「子供の頃さ、図書館って行くもんじゃないって思っててさあ」、とキンキンに冷えた氷菓子を食べながら、悠が言った。
「お前、図書館なんだと思ってたんだよ」
恵もさくさくと氷をつつきながら言う。
「車だと思ってた、あれ配達の車だったんだな。たまに落とし物とかあってさ」
「なんの?」
「いや、図書カードとか」
「お前、それ移動図書館じゃね?」
「あ、あれ移動図書館だったのか」
「移動図書館だろ、図書カード拾ってんだから」
「じゃあ、やっぱ図書館は行くもんじゃなくて、来るもんだよな?」
「ああ、お前はそれでいいや」
恵は食べかけの氷にスプーンをぶっ刺した。
了
