
少し怖い絵本の-ネーム
『その手をとっていれば』
「手をとること」と「ページをめくること」をめぐる、
少し怖い「絵本ネーム」です。
※本作は、作者による構成・文章・演出をもとに、ページ構成や物語の流れを確認するため、AI画像生成を補助的に使用して制作した作品です。記事後半には制作メモ、おまけも含みます。
※本作には、少し怖い表現があります。
※死を連想させる描写、血を思わせる暗い汚れの表現があります。




















見ていただき、ありがとうございました。
ここから先は、プロット・構成メモです。
本編の仕掛けや結末に触れています。
未読の方は、先に本編をご覧ください。
『その手をとっていれば』
場面案・文章案
表紙
場面イメージ
古い木の窓をモチーフにした絵本の表紙。
ガラス窓ではなく、閉じると中が見えなくなる木の両開き窓。
窓の中には、春の野原のような明るい場面。
男と女性が手をつないで歩いている。
ふたりは楽しそうというより、静かに微笑んでいる。
女性の帽子をそこはかとなく印象づけるため、基本は片手で帽子を押さえているポーズ。
文字
その手をとっていれば
1 ふたりで歩く
場面イメージ
春の野原。
右ページに、ふたりが手をつないで歩いている姿。
右から左へ向かっている。
遠くの丘の向こうに、古い教会がある。
男、女性という呼称を使う。
文章案
春のやわらかな風。
誘われるように、
ふたりは遠くまで歩いてきました。
「向こうに教会が見えるよ。
行ってみよう」
男の提案に、
女性は嬉しそうに頷きました。
2 ふたりなら登れる
場面イメージ
ふたりの前に、崖がある。
右側に、崖を見上げるふたり。
ふたりで協力すれば越えられることを見せる。
左側には小さなコマで、
女性を押し上げる場面、
女性が男を引き上げる場面を表現。
文章案
どうやら、
教会はこの崖の向こうのよう。
ひとりでは、
上まで届きません。
男は、
女性を押し上げ、
女性は、
男へ手を伸ばしました。
ふたりで、
登ることができました。
3 霧
場面イメージ
歩いている途中で、画面左側から霧がでてくる。
男は教会を指し、女性は少し不安げな様子。
文章案
いつしか、
霧が出てきました。
白い霧は、
教会の方向から、
ゆっくりと、
流れてきます。
女性は、
少し足を止めました。
「でも、もうすぐだよ」
男は、
教会の方を指しました。
4 霧の中の人影
場面イメージ
霧の中に、ぼんやりと人影が見える。
二人にはまだ見えず、足音が聞こえる。
女性は帰りたい。
文章案
霧は少しずつ、
濃くなってきています。
(ざりっ)
(ざりっ)
ふたりの周りで、
足を引きずり歩くような音がします。
「帰りましょう」
女性は言いました。
5 もどる道
場面イメージ
ふたりが戻ろうとするが、戻る道にはすでに人影がある。
それは普通の人ではなく、人だったもの。
画面内で、男は折れ線より左、女性は右に配置。
女性は動けなくなり始めている。帽子が落ちる。
文章案
ふたりは、
もどろうとしました。
でも、
その先には
人がいました。
いいえ。
それは、
かつて人だったもの。
「逃げよう」
男が言いました。
でも、
女性は動けません。
帽子が、
ぽとりと落ちました。
6 手は伸びた
場面イメージ
女性は膝から崩れ落ち、崩れた正座のような姿勢で立てない。
男は立ち止まり、手を伸ばす。
しかし、届かない。
男の足は、恐怖で戻る方向に動かない。
文章案
女性の足から、
力が抜け落ちました。
男は、
立ち止まりました。
「立って!」
女性に、
手を伸ばします。
でも、
男の足は、
戻ることを拒否しています。
7 引っ込む手
場面イメージ
女性も男へ手を伸ばす。
霧の中から死者が近づいている。
男の手は、ほんの少し引っ込む。
最後に小さなコマで、それを見て悟ったような女性の表情。
文章案
女性は、
手を伸ばします。
男も、
その手をとろうと、
伸ばします。
目には、
女性とその向こう。
助けを求める手と、
霧の中から、
伸びる手。
意思に反して、
男の手が、
少し引っ込みます。
女性は、
その手を見てしまいました。
8 逃げなきゃ
場面イメージ
男が女性を残して逃げる。
右側には女性の帽子が残る。
中央には男の内心の言い訳をつらつらと。
恐怖と悲劇から逃げる男。
左側へ向かって男が走っていく。
文章案
男は、
向きを変え、
走り出しました。
ひとりで。
霧から。
死者から。
あの手から。
間に合わなかった。
どうにもできなかった。
立てと、
言った。
逃げろと、
言った。
だから。
「仕方がないんだ」
男は、
逃げました。
自分から。
あの場所から。
あの手から。
9 忍び寄る霧
場面イメージ
男は教会の中の小さな部屋へ逃げ込む。
礼拝堂ではなく、教会内の小部屋。
少し通常の教会とは違う妖しげな雰囲気。
扉は壊れ、霧が侵入してくる。
部屋の屋根には穴がある。
シーン9〜11で、霧が徐々に濃くなっていく。
文章案
男は、
教会に着きました。
でも、
扉は崩れています。
男は、
探します。
ふさげるもの。
隠れるところ。
身を守れるもの。
その間にも、
霧は、
教会の中へ。
しずかに。
しずかに。
冷たく。
10 届かない手
場面イメージ
シーン9の教会の部屋。霧は少し濃くなってきている。
死者は群がりつつある。
逃げ道を探し、屋根の穴から上に上ろうとする男性。
だけど、わずかに届かない。
文章案
屋根の上なら?
男は、
手を伸ばします。
高く。
より高く。
屋根までは、
あと少し。
あと少しなのに。
でも、
男は、
ひとりでした。
男も、
静かに、
霧に包まれていきました。
11 おわり
場面イメージ
同じ小部屋。
霧はかなり濃くなり、男の姿は見えない。
男がいた付近に死者たちが集まっているが、細部は見えない。
床にはカバンなど、男の痕跡だけがある。
文章案
そして
(最後に絵本として)おわり。
12 境界
場面イメージ
一面の白い霧。
絵本の世界と現実の世界の境目のイメージ。
ほぼ真っ白だが、完全な白紙ではなく、霧のむらがある。
中央にはごく薄い折れ線。
文章案
(パタン)
13 読み終わり
場面イメージ
読者の現実側。
ソファに座る読者の視点。
閉じた絵本を膝の上に、表紙を見ている。
画面全体には折れ線を入れない。
読者が物語を読み終え、考え始めるシーン。
最後に、自分の行為を含めた責任の所在に気づく。
それが、絵本と現実を繋げる呪いの言葉。
文章案
……救いのない話だったな。
こんなに仲が良さそうだったのに。
その手をとっていれば……か。
それより、
霧が出たところで、
戻ってさえいれば。
あんな怪しい教会に、
向かわなければ。
いや、
そもそも、
私が、
この本を開かなければ?
14 読み返し・はじまり
場面イメージ
絵本をもう一度開く。
場面はシーン1。
ただし、女性の視線が、ほんの少し読者の方を向いている。
女性が読者に気づいているような、気のせいのような。
絵本内の折れ線はあるが、画面全体の折れ線は入れない。
文章案
このまま、
読み進めなければ。
15 読み返し
場面イメージ
読者がシーン7まで読み進めている。
女性の顔の小コマは、少し現実に近い女性に変更。
画面全体には折れ線を入れない。
文章案
ここで、
読むのを止めていれば。
16 めくらなければ
場面イメージ
ページをめくろうとしている手元アップ。
変質したシーン7ページが見えている。
女性の顔の小コマは、めくろうとする指を見ているような視線。
ページの下には黒い鏡面のようなページが見え始めている。
文章案
このページを、
めくらなければ……
17 黒いページ
場面イメージ
画面全体が、ほとんど黒い鏡面のようなページ。
実際の本で、つやのある加工のページをイメージ。
中央にはごく薄い折れ筋。
左端には、本を支えている親指の先だけがごく小さく見える。
読者の顔が反射でうっすら映る仕掛けを画面上で表現する。
右上の暗闇から、リアル寄りの女性ゾンビの顔が覗き込んでいる。
女性ゾンビは上目遣いで、ページの外の読者を見ているように見える。
文章は入れない。
文章案
文字なし。
18 おわり。
場面イメージ
最後の見開き。
左ページは白紙。
右ページには絵本の表紙があるが、当初からは変化している。
中央にはごく薄い折れ線。
表紙の木の窓は、男側が閉じている。
女性側だけが開いており、そこにデフォルメされた女性ゾンビがいる。
物語が書き換わったことを示す。
文章案
そのページをめくらなければ
おわり。
裏表紙
場面イメージ
ほぼ白い余白。
女性の帽子だけが静かに置かれている。
帽子は少し汚れていて、赤黒い染みがある。
人は描かない。
文章案
文字なし。
参考
※投稿タイトルの「絵本の-ネーム」は、
「絵本-ネーム」であり、
「絵本のネーム」であり、
少しだけ「ノーネーム」にも掛けています。
表紙のタイトルが変わっていく本編の構造に合わせて、
「名前が一つに定まらない絵本」
という意味もあります。
決して、誤字ではありません。決して。
キャラクターイメージ
制作時に使用したキャラクター整理用の参考画像です。
作者側の指定に基づき、それをもとにAI画像生成で作成しました。
ビジュアルがあると、手の進み方が違ってくるので。
でも、赤黒い染みの表現には苦労しました。
主に、AIがダメと言い張ってくるためです。
※画像内の「Scene-13」は制作途中の旧番号です。最終的なシーン番号とは異なります。

おまけ
黒い部分に、うまく自分の顔や手を映せるかもしれません。
※映った場合は自己責任でお願いします。

おまけ2
もうひとつの結末。














おそまつさまでした……
ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。