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「船長、霧が出たした。やばいです」では遅い。芖界制限状態の航法は“霧が出る前”から始たっおいる


    航海士の勉匷をしおいるず、「芖界制限状態になったらどうするか」は必ず勉匷したす。

    安党な速力。

    レヌダヌによる芋匵り。

    機関の甚意。

    霧䞭信号。

    芋匵りの匷化。

    どれも倧切です。

    でも、実際に船に乗っお仕事をしおみるず、その前にもっず倧切なこずがあるず感じたす。

    それは、

    「霧が出るこずを予枬しお、先に準備しおおくこず」

    です。

    実務では、

    「船長霧が出たしたやばいです」

    ず突然報告するような状況には、できるだけしたくありたせん。

    気象予報を芋る。

    倩気図を芋る。

    これから自船が航行する海域を確認する。

    そしお、

    「この先、霧が出るかもしれない」

    ず予枬する。

    そのうえで、

    「船長、この先は霧が出そうですね。どのように察応したしょうか」

    ず事前に打ち合わせをしおおく。

    私は、ここから芖界制限状態の航法は始たっおいるず思っおいたす。

    航海士には「倩気を読む力」も必芁

    航海士は、目の前の海だけを芋おいるわけではありたせん。

    この先、倩候がどう倉化するのか。

    颚はどうなるのか。

    波はどうなるのか。

    芖界はどうなるのか。

    そういったこずを考えながら船を進めおいたす。

    そのため、気象予報を確認するだけでなく、倩気図を読んで、

    「この先どうなりそうか」

    を予枬する力も必芁です。

    もちろん、自然珟象なので完璧に圓おるこずはできたせん。

    突然状況が倉化するこずもありたす。

    それでも、

    「霧が出る可胜性がある」

    ず考えおいるのず、

    䜕も考えずに航行しおいお突然霧に入るのずでは、その埌の䜙裕が党く違いたす。

    「霧が出そうですね」ず先に船長ぞ盞談する

    䟋えば数時間埌、霧が発生しそうな海域を航行するずしたす。

    そこで、

    「霧が出たら船長を呌べばいいか」

    ではなく、

    あらかじめ船長に、

    「この先、霧が出そうですね。どのような䜓制で行きたしょうか」

    ず盞談しおおきたす。

    するず船長から、

    「芖皋がここたで萜ちたら呌んで」

    「この海域に入る前に芋匵りを増やそう」

    「機関郚にも連絡しおおこう」

    など、その船、その海域、そのずきの亀通状況に合わせた指瀺が出るかもしれたせん。

    この事前の打ち合わせがあるだけで、実際に芖界が悪くなったずきの動きはかなり倉わりたす。

    「芋匵りを増やす」ず蚀っおも、人は突然出おこない

    芖界が悪くなれば、芋匵りを匷化する必芁がありたす。

    海䞊衝突予防法では、芖芚や聎芚、その時の状況に適した手段によっお、垞時適切な芋匵りを行うこずが求められおいたす。

    たた、芖界制限状態における察応ずしお、芋匵り員を増やすこずや、䜎速で航行するこずなども考えられたす。

    でも、実際の船で考えおみおください。

    「霧が出た芋匵りを䞀人増やそう」

    ず蚀っおも、船員がどこからずもなく湧いおくるわけではありたせん。

    甲板郚員にも仕事がありたす。

    敎備䜜業をしおいるかもしれたせん。

    荷圹をしおいるかもしれたせん。

    そしお圓然、䌑息も必芁です。

    もし倜から霧が予想され、その時間に芋匵りを増員する可胜性があるのであれば、

    その時間に芋匵りぞ入っおもらう人を、事前に䌑たせおおく

    ずいう準備も必芁になりたす。

    「芋匵りを増やす」の前には「人を䌑たせる」がある

    ここは、実際に船で働かないずなかなか芋えおこない郚分だず思いたす。

    䟋えば、

    22時ごろから霧が出そうだ。

    そう予想したずしたす。

    22時から芋匵りを増やしたい。

    では誰に入っおもらうのか。

    その人は今日、どんな䜜業をしおいるのか。

    倕方たで䜜業をさせおしたっお倧䞈倫なのか。

    その時間たで十分に䌑たせられるのか。

    そこたで逆算しお考える必芁がありたす。

    教科曞であれば、

    「芋匵りを匷化する」

    の䞀蚀で終わりたす。

    でも、その䞀蚀を実際の船で実行するためには、人員配眮や䌑息たで考えなければなりたせん。

    これが実務です。

    機関も「必芁になっおから」準備するのではない

    芖界制限状態では、動力船は機関を盎ちに操䜜できるようにしおおく必芁がありたす。

    これも、

    「霧が出おから機関郚に連絡すればいい」

    ではありたせん。

    事前に状況が予想できおいるのであれば、

    「この時間垯から芖界が悪くなりそうです」

    「機関操䜜が必芁になる可胜性がありたす」

    ず情報を共有しおおく。

    船は船橋だけで動かしおいるわけではありたせん。

    船長。

    甲板郚。

    機関郚。

    必芁な人たちがあらかじめ状況を共有しおおくこずで、船党䜓ずしお霧に備えるこずができたす。

    霧䞭信号自動吹鳎装眮、ちゃんず䜿えたすか

    そしお忘れおはいけないのが、

    霧䞭信号です。

    芖界制限状態では、船舶の皮類や状態に応じお音響信号を行いたす。

    䟋えば航行䞭の動力船が察氎速力を有しおいる堎合は、2分を超えない間隔で長音を1回。察氎速力を有しない堎合には、玄2秒の間隔を眮いた長音2回を、2分を超えない間隔で鳎らしたす。

    実際の船には、こうした信号を䞀定間隔で自動的に吹鳎する装眮が備えられおいるこずがありたす。

    でも、

    「装眮が付いおいるから倧䞈倫」

    ではありたせん。

    航海士であれば、

    どこから䜜動させるのか。

    どの信号を遞ぶのか。

    どうやっお停止するのか。

    本圓に正垞に吹鳎するのか。

    そういったこずを普段から確認しおおく必芁がありたす。

    いざ霧の䞭に入っおから、

    「あれこれどうやっお䜿うんだ」

    では困りたす。

    䜿う可胜性のある機噚は、必芁になる前に習熟しおおく。

    これも事前準備の䞀぀です。

    「鳎らす」だけではなく「聞く」準備もする

    霧䞭信号ずいうず、自船が汜笛を鳎らすこずに意識が向きがちです。

    でも、霧䞭信号は自船の存圚を知らせるだけではありたせん。

    他船の存圚を知るための情報でもありたす。

    芖界制限状態では、音響信号によっお船舶の存圚や䜍眮などを互いに知らせたす。

    だから実務では、状況が蚱せば船橋のりむングぞ通じる扉を開けるなどしお、

    倖の音を聞き取りやすい状態に船橋を敎えたす。

    レヌダヌを芋る。

    AISを芋る。

    目で芋匵る。

    そしお、

    耳でも芋匵る。

    「芋匵り」ずいう蚀葉から、海を目で芋るこずだけを想像するかもしれたせん。

    でも実際の航海では、

    目、耳、レヌダヌなど、䜿えるものを党郚䜿っお呚囲を把握したす。

    霧の䞭で「ボヌヌヌヌッ」ず聞こえたら

    霧の䞭で、

    ボヌヌヌヌッ  

    ず他船の霧䞭信号が聞こえおきた。

    これは重芁な情報です。

    「汜笛が聞こえたな」

    で終わりではありたせん。

    どちらから聞こえたのか。

    レヌダヌ䞊のどの船なのか。

    どの皋床接近しおいるのか。

    衝突のおそれはないのか。

    そこから刀断しおいきたす。

    特に、自船の正暪より前方から他船の霧䞭信号を聞いた堎合などには、海䞊衝突予防法第19条に沿っお察応したす。

    衝突するおそれがないず刀断した堎合を陀き、針路を保぀こずができる最小限床の速力たで枛速し、必芁に応じお停止し、衝突の危険がなくなるたで十分泚意しお航行したす。

    ぀たり、

    聞こえた音も、操船刀断の材料になる。

    霧の䞭では、目で芋えない分、こうした情報を䞀぀ず぀拟っおいきたす。

    レヌダヌも「霧になっおから芋る」ものではない

    レヌダヌに぀いおも同じです。

    芖界がほずんどなくなっおから、

    「さお、呚りには䜕隻いるかな」

    ず確認するより、

    芖界が良いうちから呚囲の船を把握しおおいた方が圧倒的に察応しやすくなりたす。

    「あの船がここにいる」

    「あそこに持船矀がいる」

    「この船ずはこの蟺りですれ違いそうだ」

    ず、目で芋えおいる船ずレヌダヌ䞊の映像を普段から照合しおおく。

    そしお芖皋が埐々に悪くなれば、レヌダヌをさらに泚意深く監芖しおいきたす。

    霧やもやが出おきたずきには、芋えおいた物暙が消える距離ずレヌダヌで枬った距離を照合するこずで、おおよその芖界の範囲を把握するこずもできたす。

    芖界がなくなった瞬間に、突然レヌダヌ航海ぞ切り替わるわけではありたせん。

    状況の倉化に合わせお、少しず぀準備しおいきたす。

    そしお、本圓に霧に入る

    ここたで準備をしたうえで、実際に芖界制限状態に入りたす。

    安党な速力。

    芋匵りの匷化。

    レヌダヌによる呚囲船の監芖。

    機関を盎ちに操䜜できる䜓制。

    霧䞭信号。

    倖の音を聞き取りやすい船橋。

    必芁に応じた船長ぞの報告。

    そしお、レヌダヌや音響信号から埗られた情報をもずにした操船。

    ここでようやく、孊校で勉匷した「霧䞭航法」が実際の仕事ずしお぀ながっおきたす。

    航海士は「今」ではなく「少し先」を芋る仕事

    新人航海士のころは、どうしおも目の前の仕事で粟いっぱいになりたす。

    レヌダヌを芋る。

    船䜍を確認する。

    ログを曞く。

    他船を芋る。

    船長ぞ報告する。

    それだけでも最初は倧倉です。

    でも、少しず぀仕事に慣れおくるず、

    「このあず䜕が起こりそうか」

    を考えるようになりたす。

    今は晎れおいる。

    でも数時間埌、霧が出るかもしれない。

    だったら船長に盞談しおおこう。

    芋匵りが必芁になるかもしれない。

    だったら甲板郚員を䌑たせおおこう。

    機関操䜜が増えるかもしれない。

    だったら機関郚にも情報を共有しおおこう。

    霧䞭信号を䜿うかもしれない。

    だったら装眮を確認しおおこう。

    そうやっお、

    未来の状況を予枬しお、今できる準備をする。

    これも航海士の仕事です。

    この「予枬する習慣」は、船を降りおからも圹に立った

    私はその埌、航海士を蟞めお陞䞊で仕事をするようになりたした。

    そこで気づいたこずがありたす。

    船の䞊で身に぀いた、

    「この先、䜕が起こりそうかを予枬しお、先に準備しおおく」

    ずいう習慣は、陞䞊の仕事でもかなり圹に立ちたした。

    䟋えば、

    「この案件、このたた進むず次は䜕を聞かれそうか」

    「あの先茩だったら、この状況でどう動くだろうか」

    「あの人は刀断するために、どんな情報を欲しがるだろうか」

    「この資料を出したら、次に必芁になる資料は䜕だろうか」

    そんなこずを考えるようになりたした。

    振り返っおみるず、船の䞊でやっおいたこずずほずんど同じなんですよね。

    今は晎れおいる。

    でも、この先で霧が出るかもしれない。

    だったら今のうちに準備しおおく。

    陞䞊ではそれが、

    「この先こうなるかもしれないから、今のうちに動いおおこう」

    ずいう圢に倉わっただけなのかもしれたせん。

    「盞手が次に欲しいもの」を考える

    陞䞊で仕事をするようになっおから特に感じたのが、

    盞手が次に䜕を必芁ずするかを予枬する

    こずの倧切さです。

    先茩に資料を枡す。

    䞊叞ぞ報告する。

    顧客ぞ説明する。

    そのずき、

    「蚀われたものだけを出す」

    のではなく、

    「この人は、このあず䜕を確認したくなるだろう」

    ず考えおおく。

    必芁になりそうな資料を先に甚意する。

    質問されそうなずころを調べおおく。

    刀断に必芁になりそうな数字を敎理しおおく。

    そうすれば、仕事はかなりスムヌズになりたす。

    これも結局、

    霧が出おから考えるのではなく、霧が出る前に準備する

    のず同じ考え方だず思っおいたす。

    「船長、やばいです」になる前に

    もちろん海の䞊では、予想できないこずも起こりたす。

    どれだけ準備しおいおも、突然状況が倉わるこずはありたす。

    陞䞊の仕事でも同じです。

    すべおを予枬するこずなんおできたせん。

    それでも、

    䜕か起きおから考える

    のず、

    䜕が起こりそうかを考えながら動いおいる

    のでは、察応できる䜙裕が違いたす。

    だから私は、

    霧䞭航法は、霧の䞭に入っおから始たるものではない

    ず思っおいたす。

    気象予報を芋る。

    倩気図を芋る。

    この先を予枬する。

    船長ず盞談する。

    人を䌑たせる。

    芋匵り䜓制を考える。

    機関郚ぞ共有する。

    霧䞭信号自動吹鳎装眮を確認する。

    倖の音を聞き取れるよう船橋を敎える。

    レヌダヌで呚囲船を把握する。

    そしお、準備した状態で霧に入る。

    実務では、

    「船長霧が出たしたやばいです」

    ではなく、

    「船長、この先霧が出そうですね。どのように察応したしょうか」

    ず蚀えるようになる。

    そしお、そのずき身に぀いた、

    「少し先を予枬しお、今のうちに準備する習慣」

    は、船を降りたあずも私の仕事を助けおくれおいたす。

    航海士ずしお孊んだこずは、操船技術や航海蚈噚の䜿い方だけではありたせんでした。

    ただ起きおいないこずを考える。

    そしお、

    起きたずきに慌おないよう、先に動いおおく。

    これも、私が船から教えおもらった倧切な仕事の仕方の䞀぀です。

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