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イランが1000個大隊を編成へ 『国民総動員』は本気なのか?

イランの動きが、かなり物騒になってきた。

2026年9月18日、テヘランで政府主導の大規模集会が行われた。

AP通信によると、参加者は30万人を超えたとされ、イラン当局は軍事訓練への登録者がすでに60万人以上、今後100万人以上が訓練に参加する可能性があるとしている。(AP News)

もちろん、この数字をそのまま信用する必要はない。

イラン政府側は以前、「ジャンファダ(Janfada)」という志願運動への登録者が3000万人を超えたとも発表していたが、登録システムを調べた独立系メディアなどからは、その数字にはかなり疑問があると指摘されている。

IranWireによれば、登録システム上で確認された最大のユーザーIDは400万未満だったという。(IranWire)

だから、

「イランに100万人の精鋭兵士が突然誕生した!」

という話ではない。

それでも、今回の動きはかなり興味深い。

ただの集会ではなくなってきた

これまでジャンファダは、どちらかというと

「国民一丸となって祖国を守ろう」

という政治運動、宣伝運動の色が強かった。

ところが、ここにきて本当に市民へ軍事訓練を行い、部隊として組織する段階に入りつつある。

IranWireによれば、イラン側は志願者を組織して、

1000個の「国民抵抗大隊」

さらに

1000個の緊急対応部隊

を編成する計画だという。(IranWire)

訓練内容もなかなか本格的だ。

カラシニコフ系小銃やRPGだけではない。

報道では、

・地域警備
・戦時対応
・情報監視
・マイクロドローン
・肩撃ち式対空・対戦車兵器

などの訓練まで計画されている。(IranWire)

少なくとも、

「集会を開いて国旗を振って終わり」

という段階からは、一歩進んできたように見える。

イランが地上戦をやる気満々なのか?

ここは少し分けて考えた方がいい。

イランが100万人の兵士を集めて、どこかに攻め込むという話ではない。

むしろ逆だろう。

想定しているのは、国内防衛だ。

空爆、封鎖、特殊部隊侵入、都市部での戦闘、破壊工作などが長期化した場合に備え、

「国全体を巨大な防衛拠点にする」

という発想に近い。

特にイランは国土が非常に広い。

空軍力だけで国土全体を完全に制圧するのは難しい。

そこで正規軍や革命防衛隊だけではなく、地域住民まで組織してしまえば、外国軍が地上に入った場合のコストを大きくできる。

イラン・イラク戦争時代のバシジを、ドローン時代向けに作り直していると考えると分かりやすいかもしれない。

本当に怖いのは「100万人」という数字ではない

私は今回の話で重要なのは、人数そのものではないと思う。

仮に100万人登録しても、軍事経験のない市民が短期間訓練を受けただけなら、正規軍の兵士と同じ戦闘力になるわけではない。

重要なのは、

大量の人間をあらかじめ組織しておくこと

だ。

戦争では兵士だけが必要なわけではない。

物資輸送、負傷者救護、警備、通信、監視、道路管理、避難誘導など、とにかく大量の人手が必要になる。

ジャンファダでも、軍事任務だけではなく、救助や社会サービス、後方支援への参加が想定されている。(IranWire)

つまり正規軍を戦闘に集中させ、その後ろを大量の民間組織で支えることができる。

これは長期戦ではかなり大きい。

一方で「国内治安部隊」という側面もある

ここも無視できない。

バシジはもともと外国軍と戦うだけの組織ではなく、国内の治安維持にも使われてきた。

今回もイラン政府側は、ジャンファダ参加者を地域単位で組織し、街頭での活動を継続するとしている。

Basijは、戦争開始後に続いてきた政府支持者による街頭活動について、「必要な限り継続する」と発表している。(IranWire)

つまり、

「外国軍に備える民兵組織」

と同時に、

「国内を掌握するための組織」

という二つの面を持つ可能性がある。

ここは冷静に見た方がいいだろう。

米国やイスラエルからすると面倒な展開

航空戦だけなら、圧倒的な航空戦力を持つ側が有利だ。

ところが地上戦になると話が変わる。

人口9000万人近い大国で、山岳地帯も多く、都市も巨大なイランに地上軍を投入して占領するとなれば、必要な兵力も補給も桁違いになる。

そこに数十万人、あるいはそれ以上の予備要員や地域部隊まで存在するとなれば、さらに面倒になる。

だからイラン側としては、

「攻めてきても簡単には終わらないぞ」

というメッセージを出すだけでも意味がある。

実際、今回のテヘラン集会では軍事装備やドローンなども展示され、大規模な国民動員能力を誇示するイベントになっていた。(AP News)

戦争は「ハイテク兵器だけ」では決まらない

最近の戦争を見ていると、

ドローン
精密誘導ミサイル
人工衛星
ステルス戦闘機

といったハイテク兵器に注目が集まりやすい。

しかし最後はやはり人間が必要になる。

都市を守るのも人間。

検問所を作るのも人間。

物資を運ぶのも人間。

破壊された道路を直すのも人間。

そして地上を占領するのも人間だ。

イランがそこを重視しているとすれば、かなり古典的ではあるが合理的な考え方でもある。

「100万人軍誕生」と見るのは早い

ただし、現時点では大げさに見る必要もない。

登録者数には疑問があり、訓練の質も分からない。

本当に1000個大隊が完成するのか。

武器は十分あるのか。

指揮系統は機能するのか。

志願者が本当に戦場に出るのか。

まだ分からないことは多い。

一方で、

イラン政府が国民動員を宣伝だけではなく、実際の軍事組織へ移行させ始めている

という事実は注目していいと思う。

今後見るべきなのは「何万人集まった」という数字よりも、

実際に何個大隊が編成されたのか。

どんな武器が配備されたのか。

どの程度の訓練期間なのか。

そして正規軍・革命防衛隊・バシジとの指揮系統がどうなるのか。

そのあたりだろう。

イランは少なくとも、

「空爆されたら降参します」

という準備をしているようには見えない。

むしろ長期戦になった場合を想定して、国全体を戦争に耐えられる形へ変えようとしている。

今回の大規模な志願兵動員は、その一つの兆候なのかもしれない。

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