
「美味しい」がわからなかった私がレシピ本に救われた話
こんな言い方があるかどうかわかりませんが、私は味覚が弱いです。
幼い頃の家庭環境のせいか、食事を味わって食べるという習慣が育たなかったからじゃないかと思ってます。
そのことに気がついたのは、小学生の頃でした。
給食を食べているときに友達から「こんな美味しくないもの、よく食べられるね」と急に声をかけられて、周りを見るとほとんどの人が給食に手を付けていませんでした。
それを見てやっと、そういえばこのスープ、味が薄いかもしれない……と思ったんです。
あと、私が美味しいと感じるものを、他の人は美味しくないと感じていたケースもありました。
私はよそのお宅で生活する機会が何度かあったのですが、お米の炊き方、調理の方法、味付け、おにぎりなどの具材の選択、どこを見てもその家その家でいろんな違いがありました。
あるとき、そこの家のお母さんが作ってくれた、ある具材を入れたおにぎりが美味しかったので、素直に「これ美味しい」と伝えたんです。
そうしたらそのお母さんは喜んで、その具材を入れたおにぎりをいつもより多く作ってくれました。
でも一緒にお昼を食べていた他の人は、「あんたが余計なことを言ったせいで、美味しくない具材のおにぎりが増えたんだから、責任とって全部食べろ!」と怒ってしまったんです。
罪悪感でいっぱいになってしまった出来事でしたが、私はそのお母さんが作ってくれたおにぎりを本当に美味しいと思っていました。
ただ、似たようなことが何度もあったので、それから私は自分の味覚の弱さを自覚して、もう味について言及するのはやめようと心に決めました。
そしてそういったことだけではなく、ただなんとなく食べていると、自分が何を口に入れていたのかよくわかっていない……なんてこともありました。
例えば、ラーメンを食べたとき、魚介の出汁がよく効いたスープだったので、トッピングの叉焼のことをまぐろを焼いたものだと勘違いしたまま完食したり。
缶に入ったカフェオレを飲んでいると思っていたら、ミルクティーだったり。
そんな感じなので、独り暮らしを始めていざ自分で料理を作ることになったら、どの調味料をどれくらい入れるとどんな味になるのかがわからず苦労しました。
調味料って足し算オンリーで、いざ味見をしてさっきの方がよかったと思っても、入れてしまったものを簡単に無かったことにはできないのが難しさを倍増していると思います……。
そんな私を救ってくれたのが『レシピ本』でした!
とにかくきっちりレシピの通りに作る。
これを徹底すれば、ちゃんと美味しい料理を作ることができる。
レシピ本のおかげで、それまで苦手で蔑ろにしていた料理や食事を、少しずつ楽しめるようになりました。
今、私の本棚にはたくさんのレシピ本が並んでいますし、30年前のレシピ本もまだまだ現役で活躍してもらってます。
さらに最近では、レシピ本だけではなくネットでもレシピを見ることができ、また動画も参考にできるようになりました。
ネットのレシピは凝ったもの、裏技的なもの、手抜きのものなどを、簡単に楽しく探すことができるのがありがたいです。
そしてなにより、私が美味しいと感じるレシピに、たくさんの人が美味しいとコメントしているのを見ると安心できるんです。
悩んだ時期もありましたが、今が一番料理を楽しめていると思います。
ただ、それでもレシピの最後によくある『塩・コショウで味を整える』部分は、今でもめっちゃ緊張する工程です!