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【テレスコヌプ・メむト】第話 -Twōtter、サヌビス終了-

    meme


     Twōtter、サヌビス終了



    『あの蚀葉』


    星アカリが『テレス』のベランダから最埌にオリオン座流星矀を芋たのは、2070幎、小孊校4幎生の、秋のこずだった。


    「そろそろ垰るか。」


    今幎もきれいなオリオン座流星矀が、肉県でよく芋えた。

    星アカリず錓ツヅミは、5歳のあの秋の日の倜に、父からもらった倩䜓望遠鏡テレスコヌプを順番に芗き蟌みながら、はしゃいでいた。

    『お前たちは、テレスコヌプ・メむトだ』

    そう蚀われたあの日から5幎の月日が経ち、2人は10歳になっおいた。

    これたでの5幎間、毎幎オリオン座流星矀の日には雚が降らず、『テレス』のベランダからは、きれいなオリオン座流星矀を芳枬するこずができた。


    ピコンッ


    「星アカリ、芋お芋お。めちゃくちゃキレむに撮れたから、Twōtterにあげた」

    錓ツヅミは埗意げに、撮圱した写真を星アカリに芋せた。



    「ほら、垰るぞヌ。」

    錓ツヅミに向かっお、父・速手䌞匥ハダテシンダは、声をかける。流星矀はもうずっくに過ぎ去り、もう垰る支床を始めおいた。


    「えヌただ歀凊にいたい」

    そう蚀っおなかなか垰ろうずしない錓ツヅミを、䌞匥は困ったような顔をしお抱きかかえた。

    「やめろっおろせよヌ」

    錓ツヅミは、咄嗟に抵抗する。もう、10歳なのだ。父に抱きかかえられるような幎霢ではない。星アカリの前で、ただ子䟛のような扱いをされるのも、気にくわなかった。

    「それじゃあ、聡䞀郎、たた、明日な。」そう蚀っお、䌞匥はベランダの扉を開けた。

    「あぁ、たた明日。明日っお蚀っおも、もう今日だけど。」

    聡䞀郎は、時刻がもう0時を回っおいるこずを確認し、錓ツヅミの頭をポンポンず柔らかく撫で、たたね、ず蚀った。



    芳念したように、しぶしぶず垰っおいく錓ツヅミず䌞匥を芋送り、『テレス』のベランダには、星アカリず聡䞀郎だけが残った。


    しばらく2人で、流星矀が過ぎ去った埌の倜空を眺めおいた。



    「あのな、星アカリ。」

    聡䞀郎が、静かに口を開いた。

    「星アカリの名前は、『星ホシ』ず曞いお、アカリず読む。」


    「うん。」

    星アカリは頷く。


    「星ホシが攟぀、䜕億光幎分の茝きがね

    誰かが、ふず、倜空を芋䞊げた時に芋぀けるきれいなそのアカリが、誰かにずっおの、道しるべみたいにう぀るこずがあるんだ。それは、䜕にも代えがたい、尊い煌めきであるこずを、父さんは、よく知っおいる。父さんの仕事はね、そういう倧切な茝きを、守る仕事なんだ。人がずっず、星ホシず仲良しでいられるように。そんな研究をしおいる。」

    「うん。・・僕は、『テレス』で働く父さんのこず、かっこいいず思っおる。」

    聡䞀郎は、そうか、ず蚀うず、星アカリの頭を撫でながら、続けた。

    「だからね、星アカリ。お前に、この星ホシの光、『アカリ』ず名付けたんだよ。父さんにずっお星アカリは、倧切な宝物で、それず同じように、この宇宙の星ホシも、倧切な、守るべき宝物なんだ。」

    聡䞀郎が、なんの話を始めようずしおいるのか、星アカリには分からなかったけれど、黙っお静かに聞いおいた。䜕かずおも、倧切なこずを蚀われおいる気がしおいた。

    「星アカリもし。もしも・・・ね。その、倧切な宝物が壊されようずしたずきが来たら、父さんは、その、壊そうずしおいるものず、闘いに行かなければならないんだよ。」

    「・・・星ホシが、壊されるの」

    「もし、壊されそうになる時がきたら、の話。」

    聡䞀郎は、星アカリの頭を撫でながら、優しくそう蚀った。

    「僕も、行くよ」

    星アカリはそう蚀っお立ち䞊がる。

    「お父さんが行く時には、僕も䞀緒に行くよ星ホシが壊されるなんお嫌だねぇ、どの星ホシそんなの、がくが守るよ」

    星アカリを眩しそうに眺め、聡䞀郎は぀ぶやいた。

    「そうか、星アカリが、星ホシを、守るのか。」

    そうか、そうか。ず、その埌も聡䞀郎は䜕床もそう呟き、そしお星アカリを抱きしめお、静かに、こう蚀った。


    「じゃあ、星アカリ。もしもの時は、お願いしようかな。


    父さんが、どうしおも困ったら。

    どうしおも困ったら、その時は星アカリに、『星アカリのこず、よろしく頌む』っお、ちゃんず、お願いするよ。」



    「・・・僕のこず、よろしく頌む・・」

    「そう。だけどこれは、暗号だ。誰にもばれないように、父さんは『アカリ』っお蚀うけれど、その時の『アカリ』は、星アカリ自身のこずではなくお、『壊されそうになっおいる星がある』ずいう意味だ。星アカリぞの、合蚀葉だ。」


    合蚀葉――。

    聡䞀郎にそう蚀われ、星アカリの心は、少しだけ、ワクワクした。

    「『アカリのこず、よろしく頌む』は、『星ホシのこず、よろしく頌む』っお、そういう意味だっおこずでしょ」

    「そう、正解。だけど、バレちゃダメなんだぞ」

    聡䞀郎は、いたずらっこのような目で、星アカリにそう蚀った。


    「わかったその時は、僕に任せお」

    星アカリは、䞡手を䞞く筒の圢にしお、目にもっお行くず、倩䜓望遠鏡テレスコヌプを芗き蟌む真䌌をした。

    「頌もしいなぁ。」

    聡䞀郎は、本圓に愛おしそうな目で、星アカリを芋぀めた。



    その時だった。

    「僕も行くよ」

    急に声がしお、埌ろを振り返るず、䌞匥ず先に垰ったはずの錓ツヅミが、開けたたただったベランダの入り口に、息を匟たせ立っおいた。

    「あれ錓ツヅミくん。䌞・・・あ、お父さんは」


    聡䞀郎は、驚いお、そう問いかけた。

    「お父さんが、トむレによるっおいうから、廊䞋で䞀人で埅っおいるのも぀たらなくっお、こっちで埅っおるこずにしたんだ。それでさ、静かに戻っお来お、星アカリのこず驚かそうず思ったのにさ。」

    なんだか今にも泣きそうな声で、錓ツヅミはそう蚀った。

    「ずるいよ星アカリも星アカリの父ちゃんも、2人だけの秘密の話なんお、ずるいよ」

    ずるい、ずるい、ず繰り返す錓ツヅミが、星アカリにはおかしかった。

    「錓ツヅミ、本圓は倜の廊䞋で䞀人埅っおんの、怖かっただけだろヌ」

    そう蚀っお星アカリは、錓ツヅミのほうに向かっお走った。

    「ちげヌよ」


    星アカリは、聡䞀郎から、䜕かずおも重い倧圹を、任されたようだった。䞀人では到底抱えきれないような、ずおも重倧なこずを、蚀われたような気がしおいた。

    錓ツヅミの声が聞こえた瞬間、正盎、心から、安心しおいた。
    そしお、錓ツヅミがそれを聞いおくれおいた、ずいうこずが、星アカリにはずおも心匷く、ただ、嬉しかった。



    星ホシが壊れたら・・・


    そんなこずが、本圓に、あるのだろうか。


    もしそんなこずがあるのだずしたら、どの星だろう。

    星アカリは、図鑑に出おくる星ホシ達を思い起こしながら考えた。

    僕䞀人で、なんずかできるようなこずなのだろうか。

    それずも錓ツヅミずなら、守れるのだろうか・・・。



    聡䞀郎が、冗談を蚀っおいるようには思えなかった。


    そしお、その倜が、4人で芋た、最埌のオリオン座流星矀の日ずなった。


    倉わったこずず蚀えば、その数日埌に、聡䞀郎が、前任の延沢から『テレス』の瀟長の座を蚗され、瀟長に就任したこず。そしお、延沢が、翌幎の春、日本人初・月移䜏者ずしお、月に正匏な䜏所を持ち、䜏み始めたこずだった。


    ―――――――――――――――――✈



    それは、ある日、突然、無くなった。

    今たで僕らの生掻の䞭心に匵り付いおいお、暇を持お䜙しおいたり、䜕か調べごずをしたり、ふず感情を吐露したくなった時に䜿われおいた。

    地震の最新情報を教えおくれるスピヌドは、時にニュヌス速報なんかよりも早く、フォロヌもしおいない1秒前たで知らなかった赀の他人が、頌んでもいないのに䞖界䞭のトレンドや速報を教えおくれた。芋なかったら思い出さなくおもすんだはずのあの子の日垞なんかも勝手に流れおきた。そんな、ごく普通の生掻の切り取りず、䞖界䞭の出来事が雑倚に絡み合う、そこは、そんな堎所だった。

    倧統領も、スポヌツ遞手も、モデルも、寺の坊さんも、みんなやっおいた。

    ナヌザヌ数30億人。

    だけどそれは決しお、ナヌザヌ数がむコヌルなわけではない。

    1人1台以䞊所有しおいるスマヌトフォンの䞭には、各自アプリケヌションごずにアカりントを耇数個持っおいるこずが圓たり前で、倚くの人が甚途によっお䜿い分け、皆が、幟人もの異なる【自分】を持っおいた。

    だから、本圓のナヌザヌ数は、誰も知らなかった。


    ただ、倚くの人が利甚しおいるアプリだずいう認識だけはあった。


    そんなアプリが、ある日、突然、無くなった。


    『Twōtterは、本日でサヌビスを終了臎したす』

    その、たった䞀蚀の衚瀺だけで、誰しもが、そのアプリを䜿うこずが出来なくなった。

    これたでに投皿したすべおの蚀葉が、この、ネットの海に攟流されたたた、䞀䞖を颚靡したこのアプリに、ログむンするこずが出来なくなった。

    ブヌムは呆気なく閉幕し、ただ、人々が投皿した無数の【蚀葉】だけが、むンタヌネット䞊に残されたたたずなった。



    ―――――――――――――――――✈


    Twōtter、サ終。


    星アカリず錓ツヅミが生たれた2060幎は、人類が初めお月移䜏を成し遂げた歎史的な幎で、その最初の月移䜏者は、アメリカ出身のショヌンずいう男だった。

    ショヌンは、総ナヌザヌ数30億人のアプリ「Twōtter」の創蚭者で有名だが、元々はアメリカで宇宙開発をしおいたこずから、『テレス』の元瀟長である延沢ずは、叀くからの友人でもあった。『テレス』は、星アカリず錓ツヅミの父の䌚瀟だ。

    ショヌンが月に䜏むず決めた圓時、移䜏する期間に぀いおは、「移䜏実隓」ず名を打っお、たずは1幎間ず、そう蚀っおいたはずだった。しかし、星アカリが䞭孊3幎生になった2075幎の珟圚もなお、圌は月に䜏み続けおいる。ゆうに15幎間もの時を、月で暮らしおいるずいうこずになる。

    䜏所は「月ヌA001」ずいうらしい。

    おそらく、月の䞭での、䞀等地なのだろう。䞭継される映像を芋るず、安党で、裕犏な暮らしをしおいるこずが分かった。


    「えヌ、ショヌンは、2060幎、初めお月に䜏所を持ち、本栌的に居䜏を始めた䞀人目のアメリカ人です。」

    1限目の瀟䌚科の教垫が、最も熱い話題の単元の授業を進めおいる。



    息を切らせお自転車を挕いだおかげで、2人は䜕ずか授業には間に合った。しかし、頭の䞭は、さっきの䌚話でいっぱいだった。


    最近、各地で飛行機の墜萜事故が起きおいるこず。

    宇宙開発事業を担う『テレス』の瀟長で、か぀、今回の飛行機墜萜事故の事故原因究明班のはずの父が、こんな倧倉な時に、わざわざ家に戻っおきおいたこず。

    もし、それが、星アカリに”あの蚀葉”を䌝えるためだったずしたら――。

    居おも立っおも居られなかった。



    キヌンコヌンカヌンコヌン


    い぀の間にか、授業が終わっおいた。

    「おい、錓ツヅミ・・・」

    すかさず話しかけようずしたずころで、呚りのクラスメむト達のどよめきの声量がそれに勝った。


    「ねぇ、Twōtter、開けないんだけど」

    「ほんずだ、俺も」

    「マゞでなんでたたバグヌ」


    キャハハ、ずいう声、チッずいう誰かの舌打ち、䜕床も読み蟌みをトラむする機械音。


    「星アカリ、お前も」

    錓ツヅミは怪蚝そうに埌ろを振り返った。

    星アカリもTwōtterアプリを開いおみる。

    「うん、開けない。」


    「最埌に投皿したの、䜕だったか芚えおる」

    「えヌ忘れた〜」

    「アタシ元カレず螊っおる動画ずかあげたたたなんだけど〜」

    「それなヌ」

    「それでいうずさぁ」

    「えなに」

    「死んじゃった、よね 」

    「あヌ ね。」

    「ノア」

    「ね。」

    「ショヌンの嚘」

    「そうそう。」

    「ショヌンっお誰だっけ」

    「Twōtter䜜った人でしょ。」

    「あヌ。」

    「でもさ、うちらのせいじゃないんだから。」

    「䞖界䞭、みんなアンチしおたし。」

    「おか、あれ、最埌は結局ノアも悪くない」

    「それなみんな蚀っおた」

    「だからアプリも消えたんかな。」

    「たぁ、終わったんだから倧䞈倫っしょ。」

    「おかさヌ、次、授業なんだっけヌ」


    Twōtterが、終わった


    星アカリは、焊っおいた。


    父さんが蚀った、『星アカリをよろしく頌む』ずいうあの蚀葉。

    それを蚀う日が本圓に来るこずを、ただ信じお疑わなかった頃、䞀床、父さんに聞いおみたこずがあった。



    「ねぇ、もし”あの合蚀葉”を蚀ったらさ、僕はたず、䜕をすればいいの」

    「ん、なんの話だ」

    『テレス』の瀟長ずなり、日々倚忙を極めおいた聡䞀郎は、星アカリの話にあたり取り合っおくれなくなったず、なんずなくそう感じおいた。

    「あの蚀葉だよ『星アカリを、よろし・・・」

    だからたたに、星アカリは敢えお父の気をひこうず、あの話をした。


    「星アカリ」

    そこたでいうずい぀も、ようやく手を止めおくれたから。


    それだけで、良かった。


    だけど、その日は、急に真剣な県差しで星アカリのほうぞ振り返り、急に、こんな話をし始めた。


    「父さんが、本圓に”その合蚀葉”を蚀う時がきたらな、その時は、父さんのTwōtterを芋るんだ。」



    ・・・Twōtter


    「そこに、曞いおおく。党郚、曞いおおくから。」


    それだけ蚀っお、聡䞀郎はたた仕事を始めた。


    意倖な答えだった。

    そんな、䞖界䞭の人に芋えるような堎所に、䜕を曞くずいうのだろうか。

    分からなかった。

    だけど、もしもい぀か、聡䞀郎から『あの蚀葉』を蚀われおも、䜕も手だおがないずいうよりは、マシだず思った。

    それだけが、もしもの時のための、唯䞀の手掛かりだず思っおいた。


    それなのに、


    Twōtterが、終わった・・・


    これじゃあ、答えが、探せない―――。




    サクラダリッカ



    星アカリは、理科宀ぞず走っおいた。

    「星アカリ、どういうこずだよ」

    埌ろを远いかける錓ツヅミは蚀った。

    「父さんは、Twōtterに党郚曞いおおくっお蚀ったんだ。なのに、こんなにも各地で飛行機が墜萜しお、父さんが『あの蚀葉』を残しお、぀いにTwōtterたで閉鎖・・・䜕かある。絶察に、党おは繋がっおいるだろ」


    「だからっお、なんで理科宀なんだよ」


    「錓ツヅミ。」

    星アカリは、階段の螊り堎で立ち止たる。

    星アカリが急に止たるので、錓ツヅミは星アカリにぶ぀かりそうになりながら足を止める。


    「サクラダリッカだよ。」


    「どういうこずだ・・・」


    「・・・入孊匏の日のこず、芚えおいるか」


    「あ・・・」



    錓ツヅミも、思い出しおいた。

    ―――入孊匏。

    『あの蚀葉』を、聡䞀郎が口にしたのは、実はこれが初めおではなかった。入孊匏の日にも䞀床、『あの蚀葉』を蚀った日があったのだ。それなのに、䜕も起こらなかった。

    あの日のこずだ。


    ◇◇◇


    圓時、星アカリの父が務める『テレス』の宇宙開発事業郚は、ロケット゚ンゞンを旅客機に応甚する技術を研究する郚眲だった。

    地球から宇宙ステヌションたでわずか10分でたどり着くロケット゚ンゞンを䜿っお、Beeningのようなゞャンボゞェットにお客さんをたくさん乗せお、乗客党員を安党に宇宙の旅ぞずいざなう―。それが父の倢だず、星アカリはずっずそう聞かされお育っおきた。

    しかし、内閣府「宇宙省」ずテレスの宇宙開発事業が締結しおから、少しず぀開発意図が倉わっおいった。宇宙政策担圓倧臣から、『テレス』に声がかかったのは、ロケット゚ンゞンを䜿った旅客機を、たずは「地球䞊で流通させる」ずいうのが、囜が䞖界に先駆けお行いたい事業の䞀環だったからだ。

    Googlemap䞊を行き来するかのように、気軜に䞖界の䞻芁郜垂間を2030分で結ぶこずができたなら、䞖界各囜はたさにすべおが「隣囜」ずなる。

    日本は、それを䞖界に先駆けお実珟したかった。

    「いいか、星アカリ。父さんの研究でい぀か、アメリカやペヌロッパたで30分で行けるようになるんだぞ。」

    い぀の間にか聡䞀郎は、「地球から旅客機に乗っお宇宙たで行ける゚ンゞンを぀くる」こずよりも、「より早く別の囜ぞ行ける飛行機を぀くる」話ばかりするようになっおいた。

    そしお、星アカリが小孊校高孊幎にもなるず、「圹員䌚議」だずか「倧臣ずの䌚食」だずかの理由でい぀の間にか、オリオン座流星矀の日に『テレス』に連れお行っおもらうあの玄束も、なくなっおいった。

    い぀も忙しそうにしおいる聡䞀郎を暪目に、星アカリ自身も、オリオン座流星矀の日に、『テレス』に行っおいいのかずいう確認を、もう、口にもしなくなっおいた。


    星アカリ、錓ツヅミ、聡䞀郎、䌞匥が、久しぶりに4人で顔を合わせたのは、䞭孊校入孊匏の日のこずだった。

    小孊校の卒業匏には、聡䞀郎も䌞匥も、仕事で行くこずが出来なかった。


    「錓ツヅミくん、倧きくなったね。」

    聡䞀郎は、久しぶりの錓ツヅミの姿に埮笑んだ。


    「どうも。」

    錓ツヅミも、慣れない孊生服姿に、どこかぎこちない。

    「星アカリも錓ツヅミも、もう䞭孊生なんだなぁ。」

    䌞匥は嬉しそうに、動画を回す。

    「おじさん、昔から奜きだよね。動画撮るの。」

    「そうだろおじさんは、なんでも蚘録に残すタむプなんでね。」

    2073幎の䞖界では誰も䜿っおいないような、小さな四角い黒の箱のようなものが぀いた棒を、䌞匥はよく持っおいた。昔流行った、ゎヌプロ、ずいうものらしい。



    「お久しぶりです」

    入孊匏が終わっお、校舎を出ようずした星アカリ達を芋぀け、廊䞋の向こうの方から駆け寄っおくる教垫がいた。

    「リッカちゃん」

    䌞匥は教垫に向かっお、倧きく手を振る。

    「䌞匥さん、”リッカちゃん”は、やめおください。生埒の前です。」

    「あぁ、そうだね。これから3幎間、どうぞよろしくお願いしたす。」

    聡䞀郎ず䌞匥は、桜田立花サクラダリッカに向かっお深々ずお蟞儀をした。


    桜田のこずは、星アカリも錓ツヅミも、よく知っおいた。

    桜田は、聡䞀郎たちの䌚瀟『テレス』がただ駆け出しの小さなベンチャヌ䌁業だった時代に、同じ瀟宅に䜏んでいた延沢の愛嚘だ。い぀の間にか、名字が倉わっおいた。

    「延沢のおじさん、元気」

    錓ツヅミは桜田に向かっおそう質問する。

    「元気、元気。父は、もう月に行っおから3幎かな・・・」

    なんずなく桜田が、聡䞀郎の暪顔を䌺ったような気がしたが、そのたた話を続けた。

    「そうだ、理科の授業ではね、お父さんに衛生で繋いでもらっお、月に぀いおの講矩をしおもらう予定でいるの。実際に、リアルタむムで映像が芋られるのよ。月に来おみたい䞭孊生は、倧歓迎っお、匵り切っおた。楜しみにしおいお。」

    星アカリず錓ツヅミは、それぞれに頷く。


    「・・・田邊さん。」

    桜田は、改めお聡䞀郎に向き盎っお、䞀瀌、深々ず頭をさげた。


    「この3幎間、父が急に瀟長を田邊さんに任呜しおからずっず、『テレス』を守っおくださっお、あの・・・本圓にありがずうございたす。父が、、、その」


    それ以䞊は蚀わせたいず、聡䞀郎は桜田の蚀葉を遮るようにしお蚀った。


    「リッカちゃん。・・・あ、桜田先生。星アカリたちを、よろしく頌みたす。」


    「・・・はい。」



    ・・・” 星アカリを頌む” 

    この時、聡䞀郎は、確かに『あの蚀葉』を口にした。


    星アカリず錓ツヅミは、顔を芋合わせる。

    ただの、話の流れか




    聡䞀郎からあの話をされおからずいうものの、信じられないような話だず思っおいたけれど、それでも、星アカリず錓ツヅミは、どこかで信じおもいた。

    本圓に、あるのかもしれない。

    どこかで星ホシが、䜕者かによっお壊されそうになる事態が。

    そこぞ向かっお、ヒヌロヌみたいに、父は助けにいくのだ。

    だっお、父は、ロケット゚ンゞンを造るような、すごい人なんだから。

    そんな颚に、想像もした。


    しかし、星アカリがテレスのベランダで聡䞀郎から『あの蚀葉』を蚀われおから、䜕も起こらないたた、3幎の月日が経った。その間、聡䞀郎がそれを口にするこずは䞀床もなかった。

    「なヌんだ、なんにも起きないじゃん。」

    星アカリも錓ツヅミも、『あの蚀葉』のこずを、どこか、絵空事のようにずらえ始めおいた。父から『合蚀葉』だなんお蚀われお、少し喜んだ自分も、なんだかバカみたいにすら、思えおいた。


    それが、ここに来お、3幎ぶりに4人が顔を合わせた日に、聡䞀郎の口から『あの蚀葉』が聞かれたのだ。


    ・・・

    父さんは、䜕かを䌝えようずしおいるのかだろうか。

    本圓に、合蚀葉なんだろうか。


    分からなかったけれど、星アカリず錓ツヅミは、『テレス』瀟の公匏Twōtterや聡䞀郎の個人アカりントを、泚意深く芋た。

    しかし、本圓に、䜕も起きなかったのだ。

    それからの日々も普通に続き、聡䞀郎も䌞匥も、䜕事もなかったように職務に励んでいた。


    「やっぱり、本圓は、星ホシが壊されるなんおそんなこず、なかったんだよ。」

    錓ツヅミずその話になるたびに、星アカリは悲しいような、悔しいような、そんな気持ちになった。


    あの日、テレスであの蚀葉を蚀った時の父の衚情には、嘘など䜕も含たれおいない確かさがあった。


    なんなんだ

    嘘なのか


    じゃあ、なんで父さんは、あんな話をしたんだよ・・・


    äž­å­Š3幎間、星アカリはずっず、そればかりがひっかかり、胞の内から消えなかった。


    ◇◇◇



    理科宀に向かう廊䞋で、星アカリは声を朜めおこう蚀った。

    「あの日、あの入孊匏の時、確かに父さんはあの蚀葉を口にした。䜕も起こらなかったから、䌚話の流れでそう蚀っただけだろうっお、そうやっお䜕床も䜕も無かったんだっお思っおきたけど・・・

    でも、桜田先生が蚀いかけおいた䜕かだけが、ずっず、どこか匕っかかっおいたんだ。」

    「うん・・・だよな。それに今、情報を知っおいそうな人も他にいない。他をあたれないなら、桜田先生のずころぞ行くしかないか。」


    2人は、頷き、走り出した。



    ―――――――――――――――――✈



    【 䌁画曞 】


    なぜこの䜜品を創りたいのか、ずいう自分の䞭の道暙を芋倱わないように、IntroductionずProduction noteを曞きたした。



    ◇◇◇



    【 第3話 】


    【 マガゞン 】


     
     
     

    meme

     
     
    | 1994 東京 |

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