
春をまるごと食べた日
少し前の週末。
次女を連れて、ハーブ農園へ。
ハーブを摘んで、石窯でピザを焼いて食べる会にお誘いいただいた。
もともと、ハーブは好きだ。
昔からハーブティーはよく飲むし、料理にも使うから、家でも少し育てている。
……育てている、といっても特別なことをしているわけではなく、子どもたちに「朝の水やり忘れないでね」と声をかけるくらい。
ローズマリーは一年中、チキンや魚、お芋料理に。
バジル、ミント、イタリアンパセリ、パセリも、サラダや煮込み料理によく使う。
今回訪れたのは、春に知り合ったハーブ農園さん。
電車で数駅の場所で、大きな農園を営み、加工や卸、セミナー講師もされている。
畑の一角、大きな木の下にテーブルと椅子が並べられていて、そこがこの日のピザ会場だった。
着くと、オーナーさんは窯に火を入れる準備中。
その間に、私たちは畑を散策した。
「焼いたピザにのせるハーブ、摘んでおいてくださいね」
そう言われて、娘と畑の中へ。
まだ花が咲く前のブルーベリーの木が並んでいて、
「ブルーベリー摘み、また来たいね」
なんて話しながら歩く。
中学生になった次女。
部活には入ったものの、一年生はまだ土日の活動がない。
四人子どもがいるから、たまにこうして一人ずつと過ごす時間は大切だ。
小さい頃は、市民農園を借りたり、無農薬農家さんに教わったりもしていたっけ。
この日は、そんな“おいしいところ取り”みたいな時間。
普段よく飲むカモミールティー。
畑では、小さな花がかわいらしく咲いていた。
「お茶にするなら、花が開きすぎる前がいいんですよ」
そんな話を聞きながら、花を眺める。

鮮やかなオレンジ色のカレンデュラ。
私はお茶より、マッサージオイルのイメージが強い。
ピザ用にたくさん摘んだのは、ディルとチャイブ。
生でかじってみようと抜いたラディッシュ。
ミントの葉。
可憐なエルダーフラワーの花。
ハウスの中のミニトマトを眺めたりしながら、娘もぶつぶつ言いつつ、なんだか楽しそうにハーブを摘んでいた。
外でゆっくり過ごす、いい時間。
ピザ窯に火が入ると、ハーブの花びら入りの生地に好きな具をのせていく。
ガーリックの効いたトマトソース。
バジル、ナス、ズッキーニ、マッシュルーム、コーン、ツナ、チーズ。
できあがったピザを見て、
「あぁ、やっぱり私は野菜が好きなんだな」
と思う。
窯の中で焼いてもらっている間、隣の網ではBBQ風のハーブチキンが焼けるいい匂い。
待つ時間には、ローズヒップやエルダーフラワーのシロップを炭酸で割ったドリンク。
そこにミントを浮かべて。
赤ワインもちょっといただいて、ほろ酔い。
焼き上がったピザには、さっき摘んだディルとミントをのせてみた。
せっかくだから、カモミールやカレンデュラの花びらも少し。

ミントがピザに合うなんて、少し意外だった。
チーズとトマトソース、生地と一緒に噛むと、口の中に爽やかさが広がる。
緑の色もきれいで、暑くなる前の初夏の空気までおいしかった。
春をまるごといただいたような、そんな一日。
大人ばかりの中で一人だった娘も、みんなと話して楽しかったようだ。
子どもでもなく、大人でもない。
そんな今の彼女の、良い記憶になっていたらいい。

そろそろ、出窓のプランターにも夏のハーブを植える時期。
家族みんなで苗を買いに行く、年に一度の小さな行事。
今年は何を植えようか。
そろそろ考え始めている。