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Photo bykuchan2021

奪われたアンカー【学園もの】

    【あらすじ】
    体育祭の最終種目「リレー」の直前に、主人公・ミナトはアンカー走者のクラスメイト・コウガに嫌がらせを繰り返す。その真意とは…?

    体育祭のリレー直前。僕は、幼馴染のコウガが隠し持っていた白い錠剤を、足で踏み潰した。

    「てめぇ...何しんだ!」

    コウガの語気が荒い。
    僕はポケットからハサミを取り出し、コウガのスパイクへ向かう。

    「おい待て、やめろ!」

    ためらわずにハサミを入れる。紐が弾ける感触が手に残る。

    「俺のスパイクが...ッ!」

    コウガが僕の胸ぐらを掴み上げる。

    「ふざけんな! これじゃ走れねぇだろ!」
    「…諦めろ。もう走れない」
    「スパイクなんかなくても… 裸足でも走ってやるよ!」

    ダメだ。もっと嫌われてでも、止めるしかない。

    「あと、アンカーは僕が走る」

    僕はそう言って、コウガの手からハチマキをひったくる。

    「はぁ!? お前みたいなノロマに務まるかよ! 返せ!」

    僕はかまわずハチマキを頭に巻き、嘲笑うように背を向ける。

    「返してほしけりゃ、追いついてみろよ」

    そう言い捨てて、僕は入場ゲートへ走り出す。

    「おい待ちやがれ!!」

    コウガが怒りに任せて一歩踏み出した瞬間。

    「ぐ、がぁあっ...!」

    背後で、コウガが崩れ落ちる音がした。
    僕は振り返らない。
    背後から、クラスメイトたちが騒ぐ声が聞こえる。

    「おい、コウガが倒れた!」
    「ミナトのせいだ!」
    「あいつ最低だな!」

    罵声が背中に突き刺さる。


    その後、僕がアンカーを走ったリレーは惨敗。クラスは最下位になった。
    僕はその場から逃げるように保健室へ向かう。
    ドアの隙間から中を覗くと、ベッドに座るコウガと、手当てをする先生が見えた。
    先生の口調は厳しい。

    「アキレス腱断裂寸前よ。これでリレーを走ってたら、二度と元通りには走れなくなってたわ」

    よかった。最悪の事態は回避できたんだ。

    僕は無言で立ち去ろうとする。

    「...おい」

    ドア越しに呼び止められ、僕は足を止める。

    「余計な真似しやがって」

    相変わらずの憎まれ口。けれど、その声にもうトゲはなかった。
    僕は何も答えず、その場を後にする。
    あいつがまた走れるなら、それでいい。

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