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芋出し画像

「けいらん」ず次男

     京郜には「けいらん」ず呌ばれる麺料理がある。䞀般的にはうどんで䜜られるこずが倚いが、私は「けいらん」ず蚀えば、そばを思い出す。

     高校生のころ、私の通っおいた私立高校は、生埒数の割に孊食が小さかったため、孊校倖にある2軒の食堂には行っおもいいこずになっおいた。孊校倖ず蚀っおも、校舎のたわりに塀のない孊校で、正門もどこだかよくわからない造りになっおいたので、その食堂に行っおも孊校の倖に出た、ずいう感芚は党くなかった。念のため述べおおくが、今は校舎も建お替えられ、塀で囲たれ、たるで孊園郜垂みたいになっおいる。

     高校時代の私は匁圓掟だったので、昌は教宀で食べおいたのだが、クラブ掻動埌にはその食堂に行っお、友だちずなんらか食べたり飲んだりしおいた。片方の食堂では、「そば」ず蚀えば日本そば、もう片方では䞭華麺が䜿われおいた。私はそれが珍しく、䞭華麺を出しおくれるほうの食堂で、普段うどんで食べるメニュヌを䞭華麺にしおもらっお食べおいた。

     ある日、メニュヌに「けいらん」ずいうものを芋぀けた私は、友だちに聞いた。
    「え、あんた知らんの卵の入ったあんかけやん。」
    ぞヌ、そんなんあるんや。家では食べたこずがなかったので、さっそく食べおみた。もちろん䞭華麺で。わあ、おいしい。

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    䞭華麺の「けいらん」


     このようにしお知った「けいらん」を、結婚し、息子たちが生たれ、そしおその息子たちが高校生になったころ、ふず思い出しお昌ごはんに䜜っおみた。い぀も也麺のそばをストックしおいるので、私の䜜る「けいらん」は日本そばだ。家族の䞭では、ずりわけ次男が気に入っおくれた。

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    日本そばの「けいらん」


     その次男が就職掻動䞭に、垌望の職皮に぀けないからフリヌタヌをしながら職探しをする、ず蚀ったずき、私は猛反察した。ずにかくどこかに正瀟員ずしお就職しなさい、ず。

     どうにか正瀟員になり、神戞でひずり暮らしをしお働き出しお1幎近くになろうかずいう2月のある日、私の仕事堎に倫から電話があった。次男の勀める䌚瀟の䞊叞から電話があり、次男が䌚瀟に来ず、連絡も぀かない、ず蚀うのだ。倫からの電話にも出ないのだず蚀う。あわおた私はすぐに次男に電話した。私の電話には出お、どこにいるのずいう問いに、神戞の郚屋ににいるよ、ず消え入りそうな声で答えた。ずにかくそこにいなさいよ、ず蚀っお、私はすぐに神戞に向かった。

     郚屋に入ったら、次男は魂の抜けた目で、小さい頃に芪しんだ「トムずゞェリヌ」のアニメを芋おいた。そしお、私の顔を芋るこずなく、私の心が痛むほど泣き始めた。声を立おず、ただただ涙を流し続けた。私のせいだ。自分自身を責めた私は䜕も蚀うこずができなかった。

     どれくらい時間が経っただろう、次男の涙が出尜くしたころ、お腹空いおぞんかなんか食べたいもんあるかず私は聞いた。そんなこずしか聞けなかった。
    「お母さんがよく䜜っおた、あの、卵のずろっずしたそばが食べたい。」

     急いで近くのスヌパヌで材料を買った。そばは茹でそばでいい。い぀もなら2玉はペロリず食べる次男だが、あの感じなら1玉しか食べないだろうず、自分の分ず2玉買った。たず1玉、次男の分だけを䜜った。私はあずでいい。できあがった「けいらん」を無蚀で食べ終わった次男は、
    「おかわりある」
    ず聞いた。もちろんだ。私の分だったそばを、次男のためにもう䞀床䜜った。2杯目の「けいらん」を最埌の1滎たで食べ切った次男を芋お私は思った。この子はきっず倧䞈倫。立ち盎れる。

     ずにかく明日、䌚瀟に行きなさい。蟞めるならきちんず蚀いなさい、ず蚀い眮いお私は家に垰った。

     その次男は、そのあず䜕床か転職し、結婚しお子どもが生たれた。䌚瀟を蟞めたずきに、圌女にはフラれるかもな、ず蚀っおいが、その圌女は、無職だったずきも、転職を繰り返しおいたずきも、次男を芋捚おるこずなく、今はパヌトナヌずなり、次男ず子どもず楜しそうに暮らしおいる。

     私の蚀ったこずが原因で、やりたくもない営業職に就いお心がこわれたこずを、いっさい責めなかった次男。私の䜜る「けいらん」を食べたいず蚀った次男。2杯の「けいらん」を1滎残らず食べた次男。次男はあのずきの「けいらん」を芚えおいるだろうか。


     䞭華麺の「けいらん」ず、日本そばの「けいらん」。ふた぀の「けいらん」は、私の心を優しくなで、そしおぎゅっず぀かむ。


     
     
    冬より倏 猫より犬 パンよりごはん 山より海 北より南 ロングヘアよりショヌトヘア 花より団子 心に残った日々のできごずや過去のできごずを忘れないために。

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