「足捻った オワタ。」
息子からのLINE。
私もオワタ。
1度携帯を裏返し、休憩室のロッカーにしまう。
そっと目を閉じる。
(どうか、どうか、
いつもお得意の誇張した表現であれ‼︎
小学生男児‼︎)
一瞬のうちに嫌な記憶が蘇って、自分で自分を瞬時に疲弊させた。ここまでくると特殊能力なのかもしれない。
優しく見守っていないと、すぐに不貞腐れる私の、脳みそ男。
(はい、はい。)
脳内のみそ男に自分で返事をする。
息子のLINE。
そのままパパに転送。
パパもきっと同じ反応。
仕事中にすまん‼︎すまんだけど、1人このまま家には帰れない‼︎
〝ふっ〟
〝さて、帰るか〟
冷静を装っているが、何を隠そう、ウチの息子
足を3度骨折している。。。
〝ふぅ〟
〝頼む‼︎〟
〝誰に頼めばいいのか分からないけど頼む‼︎〟〝良い子にするから〟→いや、いくつだよ!
〝割と良い子にしてたよぅ〟→だからいくつだよ!
〝ふぅ〟
頭の中が騒がしい。
〝さて、帰るか〟→はよ、帰ってやれ!
家に帰るまでの間、自転車を漕ぎながら忙しなく、、
〝心配〟
〝焦り〟
〝不安〟
〝怒り〟
〝イライラ〟
〝慈悲?〟→ほんとか?
全部ごちゃ混ぜ。
ペダルと一緒に、
仲良く
サイクリング♡
とにかく、仕事終わりの疲れた所に、もぅ一丁。
私はとても疲れている。
〝オワタ〟がカタカナなのも、
文字につまずくくらい、私の足はフラフラである。魂が足の先まで届いていない。
私はそう、疲れている。大事なので2回言っておく。
とにかく、うれしい気持ちでは無い事は確か。
もちろん、大事な息子。
1番は心配。かわいそう、怖かっただろうな、痛い思いはしていないか、早く帰って抱きしめてあげたい‼︎ちゃんとあります!母親だから。
でも、ちゃんとあちらサイドのこの気持ちも同時に発令する。人間だから。
その絶妙にバランスを保っている感情を崩さないよーに自転車を漕ぐ。
帰りたくない、
帰りたい、
帰りたくない、
帰りたい、
こぼれ落ちないよーに。
どちらか一方を落としていかないよーに、慎重にペダルを漕ぐ。
同じ熱量のこの気持ち。
ぐらぐら揺れるこの気持ち。
言わば〝無〟。
これがあんなに欲しかった〝無〟の状態なのかもしれない。→ほんとか?
何とか辿り着いた駐輪場。
自転車を停める。
全ての動作がスローモーション。
周りの景色もスローモーション。
決して大げさではない。→息子私に似たのか?
いや、違う。
それはまるで、落ち着いた淑女のよう。
あんなになりたかったた淑女。
今ここに誕生。いや、元からそこにいたのか?
〝ほー、淑女ってこんな感じかぁ〜。〟
〝ぜひとも相談に乗ってもらいたいこの状況〟
(んな訳あるかいっ‼︎)
脳みそ男よ。
やっと、リアル世界に戻してくれてありがとう。
そのまま淑女、エレベーターに乗り、そして玄関を開ける。
淑女はそう、スマートに。
ニヤニヤしている。
(決して淑女ではない‼︎
淑女はニヤニヤはしない‼︎)
立っている‼︎
息子がニヤニヤして立っているっ‼︎
クララさんバリに立っている‼︎クララちゃんか?
感動をありがとぉ‼︎
ホッとするのも束の間。
〝歩き出さんぞっ?〟
〝息子よ頼む‼︎歩いてくれぇ〜‼︎〟
おや、失礼。
淑女とした事が。
冷静さを先程自転車と一緒に駐輪場に置いてきてしまったのか?
靴を脱ぎ、息子が籠城されている柵に手をかける。
→ただの猫、脱走防止の柵だ。
こんな時まで、脳みそ男。
いつも隣にいてくれてありがとう。
いい男だぜっ‼︎
ほぅ、脳みそ男は男だったのか?
→絶対に今考える事ではない。
〝おぉー息子よぅ、
待たせたなぁ。もぅ、そんな嘘をつかなくても、この城に淑女が帰ってきたぞぅ。安心したまえ。〟
、、、。
息子を抱きしめる。
汗がびちゃびちゃである。
(息子よ、よくこのままベッドでゴロゴロできていたなぁ‼︎)
(おっーーーと、すまない息子‼︎
またしても、淑女ときたら、
関係ない事をつらつらと。)
「足、どっ?」
淑女が声をかける(もぅ、やめたげて。)
やっと脳みそ男との会話から現実世界へ。
ようこそ。
ニヤニヤ。
(仏のよーなマシュマロが微笑んでいる。)
(うん?
マシュマロみたいな仏顔で息子が微笑んでいる。)→合ってる?
(〝かわいいかよっ‼︎〟)
息子。
只今、小学6年生。
とりあえず、今回は骨折は免れ、病院へは行ったものの、捻挫と診断され、次の日には足を引きずりながらも学校へ行った。
今回の〝足捻った、オワタ〟
案件で分かった事は、
私の脳みそ男はいつだって私以上に私を気にかけ、息子を気にかけ、1番近くで我々家族を見守っていてくれる、という事。
とてつもなく心強い‼︎
不貞腐れるのも早いけど、、(おっと、失礼‼︎)
そして、主人公の息子はというと、
3度も骨折をしている事で、この程度の痛みであれば骨折ではないと冷静に判断し、次の日には足を引きずってでも学校へ行った事。
実に素晴らしい成長である。
でも、決して油断はできない。
学校では歩いているだけで、
骨折することがあるからだっ‼︎
これは我が家の家訓として
肝に銘じとかねばならない‼︎
〝学校では歩いているだけで、
骨折することがある〟
大事な事なので2回言っておこう。
息子よ。
またの成長を、この淑女、
楽しみにしてるぞよ。
