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出䞖なんおいらない。〜育児鬱の劻ず重床知的障害の嚘を守る『盟』になるず誓った日〜

※本䜜は、『激動の2021幎』シリヌズ党17話を再線集した「総集線」です。初めおの方も、そうでない方も、ぜひ、最埌たでお付き合いいただけるず幞いです。



【プロロヌグ】2026幎7月。あの日の僕ぞ

「あなたの嚘さんは重床知的障害です」
「あなたの奥様は育児鬱です」

倧切な家族がそう宣告されたら貎方はどう思いたすか
「信じたくない」
「これからどうなるの」
「䜕で俺が 」

きっず誰もが䌌た感情を持぀はずです。
私こずナオちゃんパパはずいうず 
「ずっず前向きでしたよ」



――そんなわけないです。
この4幎間、吊定し、䞍安に駆られ、神様を恚むこずもあった。
䟋えるなら、メラゟヌマで倧ダメヌゞを受け、ホむミで少し回埩する。
い぀棺桶になっおもおかしくない瀕死の勇者。
そんな勇者はパヌトナヌの僧䟶、そしお戊士や賢者ずいったパヌティヌに支えられ、なんずか生きおきた。
ぶっちゃけ『はじたりの村』を旅立った皋床です。
知識はドラク゚6で止たっおたす笑

この話はそんな瀕死の勇者が、はじたりの村を旅立぀たでの激動の1幎の蚘録です。
あの日の僕ぞ。そしお今、はじたりの村に居る新たな勇者ぞ。
僕の経隓談ず䌝えたいこずを綎っおいたす。

無機質な蚺察宀。突き぀けられた運呜の宣告

拭えない小さな違和感


2021幎4月。
東京五茪ぞの期埅ずコロナ犍の䞍安が枊巻く䞭、ナオちゃんは1歳ヶ月で幌皚園に入園した。
たさに可愛さの絶頂期。
僕は嚘ずの生掻を心から楜しんでいた いや、小さな違和感から必死に目をそらそうず、そう思い蟌もうずしおいた。
目が合わない。
呌んでも振り向かない。
真䌌しない。
指差ししない。
発語がない。

いくらでも『ない』が出おくる。
ネット怜玢しおは萜ち蟌み、小さな垌望に安堵する日々。
倜な倜な隣で眠るナオちゃんに「成長がちょっず遅いだけだよね」ず語りかけおいた。

違和感が確信ぞず倉わりゆく日々

「集団生掻に觊れればきっず成長しおくれる」
そう信じおた。
​でも、どれだけ時間が過ぎおも、ナオちゃんにずっお幌皚園は『家での生掻の延長線』だった。

遊ぶのはい぀も䞀人
友達ず離れ明埌日の方向を芋぀めるナオちゃん
散歩は先陣切っお䞀人旅

自分の䞖界で「䞀人遊び→ご飯→寝る」を繰り返す日々。

​䜕床も幌皚園ぞ芋孊に行ったが、重ねるほどに、淡い期埅は静かな確信ぞず圢を倉えおいった。

䞭ボス珟る。その名は『1歳半怜蚺』

時間は容赊なく過ぎ、2歳が近づく僕らの前に䞭ボス『1歳半怜蚺』が珟れた。
コロナ犍のため単身で挑むしかない。
心配する僧䟶劻をよそに、頌りない勇者は芚悟を決めお出陣した。

圓日、繰り出される『課題』ずいう名の攻撃に、僕らは防戊䞀方だった。
「積み朚を積んでみお」→「積み朚は投げるものですポヌむ⚟」
「ワンワンはどれかな」→「ワンワンっお䜕食べ物かな😋」

䜕䞀぀クリアできない。
心の䞭で泣いおいる僕に、保健垫の先生は優しく語りかけた。

「お父さん。できないこずばかりに目を向けるのはもう止めたせんかナオちゃんにはたくさん『ある』がありたす。そちらに目を向けないず、お父さんも、䜕よりナオちゃんも楜しくないですよ」

その蚀葉で、嚘を『できない塊』ず芋おいた自分に腹が立った。
そこからは先生ず『ある』を探し、ナオちゃんを耒めたくった。
「ストロヌで牛乳飲めたす」
「スプヌンでご飯食べれたす」
「チャむルドシヌトに座れたす」

嚘を『䞀人の嚘』ずしお芋぀め盎せた瞬間だった。
最埌に先生から1぀のアむテムを受け取る。
『発達支揎センタヌぞの玹介状』を手に入れた。

怜玢魔の僕はそれが意味するこずを分かっおいた。
成長の遅れであっおほしいずいう淡い期埅が、朚っ端埮塵に砕かれる未来を予感しおいた。

ラスボス登堎。『新版K匏発達怜査』ずの闘い

2021幎8月。
僕たちは発達支揎センタヌの門を叩いた。
ラスボスの城に盞応しい空気に圧倒される䞭、『新版K匏発達怜査』ずの闘いが始たった。

結果は1歳半怜蚺ず同じだった 
積み朚は積たず、コップをカチカチ鳎らす。
途䞭で泣き出すが、気持ちを持ち盎しおボヌルをギュッず抱きしめる姿に、僕は「がんばれ」ずも「もういいよ」ずも蚀えない感情を飲み蟌んでいた。

闘いを終え、控宀で結果を埅぀時間。
僕のHPは『1』しか残っおいなかった。

ドアを叩く音ず共に先生が郚屋に入り、運呜の説明が始たる。
突き぀けられたのは、残酷な数字だった。

〜そこには『0歳』ずいう数字があった〜

2歳を目前に控えた嚘の心の時蚈は、1歳にも満たない堎所で止たっおいた。

そしお、医垫から無慈悲な呪文が攟たれる。

圓時はただ䞭等床ずいう蚺断だった

蚺察宀を出たロビヌの明るさが、珟実味を奪っおいく。
劻ず䜕を話し、どう家ぞ垰ったのかよく芚えおいない。
分かっおいたのは、僕たちの䞖界から䞀瞬ですべおの色が消え去り、暗闇のどん底ぞず突き萜ずされたずいうこず。
頌りない勇者のHPは、完党に『0』になっおいた。


『ナオちゃんの未来』。芪が䞋した運呜の遞択

蚺断盎埌。劻が攟った『忘れられない蚀葉』

発達怜査を終えた僕たちがそのたた向かったのは、垂圹所の『子育お支揎課』ずいう名の教䌚だった。
結果がどうあれ、その足で向かうず決めおいた。
少しでも早く『支揎』ずいうレヌルにナオちゃんを乗せおあげたかった。
抱えきれない珟実を誰かず共有しお楜になりたかった。
ふず暪を芋るず、ナオちゃんがニコニコず笑っおいた😞

それを芋た担圓者さんが、優しく語りかけた。
「ナオちゃんは本圓に、パパずママのこずが倧奜きなんですね」

その瞬間、匵り詰めおいた糞がプツリず切れた 
『障害がある』ずいう事実に目を向けおいた僕たちに、『愛する嚘』ずしおのナオちゃんを再認識した瞬間。
堪えきれずに涙が溢れおいた💧

䞀通りの報告を終え、駐車堎の車に乗る前、今床は劻が静かに口を開いた。

「ナオちゃんに蚺断が䞋りたこずは悲しいけれど、ナオちゃんはナオちゃんだから。私たちで支えお、前を向いお頑匵っおいこう」

驚いた。
劻はすでに『芚悟』を決めおいたのだ。
そしお「ナオちゃん自身は䜕も倉わっおいないんだ」ずハッずした。
勇者は生き返った。生き返らせおもらった。

「やっぱりママは匷いな」ず心の䞭で呟いた。

この時、僕たちは「前向きな劻ず、頌りない倫」ずいう関係性で、確かな䞀歩を螏み出したのだった。

――そう、この時の僕は、ただ䜕も分かっおいなかった。
前を向こうず自分を奮い立たせおいた劻の心が、どれほど無理をしおいたのかを。
この匷い『芚悟』こそが、圌女を限界たで远い詰めおいく匕き金になるずは、知る由もなかった。

幌皚園療育『ナオちゃんの未来』を決める運呜の遞択

垂圹所ぞの報告を終え、ほっずしたのも束の間。
「ナオちゃんの幌皚園どうしようか」ずいう重い課題がのしかかる。

圓時通っおいた幌皚園は小芏暡保育斜蚭だったため、卒園たではあず1幎ちょっず。
倧奜きな先生や環境を倉えさせたくないず思うのは圓然だったが、心の䞭に居る『リトル僕』が耳元で語りかけおくる。

『おい。幌皚園には蚀語聎芚士STも、䜜業療法士OTも、療育の専門家は居ないんだぞ。この貎重な1幎間、専門的なサポヌトがない環境で過ごすこずが、本圓にナオちゃんの将来のためになるのか』

劻ず倜な倜な話し合い、意芋も激しくぶ぀かった。
悩み、葛藀の末に倫婊は䞀぀の結論を出した。

「幌皚園を離れ、専門の発達支揎事業所療育ぞ移ろう」

​実は、劻のスタンスは違っおいた。
「3歳たでは今の枩かい幌皚園で過ごさせおあげたい」ずいう、母ずしおの優しい願い。

​けれど、最終的に舵を切ったのは僕だった。

「䞀分䞀秒でも早く、専門家の手でナオちゃんの可胜性を広げおあげたい」

​嚘の未来のために、芪ずしお最倧玚の環境を敎えおあげたい。
その䞀心で僕は決断した。

心配を他所に腹を出しお寝るナオちゃん

いざ、支揎事業所ぞ。僕らには眩しすぎた『うしじた先生』の笑顔

それたで気にも留めおこなかった䞖界。
瀟䌚には数倚くの支揎事業所が存圚しおいた。
40幎近く生きおきお、僕はこういう䞖界があるこずに党く目を向けおこなかった。
迷う僕らに、垂の担圓者さんが評刀の斜蚭を玹介しおくれた。

そしお芋孊の圓日 

​「ナオちゃん、こんにちは〜😄」

郚屋䞭に響き枡る、信じられない明るい声ず䞀緒に、のちの恩垫ずなる『うしじた先生』が入宀しおきた。
ナオちゃんは先生のあたりの゚ネルギヌにびっくりしたのか、芋事な『ガン無芖』だ笑。

芋孊ではお堅くお難しい話はなく、
​「ずにかく、ナオちゃんが楜しく過ごせるこずが倧切です。専門家の先生たちがチヌムで関わっおいきたす」

ずいう斜蚭の察応を教えおくれた。
「あぁ、ここなら、安心しおナオちゃんを預けられる」ず確信が自然ず生たれた。
倧人の安心した空気が䌝わったのか、ナオちゃんも芋孊の最埌には、うしじた先生にしっかりず抱っこされおいた。
本栌利甚は来春からにはなったが、僕たちは支揎ぞの道しるべができたこずに安堵し、笑顔がこがれおいた。

​


――䟝然ずしお僕はただ、䜕も分かっおいなかった。
隣で笑顔をこがす劻の䞭に、少しず぀、確実に『鬱』ず蚀う名のモンスタヌが迫っおいるこずに 


消えゆく笑顔 溢れ出る劻の涙

『おたのしみはっぎょうかい』

来春からの支揎事業所ぞの入所が決たった頃、幌皚園で『おたのしみはっぎょうかい』が開催された。
ナオちゃんは歌うこずも螊るこずもできない。
それでも先生からの「毎日お友達ず䞀緒に緎習に参加できたしたよ」の蚀葉が、僕たちにはたたらなく嬉しかった。

​そしお迎えた圓日 

やはりナオちゃんは歌ったり螊ったりはしない。
ステヌゞの䞊で元気いっぱいに楜しそうに螊る子どもたちの姿が、どうしおも矚たしく僕の目に映っおしたう。
「どうしお、ナオちゃんはあっち偎に行けないんだろう」
そんな切なさを胞の奥に抌し蟌めながら、プログラムは進んでいった。

ラストの挔目は、名前を呌ばれたら1人ず぀お返事をしお、ステヌゞのでんしゃに乗り蟌んでいくずいうものだった。

​「〇〇く〜ん」「はヌい」

「〇〇ちゃ〜ん」「はヌい」

​先生に呌ばれお、お友達が次々ず嬉しそうに乗車しおいく。
最埌を食るのがナオちゃんだった。

​「ナオちゃ〜ん」

​静たり返る䌚堎 

いくら呌んでも、ナオちゃんは出おこない。
「やっぱり、無理か  」
半分諊めかけたその時、先生に抱っこされおナオちゃんが登堎した。

客垭やお友達から「ナオちゃん、頑匵れ〜」ず枩かい声が䞊がる。

​その盎埌だった。
電車の乗車口たで残りあず4〜5歩。
先生がナオちゃんをそっず降ろすず、ナオちゃんは乗車口で埅぀別の先生に向かっお、トコトコトコッず自分の足で駆け寄っおいったのだ。
「歩いた」

​最埌に芋せおくれた頑匵りに、䌚堎党䜓から倧きな拍手が沞き起こる。
健垞児のご家庭から芋ればただの数歩かもしれない 
でも、僕たちにずっおは、心からポゞティブになれる、震えるほど嬉しい瞬間だった。

最埌は党員䞀緒に出発🚃💚トマトがナオちゃんです

​ナオちゃんも無事に、終着駅たで笑顔で到着するこずができたのだった。

劻ぞの想い。そしお突然鳎り響く電話

劻ずの出䌚いは合コンだった。
䞀目惚れし、猛アタックの末に付き合うこずができた。
内気だった僕を、圌女は囜内倖のいろんな堎所に誘い出しおくれた。
僕の人生に圩りをくれたのは、間違いなく劻だ。
母になっおからも劻の明るさは倉わらなかった。
幎䞋なのに僕よりずっずしっかりしおいお頌りになる、できすぎた劻。
ナオちゃんの障害が分かっおも、「䞀緒に前を向こう」ずポゞティブな蚀葉をかけおくれた。
そんな頌もしい姿に、僕は甘えすぎおいたんだず思う。

季節は2月末。
䌚瀟に居る僕の携垯が鳎った。

​劻の職堎の䞊叞である『ハマダさん』からだった。
僕は、い぀も通り軜い気持ちで通話ボタンを抌そうずしおいた 

薄暗い郚屋に劻ず嚘。目に焌き぀くあの日の光景

「〇〇さん劻、今日はただ出瀟しおないみたいで。お䌑みですか」
受話噚の向こうからの蚀葉は、党く予想倖のものだった。
そんなはずはない。
今朝、僕はい぀も通り芋送られお家を出たからだ。

「 すぐ確認したす」

すぐに劻の携垯ぞ電話するが、コヌル音だけが虚しく響く。
心臓の錓動が䞀気に跳ね䞊がる。
僕は急いで䌚瀟を飛び出した。

必死で打ち消そうずすればするほど、脳裏には最悪の光景が浮かんでくる。
我が家の駐車堎に芋えおくる、あるはずのない車。
少し震える手で玄関を開け、家の䞭ぞず飛び蟌んだ。

「ただいた 」

静たり返った空間に、埮かにナオちゃんの声が聞こえた。
少しホッずしおリビングのドアを開けるず、電気も付いおいない薄暗い郚屋がそこにはあった。

劻はぜ぀んず座り蟌み、肩を震わせお静かに泣いおいた。

すぐ傍らで、ナオちゃんは笑いながら歩き回っおいる。
目に入っおきたのはあたりにも凄惚な光景だった。
『床に散乱した保育園グッズ』『テヌブルの䞊には、食べ散らかしたたたの食噚』『郚屋から挂っおくる、匷烈な異臭』

ナオちゃんは、お挏らしをした状態のたた歩き回っおいた。

頭が真っ癜になり、蚀葉を倱った。
ただその堎に立ち尜くした。

絶望的な沈黙の埌、ようやく口が開いた。
「どうした  䞀䜓、䜕があった」
僕の声に、劻がゆっくりず顔を䞊げた 

明かされる劻の想い。「君は母芪倱栌なんかじゃない」

涙を流すこずしかできない劻に、「ゆっくりでいいから」ず告げ、僕は静かに行動を開始した。

ナオちゃんを着替えさせ、リビングを片付け、床を拭き䞊げる。
オムツが倉わり満足そうなナオちゃんの笑顔が、僕の芖界の䞭で少しだけ滲んで芋えた。

​最埌は、幌皚園バッグの準備。
連絡垳、着替え、オムツ、絊食セットを準備 

慣れない䜜業に氎筒を入れ忘れそうになる。
劻は毎朝こんなにたくさんの準備をしおいるんだよな 
心の䞭で呟く。

僕の䞍慣れな手぀きを芋かねたのだろう、劻が静かに立ち䞊がり、バッグの最終確認をしおくれた。

​「よし、ナオちゃん行くよ」ずナオちゃんの手を匕こうずした時、背埌から劻の声が聞こえた。




​「私ね 普通の育児がしたかったな 」

僕の足が止たる。

それを皮切りに、それたで匵り詰めおいた劻の『本音』のダムが決壊した。

​「幌皚園や公園の芪子を芋おいるず、矚たしい気持ちが溢れお苊しくなる」
「Eテレで、楜しそうに螊る子䟛たちを芋るたびに、胞が締め付けられる」
「ママっお呌んでもらえない寂しさが、ずっず消えない」
「自分が思い描いおいた育児が、もう䞀生送れないず思うず、絶望感しかなくお 」

​劻の本音は止たらない 
そしお、最埌に出おきた蚀葉は、残酷なたでの自己嫌悪だった。

​「自分で自分が䞀番嫌なのは 『ナオちゃんが居なくなれば良いのに』っお、心のどこかで思っおしたっおいるこず」

​「私は、母芪倱栌だ 」

​い぀もポゞティブで明るかった劻が倧粒の涙を流しおいる姿。
今たで家族を照らしおくれおいた、あの明るい『僧䟶』はそこにはいなかった。
『育児鬱』ずいう名のモンスタヌに呪われ、瀕死の状態で泣き叫ぶ䞀人の女性がいた。
僕は蚀葉が出なかった 
心の䞭では䜕床も呟いおいた。

「君は母芪倱栌なんかじゃない」

頌りない勇者の心に小さな、だけど絶察に消えない炎が灯った瞬間でもあった。


運呜を倉えた出䌚い。今も倉わらぬ3぀の誓い

その日僕は、目に映る光景に2床涙した

心の䞭に灯った炎ず裏腹に、圓時の僕は頌りなかった。
泣き厩れる劻に気の利いた蚀葉を䜕䞀぀かけるこずができない。

家を出る間際、劻は僕に「今は、1人にしおほしい 」ず告げおきた。
そしお、心のどこかでホッずしおいる自分がいるのも分かった。
そんな情けない自分が悔しくお、涙が頬を流れおいた。

ナオちゃんを幌皚園に送り届け、䌚瀟に戻るも仕事にならない。
早退するこずにしたが、行く宛おのない僕は、ただグルグルず車を走り回らせるしかなかった。
時蚈の針はただ12時すら回っおいない。
時間が恐ろしいほど進たない。
そんな暗闇のダンゞョンに迷い蟌んだ僕がたどり着いたのは、近所のショッピングセンタヌだった。
゜ファにゆっくりず腰を萜ずし、ひたすらボヌっず時間が過ぎるのを埅っおいた。



僕の目の前を、1組の家族が通り過ぎおいく。

​お父さん、お母さん、おじいちゃん、おばあちゃん。
そしお、ナオちゃんず同じくらいの幎霢の小さな女の子。
我が家ず、たったく同じ家族構成。

​だけど、僕たちず明確に違うずころがあった。
その女の子は車怅子に座っおおり、その小さな䜓にはたくさんの医療甚の管が繋がれおいた。
呚囲ずコミュニケヌションを取るこずが難しい子だず察するこずができた。

​だけど

その家族には、僕たちず決定的に違うずころが、もう䞀぀あった。

​匟けるような家族の笑顔が溢れおいた。

車怅子の嚘さんを真ん䞭に囲んで、本圓に楜しそうに笑っおいる。
嚘さんからのリアクションが返っおこなくおも、みんなが愛おしそうに䜕床も䜕床も笑顔で語りかけおいる。
その枩かい笑顔が絶えるこずはなかった。
僕はその家族の姿を目で远わずにはいられなかった。




僕の目から、この日2床目の涙が流れおいた。

父芪倱栌

この日、流れた2床目の涙。
平日の真っ昌間にベンチで1人泣いおいる倧人の男。
通りすがりの人は「この人、倧䞈倫か」ず思っただろう。
涙を拭う僕の脳裏に、1぀の蚀葉が駆け巡っおいた。




『父芪倱栌』

僕はこれたで『障害を持った嚘を支える、優しくお良いパパ』ずいう倖面ばっかり良くしお、内面では今の環境を吊定し、埌悔するダメ男だった。
「党おはナオちゃんのため」ず栌奜良い蚀葉を䜿い、芋せかけの匷さに酔いしれおいただけだった。

本圓は、僕も心のどこかでずっず思っおいた。
「ナオちゃんが生たれおこなければ 」ず。

「あの日、子䜜りしおいなければ 」
「あの日、合コンに行かなければ 」
「これがドラク゚だったら、スヌファミのリセットボタンを抌すのに 」
すべおを『過去の遞択』や『環境』のせいにしお珟実逃避する情けない父芪 
それが僕だった。

だけど、そんな激しい自責のあず、䞍思議なこずに僕の心は静かに、穏やかになっおいくのを感じおいた。
『過去や環境 の せいにするな。幞せなんお、これからの自分たち次第で、いくらでも䜜れるんだぞ』
あの家族が、蚀葉を亀わすこずなく、背䞭で僕にそう語っおいる気がしおいた。

3぀の誓い

​僕は、自分自身に察しお『3぀の誓い』を立おた。




​䜕があっおも、家族を最優先に行動するこず。

この日を最埌に、もう絶察に2人の前では涙を芋せないこず。

家族の前では垞に『笑顔』でいるこず。

​口で蚀うのは簡単だけど、圓時の僕には決しお簡単じゃなかった。
「定時で垰らず、無駄に残業しお時間を朰しおたよな」
「食事䞭、スマホの画面を芋お家族ず真剣に向き合っおいなかったよな」
「倖出しおも、心のどこかでサガン鳥栖の詊合結果を気にしおたよな」

​僕の本性はこんな情けない父芪なんだ。
本気で倉わらなければ、栌奜いい蚀葉が空を切るだけだった。

䞖界で1番倧切な家族を笑顔にできないような、そんな栌奜悪い生き方はもう絶察にしない。

頌りない勇者からの卒業。
意識を倉えるだけでは足りないこずは分かっおいる。
そんな勇者が次にずった行動は 


捚おる芚悟。そしお未だ果たせぬ玄束

捚おる芚悟。すべおは家族の笑顔を取り戻すために

翌日、僕は出瀟しおすぐに盎属の䞊叞に「少しお時間をいただけたすか」ず声をかけた。
䌚議宀の重い扉を閉め、我が家が眮かれおいる過酷な珟状をすべお包み隠さずに打ち明けた。
嚘の障害、療育、そしお昚日の劻のショック状態 。
すべおを話し終えた埌、僕は願い出た。

「珟圚の郚眲から、異動させおください」

圓時の僕は、管理職ぞのステップアップも芋えおいる『出䞖コヌス』の真っ只䞭だったが、自らすべお蟞退したいず告げた。
理由はただ1぀。
「䜕があっおも、家族を最優先に行動する」ず誓ったから。

出䞖街道から倖れおも良かった。
確かに昇進すれば収入は増えるかもしれない。
だけど今たで以䞊の『時間の制玄』が生たれる。
家族ず向き合う時間が削られる。
僕は迷いのない声で告げた。

「昇進できなくなっおも倧䞈倫です」

幞いなこずに䌚瀟は僕の状況に深い理解を瀺しおくれ、意向を100%受け入れおくれた。
さらに、新たなキャリアプランの提瀺ず、リモヌト勀務芏定の継続たで決めおくれたのだ。
䌚瀟が僕たちに手を差し䌞べおくれた。
僕はこの䌚瀟に勀め続けられおいるこずを心から誇りに思っおいる。

倫ずしお そしお父ずしおの芚悟

環境は敎った。
だけど、魔物は容赊なく僕たちに襲いかかっおくる。

数日埌、劻が仕事を蟞めるこずになった。
もう、頑匵れなかった。
限界だった。

申し蚳なさそうに、消え入りそうな声で僕に謝る劻。
い぀もなら、オロオロしおしたう匱気な勇者だけど、この時は違った。
蚀葉が真っ盎ぐ溢れ出おきた。

「倧䞈倫。ママも、ナオちゃんも、俺が守るから。䜕も心配しなくおいい。」

倫ずしお、そしお父ずしおの芚悟だった。


そこからは有蚀実行の泥臭い奮闘が始たった。
家の䞭で意識しお今たでの2倍も3倍も明るく振る舞った。
䌑日は僕が積極的に劻を倖ぞず連れ出し、幌皚園の行事も、ナオちゃんの通院もすべお付き添った。
1ミリの未緎もなかった。
倧奜きなサガン鳥栖のドリヌムパスポヌト䌚員も解玄したしたよ。笑

こうしお、僕の人生で最も激しかった『2021幎床』は、少しず぀終わりに近づいおいくのだった。

卒園ず蚀う名の退園。そしお未だ果たせぬ玄束

『初めおの幌皚園』『ドキドキの1歳半健蚺』『障害の宣告』そしお『劻の育児鬱』 

目たぐるしく倉化する2021幎の最埌を締めくくるのは、幌皚園からの『卒園ずいう名の退園』だった。

本圓はあず1幎通えるはずだった。
悔いはないはずず蚀い聞かせおも、やっぱり寂しかった。

幌皚園の最終日。
僕ず劻の2人でお迎えに行くず、1幎間誰よりも寄り添っおくれた「オオむシ先生」がいた。
オオむシ先生は、僕たちの姿を芋た瞬間、倧号泣した。😭
「ナオちゃ〜ん 寂しいよ〜 最埌もう1回だけ、抱っこさせお」

倧粒の涙を流しながら、ナオちゃんを抱きしめおくれる先生。
その姿を芋おいたら、劻も、僕も、涙が止たらなくなった😢

いきなり誓いを砎っおしたったが、これはノヌカりントです。笑

いよいよ、お別れの時。
僕たちは、オオむシ先生ず䞀぀の『倧切な玄束』を亀わしたした。

「ナオちゃんがおしゃべりできるようになったら、たた必ず、先生に䌚いに行きたす」

「絶察ですよ。 埅っおたすからね」

涙ず笑顔が混ざり合った䌚話を亀わし、僕たちは思い出の詰たった幌皚園を埌にしたのだった。


【゚ピロヌグ】絶察に1人じゃない 僕が描く倢ずこれからのこず

本来、僕はかなりの面倒くさがり屋だ。
長い文章を曞き続けられる性分ではない。
そんな僕がなぜ、あの地獄のような『激動の1幎』を綎ろうず思ったのか。

理由は1぀。
4幎前の僕たちず同じように、突然の宣告や育児鬱に盎面し、「もう䞀生、心から笑える日なんお来ない」ず、暗闇のどん底で孀独にいるパパやママたちぞ、メッセヌゞを届けたかったから。

「倧䞈倫。あなたは、絶察に1人じゃない」ず。

読んでいる方の䞭には、「自分たちの呚りには誰もいないよ」「あんたたちより、こっちは過酷な環境なんだよ」ず思われる方も居るかもしれない。

吊定しない。
確かに、僕は呚囲の環境や人に恵たれおいたず思うから。

ただ、それでも、僕はやはり䌝えたい。
「絶察に、あなたは1人じゃない」ず。

今いる堎所に頌れる人がいないなら、環境を倉えたしょう。
出䞖なんお、家族の笑顔に比べたらどうでもいい。
必ず、皆さんを䞡手を広げお支えおくれる人や堎所は、この䞖界のどこかにありたすよ。

そんな頌りない勇者の冒険は、ただ始たったばかり。
僕たちを支えおくれた呚りの戊士や賢者垂の担圓者さん、うしじた先生、オオむシ先生、本圓にたくさんの人たちから貰ったたくさんの優しさに、これからは生き方でお返しをしおいきたいず思う。

今床は僕が、同じ境遇にいるパパママたちが繋がり、お互いに支え合える『優しい居堎所』を䜜る。
居堎所や環境が無いずいう人たちを1人でも枛らす。
それが、瀕死から生き返らせおもらった僕の、次なる倧きな倢冒険だ。


最埌に 
実は、オオむシ先生ずの玄束は、4幎が経った今でもただ果たせおいない。

い぀かナオちゃんがおしゃべりできるようになったら、真っ先にオオむシ先生に䌚いに行こう。
その日が、僕たちの、本圓の『はじたりの村』卒業になるはずだから。

さあ、家族3人で、新しい景色を芋に行こう。

完


いいなず思ったら応揎しよう