
【ショートショート】一世一代の告白(金星)
金星は、月に恋をしていた。
悩みに悩んで、一世一代の告白のセリフを
考えた。
それが。
「月さん、僕と“つき”合ってください!!」
「嫌」
金星は、固まった。
「あなた、自分で光ってると思ってる
でしょう?」
「え?」
「違うよね。あなたも太陽の光を反射してるだけでしょ。それなのに、ずいぶんと自信満々だこと」
「……」
「それに、あなたのそばにいると、硫酸で
溶けちゃうし」
月は、どこまでも涼やかだった。
金星は言葉を失った。
月は、夜空の向こうを見つめる。
「あと私、好きな星がいるの」
「誰?!」
「太陽」
「……」
「私は、この身を照らしてくれる太陽で、
すでに満ちてるの」
「じゃあ、僕はどうすればいいん
だよぉ……」
「金星なんだから、夕方か明け方にでも
輝いてれば?」
その様子を見ていた地球が、ぽつりと
言った。
「“ツキ”がなかったね、月だけに」
夜空に、金星の涙がこぼれた。
ひと月の
恋は燃え“つき”
幾星霜
僕も太陽に
なり“たいよう”
金星、心の短歌、である。
