第10話 庭に舞う、3匹のありがとう
❇️今回は、いつもの物語ではなくノンフィクションでお届けします。☺️
朝のやわらかな日差しの中、庭のパセリに水をあげようとしたときでした。
ふと葉の上に目をやると、見慣れない小さな生き物が、もぞもぞと動いています。
「あら…なにこれ?」
よく見ると、それは3匹のイモムシ。🐛🐛🐛
せっかく大事に育ててきたパセリの葉を、ためらいもなく、むしゃむしゃと食べています。
その様子はあまりにも夢中でーー
「わあ、おいしいね!」
「ここ、ぼくたちのごはんだ!」
そんな声が聞こえてきそうなくらいでした。
けれど次の瞬間、ふと現実に引き戻されます。
(このままだと、全部食べられてしまう…)
種をまいて、料理に使おうと楽しみに育てていたパセリ。
一瞬、駆除しようかという考えが頭をよぎりました。
そのときーー
「……あっ、見つかっちゃった…」
「ぼくたち、どうなるの…?」
そんな小さな声が、心のどこかで聞こえた気がしました。
しばらくその場に立ち尽くし、3匹のイモムシを見つめます。
一生懸命に葉っぱを食べているその姿は、ただ " 生きている "
だけ。
私はそっとつぶやきました。
「全部食べていいよ」
そして、少し笑ってこう続けました。
「たくさん食べて、大きくなってね。
いつか、きれいな蝶になるんだよ。」
そう言って、その場を離れました。
それからしばらくしてーー
ふと庭の方に目をやると、
あのパセリを植えていた辺りを、3匹のアゲハ蝶がひらひらと舞っています。 わたしは急いで庭に出ました。
陽の光を受けて、やわらかく輝くその姿。
「もしかしたら、あの子たちかもしれない」
そう思った瞬間、胸の奥がふっとあたたかくなりました。
「こんなにきれいな蝶になりましたよ。ありがとう!」
そう言ってくれたような気がして、思わず笑顔になり、そっと手を振りました。
風の中で揺れる羽が、まるで小さく応えているように見えました。
やさしく暖かな春の日の、とても幸せな出来事でした。💕
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パセリの葉を好むのは、キアゲハの幼虫です。
パセリの他にも、ニンジンやミツバ、セリなどを好み、食欲旺盛であっという間に葉を食べてしまいます。
そのため、家庭菜園などでは、少し困った存在に思われることもあるかもしれません。
幼虫は体長5センチほどまで成長し、危険を感じると、頭の後ろからオレンジ色の「臭角(しゅうかく)」を突き出します。
この臭角から出る独特のにおいで、天敵を遠ざけて身を守っているのです。
やがて成虫になると、美しい黄色のアゲハ蝶となり、花の蜜を求めてひらひらと舞う姿をよく見かけます。
今回のお話は、そんなキアゲハとの、私自身の小さな体験です。
数年前の出来事ですが、今でも心に残っている、大切な思い出です。🌷🌷🌷



