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Photo bymamezouya

【3つのお題に空想のひらめきを第66回】夜だけ現れる透明な街.月の裏側にある駅.星の海を渡る小舟|ショートショート


    タイトル:月の裏側、透明な街の舟

    夜にだけ現れる、透明な街がある。

    建物も、街灯も、道を歩く人々さえも、すべてが透き通っている。

    少女のリナは、その街を毎晩のように訪れていた。

    「今日も来たの?」

    振り返ると、透明な駅員が立っていた。

    「うん。月の裏側にある駅へ行きたいの」

    「それなら、あの列車に乗るといい」

    指差された先には、月明かりでできた列車が停まっていた。

    列車に乗り込むと、窓の外の景色がどんどん遠ざかっていく。

    やがて列車は月を通り抜け、その裏側へ出た。

    そこには、本当に駅があった。

    『月裏駅』

    看板には、そう書かれている。

    「ここから先は舟だよ」

    駅員が小さな舟を指差した。

    それは木でできた普通の舟ではなかった。

    星そのものを編んで作られたような、きらきらした小舟だった。

    リナが乗り込むと、舟は音もなく動き出した。

    眼下には、どこまでも広がる星の海。

    「きれい……」

    舟は星の波を越え、ゆっくりと進んでいく。

    すると遠くに、小さな島が見えてきた。

    島には白い砂浜が広がっている。

    舟を降りると、透明な街で見かけた人たちが、砂浜に寝転んでいた。

    「何してるの?」

    リナが聞くと、駅員が笑った。

    「日光浴さ」

    「ここ、月の裏側なのに?」

    「ここの太陽は、昼間の太陽とは違うんだ」

    空を見上げる。

    月の裏側から、小さな太陽が昇ってきた。

    その光を浴びると、身体がほんのり温かくなる。

    「不思議……」

    「この街はね、夜にしか現れないけど、ちゃんと朝もあるんだよ」

    リナは砂浜に座った。

    夜だけ現れる透明な街。

    月の裏側にある駅。

    星の海を渡る小舟。

    そして、誰も知らない場所での日光浴。

    全部、夢みたいだった。

    「ねえ、また来てもいい?」

    「もちろん」

    駅員は笑った。

    「ただし、夜が終わる前に帰るんだよ」

    空が少しずつ明るくなっていく。

    透明な街も、駅も、星の海も、朝の光に溶けるように消えていった。

    最後に残ったのは、リナの手のひらに乗った小さな星。

    それだけが、今夜の旅が夢ではなかったことを証明していた。🌙⭐️


    おしまい

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    鈴蘭

     
     
    心身の不調と付き合いながら、日々の気づきや心の動きを文章にしています。 ショートショートやエッセイ、詩などを発信中。 アフィリエイトや有料記事には抵抗がありましたが、自分のペースで少しずつ挑戦しています🍀 AIすず日記📖✐☡

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