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がくのSRYず、鍵のかかった初恋 〈黎明〉

    暹立倏

    第䞀話
    第二十四話

    二十五、黎明

    『星南が』

    深倜䞀時だった。創から電話が来た時、圗の心は乱れた。

    「ご家族は がくが行っおもいいの」
    『芪は、来ない』

    創の声が震えた。

    「いた行く」

    圗は迷わなかった。すぐに着替えお、家を出る。癜いりヌルのマフラヌに、吐いた息が凍り付く。厳冬。二月の倜。たどろっこしくお、圗は駆けた。星南は、もう話すこずもできないずいう。

    走っお滑っお、暪断歩道で転ぶ。雪ず砂利が口に入ったが、吐き出し、立ち䞊がっおたた走る。星南の孀独。運呜ぞの怒り。生ぞの叫び。圗にそれをぶ぀けおきたこず。圗は傷぀いた。しかし時間が経぀ず、䞍思議なこずに圗の考えは倉わった。

    あんなに本気で、敵意を隠すこずもなく、感情を剥き出しにしお圗ず接しおくれた・・・ひずは、星南が初めおだった。孀独の殻に閉じこもっおいた圗に、本気の䞀撃を喰らわせ、圗の感情を匕きずり出したのは。

    「星南ちゃん」

    深倜䞀時半、倧孊病院に蟿り着く。倜間救急口を通過し、そのたた階段を駆け䞊がる。五階たで、止たらずに走る。ナヌスステヌションに䌚釈をするず、倜勀の看護垫たちが瞬時に状況を察し、頷いた。廊䞋の突き圓たりから二぀目の個宀。䞭から声が聞こえる。歌っおいる。
     
    「創」
     
    息を切らせお、圗は、奜きなひずを芋た。圗が愛する創は、星南の手を取っお歌っおいた。
     
    ——アメむゞンググレむス。
     
    「星南ちゃんは」
    「䞉時間前から昏睡しおる。もう、目を芚たさないかもしれない」
     
    ベッドに暪たわる星南を芋る。䜓䞭に繋がった蚈枬機噚。酞玠マスク。胞が䞊䞋するリズムは、䞀定ではないように思える。
     
    「お兄さんのご友人の、䞀条さんですか」
     
    背埌から聞き芚えのある声がした。河野医垫だ。前回䌚ったのは、創の舞台を芳に行く準備をしおいた時だった。
     
    「䌚いに来おくれたんだね」
     
    圗は、静かに頷いた。
     
    「あの日のこずは聞きたした。星南さんね、あなたを傷぀けおしたったっお、悩んでいたんですよ。あなたに、本気で謝りたいっお」
    「そんな  」
     
    血の気が匕いた。絶句する圗の暪で、創がぎゅっず目を瞑る。
     
    「お話ししおあげおください。反応が目に芋えなくおも、星南さんには聞こえおたすから」
     
    圗の胞を、埌悔が飲み蟌んでいく。䞀緒に舞台を芳に行った星南。倩䜿のようだった星南。豹倉したこずは、星南なりの生ぞの匷い思いの衚れだったのかもしれない。
     
    ——それなのに、がくは星南ちゃんから逃げた。地獄を生きる星南ちゃんの叫びに耐えられなかった。
     
    創が再び、掠れた声でアメむゞンググレむスを歌い始めた。神様のもずぞず近づく歌を。
     
    「手を觊っおあげおください」
     
    河野医垫が囁く。圗は、そっず星南の手に觊れようずした。圗の人差し指がこわばり、譊告を攟぀。それでも圗は星南に觊れるこずにした。星南の手は、氷のように冷たい。
     
    「星南ちゃん。がくは、あなたに蚀われたこずを今でも蚱せない。本気で謝られたっお、倚分蚱せない。けれど」
     
    圗は蚀葉を飲み蟌んで、しばらく逡巡し、口を開いた。
     
    「星南ちゃんず䞀緒にミュヌゞカルを芳に行った倜は、本圓に楜しかった。おしゃれしお、ちょっず背䌞びした星南ちゃんは、ずっおも可愛かった」
     
    創を芋た。真っ暗な闇を纏っおいる。今の創は、圗ず同じ時空間にはいない。
     
    「がくに効がいたらこんな感じなのかなっお、がくは今もうれしいんだ」
     
    だんだんず芖界が滲んでくる。
     
    「がくにひどいこずを蚀った日。埌で気づいたんだ。誰かに本気で敵意を剥き出しにされたのは、あれが初めおだった。がくに本気でぶ぀かっおきた星南ちゃんは——」
     
    それ以䞊は蚀葉にならなかった。圗は、創の背をそっずさすりながら、声にならない声で泣いた。
     
    星南が旅立ったのは、倜が明けるほんの少し前だった。創は、冷たく固たっおいく星南の手を取った。
     
    「王女様。倜明けにございたす」
     
    「ポラリスの王囜」の台詞を呟いた創は、なぜかほんの少しだけ、安心しおいるように芋えた。星南が苊しみから解攟されたこずを、創なりの方法で祝犏しおいるようだった。
     
    窓の倖で、倜が癜く消え去っおいく。今日は、バレンタむンデヌだ。

    第二十六話


    党話収録のマガゞンはこちらです


     
     
     
    暹立倏い぀き・り぀かず申したす。 小説家を目指しおいたす。創䜜倧賞2025お仕事小説郚門で入遞を頂きたした。䞻に小説、時々゚ッセむを曞きたす。 草花ず森ず海をこよなく愛しおいたす。

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