見出し画像

56歳のラウンドミッドナイト

物置のようなオレの部屋にピアノが届いた。
ピアノといっても電気で動くやつ。電子ピアノだ。
知り合いから

「使わないからあげる」

と言われた。

いや、正直言うと、要らないかなと思った。
それなのに、なぜか貰ってしまった。

ピアノと聞くと、すぐに思い出す曲がある。

「ラウンド・ミッドナイト」

初めて聴いたのはマイルス・デイビス。
あとでセロニアス・モンクの曲だと知った。

衝撃だった。
何がどう衝撃なのかは、まったくわからない。
理屈じゃない。
ただ、とにかく衝撃だった。
なんだかわからないが、

とにかく夜中なんだろう。

そんな風景が、オレの足らない脳みそを駆け巡る。
聴くだけなら、何百回聴いたかわからない。
でも、弾こうとは思わなかった。

しかし。

オレはピアノ弾きに嫉妬するのだ。
なぜか、嫉妬する。

街中のピアノ。
知り合いのライブ。
YouTubeで流れてくる、あの人やこの人。

嫉妬するのだ。

本当に、嫉妬するのだ。

しかし。
弾こうとは、なぜか思わなかった。
ストリートピアノを弾くあの人たちを横目で眺めながら、
そんな素振りも見せずに。

いま、56歳。

幼稚園のころ、エレクトーンを触った覚えがある。
小学校ではオルガンか。
「チューリップ」や「ラバーズコンチェルト」の最初のほう。
ドがどこにあるのかがわかる程度。
ピアノを弾こうと思ったのは、これが初めてだ。

ラウンド・ミッドナイト

物置でラウンドミッドナイト

一年以内に、
どこかのストリートピアノで弾く。

夜中でなくてもいい。
駅でもいい。
ショッピングモールでもいい。
人が立ち止まらなくてもいい。
でもきっと、
弾き終わったときオレは思う。

「ああ、ここまでは来たな」と。

嫉妬する?
やりたいんだろ?
やっちゃえよ

難しい?
無謀?

は?それがどうした?
やってみたいんやろ?

やっちゃえよってww

心の中で無責任に誰かが笑う

今からでも遅くないよ

56歳のラウンド・ミッドナイト。

いってみる

#ピアノ
#ピアノ初心者
#ストリートピアノ
#50代
#50代からの挑戦
#エッセイ
#ラウンドミッドナイト
#56歳のラウンドミッドナイト


いいなと思ったら応援しよう!