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各駅停車で、ひとりごと(10)〜未知との、交流。映画「ディスクロージャーデイ」を観て〜

「『未知との遭遇』を撮影したころと比べても、
宇宙人という存在を身近に感じるように
なった気がする」
これは、東宝のプロモーション映像で
スピルバーグ自身が語った台詞である。

世界を俯瞰してみても、
世界各国で宇宙開発を視野に置いた
ビジネスが展開され、アメリカでは宇宙を
部隊にした専門の軍隊組織の存在が
発表されている。

宇宙が、異星との接触を見据えた未来が、
現実として眼前に現れているこの時代に、
本作が産声を上げたのは必然なのかもしれない。

これまでにも、お馴染みの『E.T』や「未知との遭遇」、「宇宙戦争」など、宇宙人という存在との邂逅と衝突、運命をドラマチック、かつ冷徹な視線で描き続けてきたスティーブン・スピルバーグ監督。

と、同時に『マイノリティリポート』を筆頭に
近未来の危機と、あるべき不安を最先端のCGを
積極的に多用したリアリズムを持って俯瞰して
見せてきた。

憧れと、恐怖と、進化への欺瞞と不審。
映画界のトップランナーとして、時代の空気を
的確に掴み、映像へと落とし込む手腕は、
本作においても的確に息づいている。

未知なる生物が、世界中のメディアと
個人映像監督時代の只中で、リアルな形容を
持ちはじめた時代。
今こそ、曖昧模糊とした「私たちの不安」を、
明確に形にして見せてあげるべき時が来た。
そんな、限りなく天上人としての視点と、
一般人としての我々の目線を巧みに織り交ぜて、
宇宙人との「ありそうな」コミュニケーションの
在り方を見せていく。

そこには、映像の世界で独自の世界観を
提示してきた表現人としてのプライドが
見え隠れする。

「いずれ、誰かが手を付けるはずの」
リアルな宇宙ビジネスの顛末を、何としても
先陣をきって形にしなければ。

それが、エンターテインメントの世界で
先頭を走り続けることが許してきた、
スピルバーグという男の本当の個性と能力
なのだと、改めて思い知らせられる
気概と、勇気と、娯楽という遊び心が
ふんだんに織り込まれた。

宇宙人とのコミュニケーションを
あるべき未来の出来事として描こうという
視点のため、どこか宇宙人の描写からは
グロテスクかつスタイリッシュな描写が
意図的に避けられているようにも見える。

それも、そのはず。
この作品は「宇宙人からの侵略で大混乱に
導かれる私たちは、どうする?」ではなく、
「宇宙人との新しいビジネスの時代が、
確かに動き始めようとすると私たちは、どうする?」という、ビジネスマンとしての視点が主体に
置かれた唯一無二の作品ともいえるのだ。

だからこそ、ラストの描写は、
これまで恐怖と残酷の象徴として描いてきた
「宇宙人」への畏敬と、謝罪の念が
込められているのかもしれない。

まさに「現代だからこそ、生まれた」
力技のエンターテインメントと言えよう。



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