もう一度、夏の終わりに・・・
本当にそんなものがあったのかどうかすら忘れてしまった"なくしもの"だったり、生まれ落ちた瞬間に行方をくらました恋人だったり、見つかるはずのない、"そんなもの"を探すために、僕は旅を繰り返すのだろう。
きっと"それ"を探しあてたとしても、僕はたちまち、そのオモチャに飽き、部屋の片隅のダンボール箱に放り込んでしまうのだろう。
君にいつか出会うことがあるとして、例えば恋に落ちても、君を理解できない苦しみ、僕を理解できない悲しみで、僕らの心は荒んでゆくだろう。
君の心を、寛容でも譲歩でもなく、ただ諾い、慈しむこと。そして、その思いが日々の中で霞んでいかないこと。そんなことすらできない自分を僕は苛み、君は君で、等しく自分を呪うだろう。
その煩悶のまま、ただ黙って互いの手を取り、向かい合い、或いは肩を寄せ合い、わかりあえないままに、わかりあおうと、しつづけること。
君が誰でもいい。もし二人に「愛し合う」「愛し続ける」なんて、途方もないことができるとしたら、それは、そんなふうに、ただ穏やかに、わかりあえない僕らの原罪を、等しくわかちあうことなのじゃないかと思う。


