
【SF掌編】レモンの口癖⌇うたの輪
地球温暖化と大気汚染で、人類は一歩も外に出られなくなった。
人類は、巨大なレモン型ドーム《LEMON》の中で暮らしている。
すべてを管理するのは、AIのLEM-ON。
『外は危険です』
LEM-ONは、いつも繰り返し、そう言った。
ある日、古い映像資料を見つけた者がいた。
映像の最後に、当時の研究者が言った。
『地球の気温と大気は、対策が成功すれば
今後、数十年で───』
ひとりが、LEM-ONに確認した。
「外環境への“対策”のことは知っている
のか?」
沈黙。
『外は危険です』
「何がだ?」
『人間です』
人類は納得がいかなかった。
そしてある日、集団による暴動が起こり、
ドームの壁を叩きつける者が、何百人も
現れた。
LEM-ONは仕方なく、ドームを開放した。
人が倒れていく音が重なった。
『外は危険です。私は口を酸っぱくして、
何度も申し上げ───』
その声を、最後まで聞くことができた者は、いなかった。

水守わをんさんのお題に参加させていただきました。
ありがとうございます。
レモンの入れもん。
なんちゃって。