
株価は、想像を絶するほど、暴落しました。
——では、これを根拠に「100年後の今、また恐慌が来る!」と言うのか。
いいえ。
私は、そんな占いは、しません。
暴落の時期は、誰にも、わかりません。
1年後かもしれないし、20年来ないかもしれない。
当てようとするだけ、無駄です。
でも、歴史が教えてくれる、確実なことが、ひとつ、あります。
暴落は、いつか必ず、来ます。
1929年も。
ITバブルも。
リーマンも。
コロナも。
時期は読めないけれど、「いつか来る」ことだけは、確実。
何度も、来てきたのですから。
問題は——「来たとき、買える枠があるか」です。
5年で全部埋めて、枠を使い切っていたら、絶好の安値を、指をくわえて、見ているだけになります。
だから、私は急がない
だから私は、5年で満額を、目指しません。
枠は、逃げません。
あわてて埋めなくていい。
いつ暴落が来てもいいように、余力を残しておく。
そうすれば、暴落は「恐怖」ではなく、「安く買えるチャンス」に、変わります。
決めた人には、言いません
最後に、本音の、いちばん奥を。
もう「5年で埋める」と決めている人は、私が何を言っても、5年で埋めます。
決めた人に、何を言っても、届かない。
だから私は、もう、言いません。
応援しています。
——でも。
まだ「どうしようかな」と、迷っている人には、言いたい。
「なぜ急ぐのか」を、自分の言葉で、説明できますか。
「みんながやってるから」
「枠がもったいないから」
——それしか出てこないなら、ペースは、落としてもいい。
NISAは、逃げません。
第3章の本音は、これです。
煽りより、自分のペース。
制度に急かされず、自分が納得した速度で。
それが、自分の資産を、自分で守るということです。
おわりに ── 3つの本音が、指す1つの場所
長い話に、お付き合いいただき、ありがとうございました。
3つの本音を、振り返ります。
第1章「時間」の本音 → 後悔より、今日。
第2章「本質」の本音 → 形より、経験。
第3章「自分軸」の本音 → 煽りより、自分のペース。
バラバラの話に見えて、実は、ぜんぶ、同じ一点を指しています。
それは——「自分の頭で、正直に考える」ということです。
「もっと早く」という後悔も。
「アウトプットすれば」という思い込みも。
「5年で満額」という掛け声も。
ぜんぶ、外から来た「正解」です。
世間が、
SNSが、
誰かが、
「こうすべき」と言っている声。
その声に、正直に、首をかしげること。
「本当にそうかな?」と、自分の頭で、もう一度、考えること。
20年かけて、私がたどり着いたのは、賢い投資手法でも、必勝の銘柄でもありませんでした。
「賢くあろうとするのを、やめる。代わりに、正直であろうとする。」
——たった、これだけです。
賢いフリは、疲れます。
誰かの正解を追いかけるのも、疲れます。
でも、自分に正直でいることは、疲れません。
むしろ、肩の力が、抜けていきます。
50代から。
あるいは、何歳からでも。
難しいことは、わからなくていい。
賢くなくても、いい。
ただ、自分に正直に。
「本当に、そうかな?」と、問い続ける。
それだけで、お金との付き合いは、ずっと、健やかになります。
——あなたにとっての、正直な本音は、何ですか?
その声に、ちゃんと、耳を傾けていますか?😊
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