
【写真詩】夏と浴衣と手持ち花火

旅館の明かりが温かく漏れる玄関前。
「それじゃあ始めるよ」
夫の合図に、子どもたちの目がきらりと光る。
ロウソクから火を灯せば、
シュシュッと軽快な音を立てて、
闇夜に広がる金色の光。
パチパチと弾ける火の粉が浴衣の袖を掠めては、
夜空に消えていく。
煙の匂いが夏夜の空気に溶け込んだ。
スマホが笑顔を映し留め
「こっち見て!」の弾んだ声が、夜の静寂を揺らす。
大きな音のする花火とは違う、足元だけの光の輪。
ただ家族と過ごす温もりが、
夏の思い出の引き出しに、そっとしまわれる。
#夏の1コマ