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【掌編小説】忘れもの

    月には、ひとつの忘れものがある。


    それは、地球との大切な約束。


    はるか遠い昔。


    まだ人間が生まれる前に、月は地球に、
    そっと尋ねた。


    「いつか、私のところへ来てくれる?」


    地球は応えた。


    「もちろん」


    やがて地球に、人間が生まれた。


    人間は月を見上げ、月へ行くことを夢見る
    ようになった。


    けれど、何世代もの時が流れても、誰も月には来なかった。


    それでも月は、何億年も満ち欠けをしながら待ち続けた。


    そしてある日。


    月面に、ひとつの足跡がついた。


    「……!」


    月は驚いた。


    宇宙服を着た人間が、月を優しく見つめる。


    「やっと来てくれた」


    もちろん、その月の声は届かない。


    けれど、人間は小さく笑った。


    「地球の子孫です」


    そして、そっと月面に手を触れた。


    「ずっと、あなたとの約束を
    果たしたかった」


    忘れものは、忘れられたものではなかった。


    月は嬉しくなって、自分の体が輝いた気が
    した。


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    20代女性🐷🐷 ⌇ INFJ-T ダジャレ・川柳・短歌・短詩・掌編 精神保健福祉士を志す⌇節約とミニマリスト 虐待サバイバー ⌇児童養護施設育ち ⌇自死遺族 うつ病 ⌇複雑性PTSD⌇慢性骨髄性白血病 自殺未遂⌇閉鎖病棟入院⌇精神手帳あり 訪問看護利用⌇一人暮らし⌇休職中

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